米軍のパトリオット在庫半減か 中東・ウクライナ需要で台湾向け武器調達に懸念

「漢光41号演習」でパトリオットミサイルの展開訓練を視察する顧立雄国防部長(2025年7月13日、陳品佑撮影)
「漢光41号演習」でパトリオットミサイルの展開訓練を視察する顧立雄国防部長(2025年7月13日、陳品佑撮影)

米国とイランの軍事衝突による米軍の防空ミサイル消費が急増しており、米国のパトリオットミサイル在庫が半減したとの見方が出ている。米外交専門誌『フォーリン・ポリシー』が報じた。迎撃ミサイルの生産能力に限界があるなか、中東やウクライナでの需要逼迫が、将来的な台湾の7800億台湾ドル規模の武器調達計画に伴うパトリオット納入にも影響を及ぼす可能性が懸念されている。

生産サイクルは平均42カ月、補充に数年

​同誌によると、米国は2月28日に勃発したイランとの衝突以降、イラン側の弾道ミサイルを迎撃するため大量のパトリオットミサイルを使用し、推計約2330発の在庫の半分程度を消費したとみられる。トランプ米大統領は「イランの戦力を破壊した」と繰り返し主張しているが、イラン側は依然としてミサイル発射機の少なくとも半数を温存している可能性があり、戦線が再び激化すればさらなる弾薬の消費を強いられる見通しだ。

米軍の弾薬庫に強い負荷がかかっていることは、中東にとどまらず、ウクライナの防空網や、潜在的な中国の脅威に備える台湾防衛の戦略にも直結する。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)によると、最新型の「PAC-3 MSE」は契約から納入まで平均42カ月を要する上、米国の年間生産量は200発に満たない。この数カ月間で中東で消費したミサイルを補充するだけでも数年を要する計算となり、限られた生産能力の中で各地域の優先順位を巡る調整が難航している。

ウクライナの年間需要は2000発

​防空システムが極度に不足する中、トランプ政権は2025年7月にウクライナへの無償供与を停止し、「優先ウクライナ要件リスト(PURL)」と呼ばれる枠組みに移行した。これは米国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国などにミサイルを売却し、欧州諸国がウクライナへ移転する仕組みだ。ある欧州の外交官は、欧州側に資金を負担させるこの手法をトランプ氏が好んでいるとの認識を示した。米国防総省の報道官は、同枠組みで売却される兵器は米国の在庫や新規製造分から直接振り向けられると説明している。

ただ、この仕組みはウクライナの弾薬不足を根本的に解消していない。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は迎撃ミサイルの不足を度々訴えている。米紙ニューヨーク・タイムズが今年3月に報じたところによると、同大統領の顧問はウクライナが過去4年間で計600発の迎撃ミサイルしか受け取っていないと明かした。欧州連合(EU)のアンドリュス・クビリュス欧州委員(国防・宇宙担当)も、ウクライナの実際の年間需要は2000発に達すると指摘している。中東で米国がパトリオットを大量消費したことで、ウクライナの防空にも深刻な空白が生じている。
(関連記事: トランプ氏、米中首脳会談で台湾への武器売却に言及へ 「取引材料化」懸念広がる 関連記事をもっと読む

ロシアは弾道ミサイルや巡航ミサイル、無人機を用いてウクライナのエネルギー施設など重要インフラへの攻撃を強めている。CSISのヤシル・アタラン副所長は、ロシアがインフラ破壊を通じてウクライナの抵抗意識を削ぐ狙いがあると指摘する。こうしたロシア側の戦術変更もあり、ウクライナにおけるパトリオットの迎撃成功率は約25%まで低下したとされる。米国のミサイル供給が完全に途絶えれば、防空網がさらに突破され、電力供給網などが壊滅的な打撃を受ける恐れがある。

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