トランプ氏、米中首脳会談で台湾への武器売却に言及へ 「取引材料化」懸念広がる トランプ米大統領(左)は13日から中国を訪問し、14日に中国国家主席・習近平氏と首脳会談を行う。(資料写真/AP通信)
注目を集める米中首脳会談を目前に控え、台湾の立法院(国会) で8日、野党が共同提案した、米国からの武器調達に関わる「防衛強靭性および非対称戦力調達特別条例(以下、武器購入特別条例) 」が最終可決(三読通過) された。予算の上限は7800億台湾ドル(約3.9兆円) に設定され、2段階に分けて計上される。
米中首脳会談で「台湾」の交渉カード化に懸念 ホワイトハウスの発表によると、トランプ氏は13日夜に北京に到着し、14日に習氏と会談、翌15日の昼食会に出席した後、帰国の途に就く予定だ。トランプ氏による中国訪問は数年ぶりとなる。これに先立ち、台湾外交部(外務省) の呉志中・副大臣は先月、仏紙ル・モンドの単独インタビューで、台湾が米中首脳会談の「メニュー」に載る可能性や、トランプ氏が会談で譲歩する恐れに対する懸念を率直に語っていた。
一方、訪中を控えた11日、トランプ氏はホワイトハウスでメディアの取材に応じ、「台湾防衛への長期にわたる支援」について触れた際、習近平氏は米国が台湾を支援することを望んでいないが、台湾への武器売却は首脳会談の議題の一つにすぎないと述べた。これに対し翁氏は、報道を引用した上で、米国が長年台湾に約束してきた「6つの保証」では、台湾への武器売却に関して北京(中国政府) と事前に協議することはないと保証していると指摘した。
5月11日、トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団の取材に応じた。(資料写真/AP通信)
米議会がトランプ氏の動きを牽制 翁氏はさらに、トランプ氏が実際に台湾への武器売却を習氏との交渉テーブルに載せた場合、最終的な譲歩の有無にかかわらず、米国の対台湾政策が揺らぎ始めたかとの疑念を国際社会に抱かせるとの認識を示した。
一方で米国の超党派議員8人はトランプ氏に対し、約140億ドル規模の台湾向け武器売却案を正式に議会に通知するよう共同で求めた。この動きの要点は、米中首脳会談を前に、議会がホワイトハウスに対して「台湾を米中貿易問題や中東問題の取引材料にしてはならない」というレッドラインを引くことにある。翁氏は、トランプ氏が「武器売却」に言及したことに対し台湾が強く警戒すべき理由は、同氏が必ずしも「台湾を売る」からではないと分析する。
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むしろ問題は、トランプ氏の台湾問題に対する見方が、議会のような制度的・戦略的かつ価値観に基づくコミットメントを伴っていない点にあると強調。トランプ氏は歴史に「台湾を失った大統領」として名を残すことを望まない一方で、台湾問題によって中国との貿易や中東問題に関する交渉の余地が狭まることも避けたいと考えているとの見方を示した。
翁氏は、米議会の態度は比較的明確だと指摘する。書簡では、議会が台湾における防衛予算案可決の困難さを理解しており、台湾の民主政治がトランプ氏の大統領令のように一足飛びに全会一致とはならない実情を把握していることが明確に示されていると分析。
また、書簡は台湾の頼清徳総統を評価すると同時に、圧力を受ける野党の努力も認めており、台湾内政における予算審議の過程を「誰が台湾を愛し、誰が愛していないか」という単純な二元論に落とし込んでいないと評価している。
翁氏は「台湾の武器購入特別条例に関する論争は次の段階へ進むべきだ」と主張する。さらに、台湾は米国の属国ではなく、匿名の米政府高官の一言で与野党やメディア、周辺勢力が互いにレッテル貼りを始める必要はないと強調。「民主主義国家における予算は、そもそも審議され、疑問を呈され、修正されるべきものである。予算を適切に使ってこそ、台湾の抑止力は真に向上する」と述べた。
台湾は「内輪もめで消耗」避け、国際社会にアピールを 米中首脳会談について翁氏は、トランプ氏と習氏が何を話し合うかを台湾がコントロールすることはできないが、国防改革を確実に遂行し、予算審議を適切に進め、米国とのコミュニケーションを安定させ、国内の政治的分断を最小限に抑えることは可能だと指摘する。
北京からの圧力は不可避であり、トランプ氏も台湾問題を「ディール(取引) 」として扱う可能性がある。しかし、台湾にとって最も恐るべき事態は、外部からのあらゆる情報が国内社会を分断する道具として使われることだ。
真に台湾を守るのは、国際社会に対し「台湾支援は慈善事業ではなく、インド太平洋地域の秩序とグローバルなサプライチェーンの安定を維持するための不可欠な選択である」と信じさせる自らの能力である。実力とレジリエンス(強靭性)、そして他国に重視される価値の有無こそが鍵を握る。「トランプ氏は心変わりし、ワシントンは打算で動き、北京は機をうかがう。台湾が唯一してはならないのは、内輪もめの泥沼にはまり自ら消耗することだ」と結んだ。
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