クルーズ船「にっぽん丸」が35年の歴史に幕 横浜港で引退セレモニー、ファン7327人が最後の雄姿を見届ける

35年にわたり日本のクルーズ界を牽引した「にっぽん丸」が横浜港で多くのファンに惜しまれつつ引退し、その伝統は9月就航の新造船へと受け継がれる。(写真/商船三井クルーズ PR事務局提供)
35年にわたり日本のクルーズ界を牽引した「にっぽん丸」が横浜港で多くのファンに惜しまれつつ引退し、その伝統は9月就航の新造船へと受け継がれる。(写真/商船三井クルーズ PR事務局提供)

商船三井クルーズ株式会社が運営するクルーズ船「にっぽん丸」が2026年5月10日、横浜港への帰港をもって約35年にわたる航海を終え、その歴史に幕を下ろした。同日、横浜港の大さん橋国際客船ターミナルでは引退セレモニーが執り行われ、午前6時から9時30分の間だけで、引退を惜しむファンや関係者ら計7,327人が来場し、名船の最後を見守った。

「おもてなしの心」で日本のレジャークルーズを牽引

​1990年の就航以来、「にっぽん丸」は商船三井クルーズが培ってきた「おもてなしの心」を象徴する存在として、日本のレジャークルーズ市場を長年にわたり牽引してきた。質の高い食事やきめ細やかなサービスは乗客から絶大な支持を得ており、四季折々の国内クルーズから世界一周に至るまで、多種多様な旅程を提供してきた実績を持つ。

2001年には、日本のクルーズ船として初めてバルト海周遊を実現するなど、常に時代のニーズに応え、唯一無二の体験価値を創出してきた。また、寄港地との交流を通じて地域文化の発信や観光振興にも大きく寄与し、地域社会との絆を深めてきたことも同船の大きな功績である。

累計航行距離は地球133周分、延べ60万人に感動を提供

​これまでの累計航行距離は5,332,383.964kmに達し、これは地球約133周分に相当する膨大な距離である。35年間で実施された航海は2,000本を超え、国内外400以上の港に寄港し、延べ60万人以上のお客様に感動を提供し続けてきた。

引退当日の午前9時頃、最後の入港を果たした「にっぽん丸」の傍らには、同社の新たな歩みを象徴するクルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」が並び、新旧の船が共演する印象的な光景が広がった。セレモニーで登壇した内田幸一船長は、これまでの航海を振り返り、「それぞれの寄港地でいただいた温かい言葉は、にっぽん丸が皆様の心の中で走り続けている証だと実感している」と謝意を述べた。さらに、「35年間走り続けてきたにっぽん丸へ、感謝と労いの気持ちを送りたい。ありがとう、にっぽん丸」と、涙ながらに惜別の言葉を締めくくった。

次世代ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」への継承

​商船三井クルーズは今後、ブランド「MITSUI OCEAN CRUISES」を通じて、にっぽん丸の伝統を次世代へと継承していく。2026年9月には新造船「MITSUI OCEAN SAKURA」の就航を予定しており、稼働中の「MITSUI OCEAN FUJI」との2船体制を確立する方針だ。「日本の美しい船旅」をテーマに、培われたおもてなしの精神を礎としながら、さらなる進化を目指していく。

編集:小田菜々香

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