TSMC株高で台湾の年金急伸 1000万人の老後支える一方、集中リスクも

2026-05-12 13:07
TSMCの株価動向は、台湾の1000万人を超える労働者の年金と深く結びついている。(資料写真/顔麟宇氏撮影)
TSMCの株価動向は、台湾の1000万人を超える労働者の年金と深く結びついている。(資料写真/顔麟宇氏撮影)

2025年末、台湾の労働部傘下の労働基金運用局(労金局)は、市場を沸かせる数値を発表した。新制度の労働者退職年金基金(新制労退基金)の通期運用益が7469億台湾ドルに達し、過去最高を記録、収益率は15.60%に上った。約1292万の有効口座で計算すると、労働者1人当たりの配当額は約5万7800台湾元となる。この「思いがけないボーナス」をもたらした最大の功労者は、「護国神山(国を守る神の山)」と称される台湾積体電路製造(TSMC、銘柄コード2330)である。

2026年に入り、労金局は5月4日、第1四半期の最新データ(3月末時点)を公表した。新制労退基金の累計運用益は2881億9000万台湾元、収益率は5.47%であった。全体としてはプラス成長を維持しているものの、3月は中東の地政学的リスク(米国とイランを巡る情勢)によって世界の株式・債券市場が乱高下し、単月の損失額が2507億5000万台湾元に膨らんだ。これにより、最初の2カ月間で得た力強い利益が大幅に目減りする結果となった。

データが物語る実態、TSMCは四大公的年金基金の「中核資産」に

​TSMCの株価動向は、台湾における1000万人以上の労働者の年金と深く結びついていると言える。これは単なる経済現象にとどまらず、まさに実体のある「運命共同体」である。TSMCの株価が1台湾元上昇すれば、労働者の年金口座の保障が強化される一方で、同社が逆風に直面すれば、数百万世帯の老後のビジョンも根底から揺さぶられることになる。

労金局が2026年2月2日に公表した2025年末時点の保有銘柄データ、および公務員らの年金を運用する公務人員退休撫恤基金管理局(退撫基金管理局)の同時期のデータによると、新制労退基金はTSMCの第7位の株主(発行済株式の約1.20%を保有)であるだけでなく、同社株式を最も中核的な長期保有資産として位置づけている。公開資料によれば、台湾の主要な公的年金基金はいずれもTSMCを最大保有銘柄としており、その割合は基金全体の運用成績や台湾株式市場の構造に影響を及ぼす水準に達している。

以下の表における割合は、「国内株式投資枠」に占める比率であり、基金の全資産に対するものではない。仮に基金全体の株式組み入れ比率が40%であり、その株式の半分をTSMCが占める場合、基金の総資産に対する実質的な比率は約20%となる。

20260511-n401-01-台湾主要公的年金基金における株式投資枠のTSMC保有比率
台湾主要公的年金基金における、TSMCが株式投資枠に占める比率。

四大公的年金基金の合計規模は既に9兆3000億台湾元を超え、台湾の主要な年金制度の大部分を占めている。このうち、三大労働基金と軍人・公務員・教職員向けの退撫基金の株式投資ポートフォリオにおいて、TSMCの保有比率はいずれも3割を超えている。労働保険基金(労保基金)と退撫基金に至っては5割前後に達しており、特に自家運用部門での集中度が高い(退撫基金の自家運用で約6割、新制労退基金の自家運用で5割超)
(関連記事: アップル、インテルと半導体生産で提携へ TSMC一極依存に転機 関連記事をもっと読む

これは、公的機関が総じてTSMCを「国家級の中核資産」と見なし、長期的に多額の資金を投じ、さらに買い増しを続けていることを示している。同時に、政府の年金基金がAI(人工知能)や半導体、そして台湾市場の大型主力株の動向に強く依存している実態を浮き彫りにしている。

最新ニュース
虎ノ門横丁が6周年記念イベント「虎横祭2026」を開催 ブランド牛や最高級天然本マグロの限定メニューを提供
地球133周分を航海、クルーズ船「にっぽん丸」が35年の歴史に幕 横浜港で引退セレモニー開催
【BUDDiiS】全国ホールツアー「FLORiiA」ファイナル、U-NEXTで独占ライブ配信決定 ウォッチパーティーも開催
【てんや】初夏の期間限定メニュー「海かぜ天丼」を発売 富山・鳥取の旬食材を詰め込んだ贅沢な一杯を徹底レポート
スイス高級時計チューダー、日本相撲協会初のワールドワイドパートナーに就任 大関・霧島が発表会に登壇
米中首脳会談、台湾は取引材料になるのか 関税と選挙を巡る駆け引きにアジア警戒
【舞台裏】武器購入予算が引き裂いた国民党 「反鄭麗文連合」形成で党内亀裂が深刻化
「平和を望むなら戦に備えよ」 バローゾ元欧州委員長、欧州の防衛自立を訴え
ハンタウイルス感染のクルーズ船がテネリフェ寄港へ WHO「新型コロナの再来ではない」
アップル、インテルと半導体生産で提携へ TSMC一極依存に転機
SR渋谷が「東京サンロッカーズ」へ名称変更、新アリーナ移転を発表 ドラフト1位・山﨑一渉らとの契約も締結
【Bリーグ】サンロッカーズ渋谷が「東京サンロッカーズ」へ名称変更、新ロゴも発表 本拠地を江東区へ移転し再出発
ジャパン・ソサエティー理事長が日米関係を分析 高市首相の外交手腕を評価し、日本の主体的リーダーシップを提言
闇に咲く光の記憶 台湾人写真家・廖文瑄、京都「KG+ 2026」で母性と再生を問う個展を開催
パネライ「時の深淵」展が伊勢丹新宿店で開催 元ラグビー日本代表・五郎丸歩が語る「装備」としてのルミノールの魅力
パネライの新作「ルミノール PAM01735」の魅力とは?元ラグビー日本代表・五郎丸歩が体現する「正確な時を刻むツール」の価値
中東危機で浮かぶ中国の存在感 「予測可能な大国」と米国の失速
台湾人写真家・廖文瑄が「KG+ 2026」に入選、個展『残響記・息』を開催 三度の妊娠を通じた生命の循環を写し出す
【舞台裏】無人機からレアアースまで 台湾・林佳龍外相が冷遇部署に放った「隠密戦士」の狙い
台湾産マンゴー輸出好調、最高3700円で日本高級百貨店へ進出 日韓・シンガポールなどで需要拡大
自治体・公共 Week 2026で「野生動物リスク対策ゾーン」を初開催 AI検知や撃退技術など最新クマ被害対策が進化
台湾・高雄に海を見渡す新商業施設「FOCUS 13 珊瑚広場」開業 台湾唯一の海景複合型文化施設、約40ブランドが出店
台湾で肺がん検査に最長半年待ち 背景に防衛的医療と総枠規制
『ASEA 2026』U-NEXTで独占生配信!ENHYPEN、FRUITS ZIPPER、生田斗真ら出演の豪華祭典を全編網羅
ファナティクス、FIFAと歴史的な独占ライセンス契約を締結 2031年からサッカー界初の「実使用ジャージーパッチカード」導入へ
米国防総省、UFO機密ファイルを大量公開 トランプ大統領の公約実現「地球外生命体の存否は自身で判断を」
【父の日2026】ロイヤルホスト デリ、「父の日限定ギフトセット」を5月22日より発売 レストランの本格的な味で感謝を伝える
マスク氏、巨大半導体工場「Terafab」建設へ 総額1190億ドル投資、インテルと連携し内製化目指す
台北メトロ、59億台湾ドル投じ新型車両10編成を導入 2027年半ば運行開始へ
U-NEXTが「日比谷音楽祭2026」の独占生配信パートナーに就任 新会場を含む5ステージを完全網羅 豪華出演者も発表
【フジロック’26】第3弾ラインナップ発表 TV大陸音頭がメイン昇格の快挙、土曜券は早くも完売
麻布台ヒルズ「廊下音楽」第4弾が5月29日に開催 安藤裕子、蔡忠浩らが出演し、日常に溶け込む音楽体験を創出
【台湾映画上映会2026】第2回は『あの写真の私たち』 5月30日に大阪で開催、監督2名によるオンライントークも
【プロ野球】オリックス、2試合連続完封負け 岸田監督45歳バースデーを白星で飾れず
【日本ダービー】JRA、川島明ら「賞レース惜敗組」とコラボ動画公開!芸人たちが語る競馬愛と意外な共通点
ロイヤルホスト、5月13日より国産メロンが主役の季節デザートを販売開始 初の「産地リレー」で2品種の味わいを堪能
機内食世界ランキング発表、首位はギリシャの航空会社 台湾エバー航空が4位、日本勢2社もトップ10入り
【プロ野球】オリックス打線が沈黙、加藤貴之に零封許し連勝ストップ 日ハム野村が全打点マークの活躍
【独占】2次元の推しを現実の東京へ 台湾人イラストレーター・妮妮子(Niniko)が「夢絵」で描く新たな日常
米中首脳会談、台湾問題が焦点に 元安保高官が2027年有事リスク指摘
台湾嘉義の人気観光地「檜意森活村」、ホテル大手・煙波の運営で6月刷新へ
【独占】新小岩にアメリカンレトロの風 台湾人デザイナーが手掛ける「Ghost Toy Shop」が紡ぐ地域交流
JR東日本と伊藤忠、不動産統合で2500億円企業へ 沿線開発と地方創生を加速
台南市と金沢市、観光・文化交流促進で合意 八田與一の縁を継承
【単独】台湾の最危険期は2027年ではない 元米海軍情報局長が警告する「2028~32年」
中国軍上層部で大粛清 前国防相2人に執行猶予付き死刑
【Netflix】原宿ポップアップが5月10日閉幕へ 人気作のプロップス展示や完売必至の限定アイテムに注目
パラグアイ大統領が2度目の訪台 台湾との絆を強調、中国は「正しい側に立つべき」と断交圧力
【寄稿】イラン戦争は米国覇権衰退の転換点となるのか
台湾防衛特別予算案、8日採決へ 在野協議の行方が焦点