【寄稿】イラン戦争は米国覇権衰退の転換点となるのか

2026-05-08 15:37
反米プロパガンダの広告の前で、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの旗を振るイラン人デモ参加者。(写真/AP通信)
反米プロパガンダの広告の前で、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの旗を振るイラン人デモ参加者。(写真/AP通信)

2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対し、大規模な空爆作戦「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」および「獅子の雄たけび」を発動した。トランプ米大統領はこれを「ちょっとした遠足」と称し、3日以内で勝利し早期決着をつけると豪語していた。しかし、開戦からすでに60日以上が経過している。米国の「戦争権限法」によれば、大統領が議会の承認なしに海外で武力行使を行う場合、その期間は60日を超えてはならないと定められている。トランプ氏がイランでの軍事行動を議会に正式通知した3月2日を起点とすると、5月1日までに議会の承認を得なければ作戦を継続できず、議会は同氏に対し承認を巡る圧力を強めている。

トランプ氏の言う「遠足」はすでに袋小路に陥り、米軍は「戦うに戦えず、退くに退けない」というジレンマに直面している。

採算の合わない消耗戦、1日数十億ドルが燃える戦場

まず、以下のデータを見てみたい。

米国防総省は、開戦以来の財政的穴埋めとして、議会に2000億ドルの追加予算を申請した。米紙ワシントン・ポストの報道によれば、開戦わずか6日間で米軍は113億ドルを費やしたという。このペースで消耗が続けば、1カ月でロシア・ウクライナ戦争の半年以上分に相当する戦費に達する。資金の内訳を見ると、「トマホーク」巡航ミサイルが1発360万ドル、「スタンダードミサイル3(SM3)」迎撃ミサイルに至っては1発数千万ドルに上る。一方、イラン側の「シャヘド136」無人機のコストは高くても2万ドルを超えない。数万ドルの無人機を撃ち落とすために数百万ドルのミサイルを使用するという、米軍にとって圧倒的に採算の合わない消耗戦を強いられているのだ。

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の報告書は、米軍の損失リストを明らかにしている。クウェート上空で友軍の誤射によりF15E戦闘機3機が墜落したほか、少なくとも6機の無人機「MQ9リーパー」が撃墜された。さらに、地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の複数のシステムが部分的に損壊しており、THAADのレーダー単体だけでも5億ドルの価値がある。

また、多数の軍事基地が甚大な被害を受けた。「パトリオット」やTHAADの迎撃率は急落しており、イランによる飽和攻撃、すなわち低コストの無人機とミサイルの波状攻撃が空を覆い尽くしている。イランの戦術は極めてシンプルだが致命的である。米軍の技術がいかに先進的であろうと、イラン側の決死の猛攻には耐え切れない。イランはミサイルと無人機を駆使し、中東にある米軍基地11カ所を組織的に攻撃、甚大な損害と死傷者をもたらし、「海外の米軍基地は絶対的に安全である」という神話を崩壊させた。統計によれば、中東地域における米軍の軍事施設の70%が何らかの打撃を受けており、一方的な軍事抑止力は完全に機能不全に陥っている。
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米国防総省は表面上、弾薬の在庫は「ほぼ無尽蔵だ」と主張しているが、ワシントン・ポストが暴露した内幕によれば、重要弾薬の在庫はすでに枯渇の危機に瀕しており、生産能力の不足を補うには数年を要するという。

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