花俊雄氏の視点:民進党が静かなら台湾は平穏、米日も手を出せない状況

2025-10-24 18:15
元アメリカ副国家安全保障担当補佐官マット・ポッティンガー氏が「信託投資者セミナー」にて、中国が全面戦争を起こさずとも、経済や行政手段で4年以内に台湾に深刻な危機を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らした。(写真/蔡親傑撮影)
元アメリカ副国家安全保障担当補佐官マット・ポッティンガー氏が「信託投資者セミナー」にて、中国が全面戦争を起こさずとも、経済や行政手段で4年以内に台湾に深刻な危機を引き起こす可能性があると警鐘を鳴らした。(写真/蔡親傑撮影)

米ホワイトハウスで台湾や中国大陸を含むアジアの外交・軍事政策を担当した元国家安全保障副補佐官、マット・ポッティンジャー氏は、9月3日の北京での閲兵を目にした後、スタンフォード大学で開かれた「フィデューシャリー・インベスターズ・シンポジウム(Fiduciary Investors Symposium)」で講演し、「中国は武力を用いずとも台湾海峡の危機を引き起こし得る」と警鐘を鳴らした。中国が全面戦争に踏み切らなくても、今後4年以内に台湾で「深刻な危機」が生じる可能性があるとし、「これはトランプ米大統領をはじめ多くの指導者の睡眠を奪うだろう」と述べた。

ポッティンジャー氏は、熱戦に至らずとも北京が台湾を追い詰める手段はいくつもあると指摘。その一例として、世界の主要船社に対し「台湾寄港には北京の同意が必要」と通告するシナリオを挙げた。これが実行されれば海運各社は板挟みになり、台湾を主権国家と見なす立場を放棄するか、あるいは中国本土との取引を失うかの選択を迫られる。後者を選べば、多くの海運企業が倒産の危機に直面しかねないという。また同氏は、解放軍が台湾を奪取すれば第一列島線の地理的制約から解放され、日本を効果的に包囲して「総合的な防衛構想」を麻痺させ、さらには日本のエネルギーと食料の供給線を遮断しうるとも強調した。

反中国のタカ派として知られるポッティンジャー氏は、台湾大学で中国語を学んだ経験を持つ。氏にとって台湾は地政学上の駆け引きの駒にとどまらず、米国がアジア太平洋で影響力を維持するための要の拠点でもある。2024年6月に刊行された『The Boiling Moat—Urgent Steps To Defend Taiwan(沸騰する濠—台湾を守るための緊急のステップ)』の編者を務め、第一章「The Stormy Seas of a Major Test(大試練の荒波)」も執筆した。

同氏は「抑止は戦争より費用対効果が高い」として、台湾海峡は中国を隔てる自然の障壁であり、この地理条件を活かして米国と同盟国が「海峡を中国海軍の墓場にする」発想で戦略を構築すべきだと主張する。あわせて「ハリネズミ戦略」と呼ばれる非対称戦を採用し、台湾を容易に飲み込めない目標にすべきだと提言。具体策として、台湾軍が持久戦の意思や迅速な動員能力に欠ける点を直視し、新たな軍隊文化の醸成が必要だとする。要は、地上部隊と一般市民への徹底訓練と適切な装備の行き渡りが、中国の武力行使に対する強力な抑止になるという立場だ。政府は国民に対し「抗敵」の集団意識を育み、物的・組織的支援や軍事知識・理念の普及を進め、「社会の深度」で台湾の「地理的深度」の不足を補うべきだと論じた。

さらにポッティンジャー氏は、台湾の将来は世界の民主主義と繁栄に直結すると位置づけ、台湾と米国、日本、オーストラリア、欧州のパートナー諸国が訓練や統合作戦計画を含む軍事戦略を策定する必要があると主張する。こうした取り組みは台湾の抑止力の強化に資するとして、同書では米国、日本、オーストラリア、欧州が取るべき措置を章ごとに整理している。

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