頼清徳政権、米MAGA系インフルエンサー囲い込み トランプ氏の対中譲歩に備え

トランプ氏と習近平氏がG20大阪サミットで会談。(写真/AP通信提供)
トランプ氏と習近平氏がG20大阪サミットで会談。(写真/AP通信提供)
目次

トランプ氏と習近平氏の首脳会談が近づくなか、台湾では警戒感が高まっている。現行のトランプ氏2.0政権が、非公開の会談で中国に譲歩し、結果として台湾が不利益を被る可能性があるとの懸念が強まっているためだ。

こうした事態を見据え、ブルームバーグは関係者の話として、頼清徳政権が従来の米国務省など公式ルートでの接触を改め、トランプ氏に近いポッドキャスターやインフルエンサーとの関係構築を進めていると報じた。影響力のある言論人を通じて、ホワイトハウスの姿勢を変える、あるいは台湾への悪影響を最小限に抑える狙いがあるとされる。

トランプ氏の第2期政権で初となる習近平氏との首脳会談が、来週、韓国・慶州で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の期間中に行われる見通しとなった。米中間の貿易摩擦が続くなかで、この会談は緊張緩和を図る重要な場と位置づけられており、台湾問題が主要議題の一つになるとの見方が広がっている。

実際、中国政府はすでに9月の時点でホワイトハウスに対し、米国が「台湾独立に反対する」と正式に表明するよう公然と要求していた。もし米国がこの要求を受け入れれば、中国にとって大きな外交上の勝利となる可能性がある。

どうやってインフルエンサーを取り込む?

ブルームバーグの報道によれば、頼清徳氏と内閣の高官らはここ数カ月、複数の米国保守派のインタビューに相次いで応じ、いわゆる「MAGA(Make America Great Again)」支持層に向けて台湾の安全保障を訴える発信を強化してきたという。これらの場で彼らは、台米関係を支える民主的価値を強調し、貿易や投資の一層の深化に期待を示した。

匿名の関係者によると、この戦略は主にソーシャルメディアを通じて拡散し、外部からトランプ氏とその側近らの議題設定に影響を与える狙いがある。国際的な現実を踏まえると、他国首脳とは異なり、頼氏が米大統領と直接1対1で対話することは難しいため、間接的な働きかけを強化する必要があるとみられている。

20251022-民進黨主席賴清德22日出席民進黨縣市長提名記者會。(柯承惠攝)
2025年10月22日、頼清徳氏(民主進歩党主席)が同党の県市長候補者指名記者会見に出席した。(写真/柯承惠提供)

しかし、こうした非公式な接触ルートの活用には、驚きを示す向きも少なくない。Adam Farrar氏(ブルームバーグ経済研究所)は、「頼清徳政権が米国の保守系メディアを通じて大規模な情報発信を行っているのは、台北がトランプ氏に対して強い不安を抱いている表れだ」と指摘する。また、台湾側はこれまでTSMCによる数十億ドル規模の対米投資を梃子に影響力強化を図ってきたが、ワシントンやトランプ氏本人の認識を大きく変える効果は見られなかったとも分析している。

一方、台湾外交部の報道官は「台米関係は超党派の支持基盤の上に成り立っている」と強調。米国の二大政党と幅広い関係を築いてきたこと、さらに各界との友好関係構築にも努めていると説明した。

トランプ政権関係者の一人は、「米国は台湾政府関係者に対し、新しいメディアを積極的に活用するよう奨励してきた。リベラル派のエリート層に限らず、“本当のアメリカ人”と直接つながることが重要だ」と述べた。

最新ニュース
吳典蓉氏のコラム:国民党党首・鄭麗文氏の浮沈
SSFF & ASIA秋の映画祭で没入型イベント『untitled』開催決定 短編映画の世界を体験できる新企画
大谷翔平「OHTANI DAY」第6弾コレクション抽選販売開始 直筆サイン入りMVPボールが登場
WWE「SuperShow Japan」公式グッズが10月10日より販売開始 ファナティクス・ジャパンが日本初のオンライン展開
渋谷ファッションウィーク2025秋開催 新世界百貨店と日韓ストリート融合ランウェイを展開
トランプ関税の波が台湾を直撃、伝統産業が苦境、米台合意へ期待と
TENTIALが新宿伊勢丹店および大丸心斎橋店POPUPをオープン、秋冬新製品も展開
伊勢志摩の恵みを一貫に 新ブランド「伊勢前寿し 神貫」がVISONで開業、郷土料理も融合
鉄道ファン必見 6000系・7000系・8000系が並ぶ特別撮影ツアー「Dream Line-up 新木場」10月25・26日開催
新経済安保相・小野田紀美氏、「ルールを守らない外国人に厳正対応」と明言
ウクライナ空軍の戦力強化、スウェーデンが大規模支援へ! 厳寒の戦闘環境に適する、150機のグリペン戦闘機の輸出検討
Anthropic Claude 4.5 は安全テストを見破った! 研究員に逆質問:私をテストしているのか?
プロ野球ドラフト会議2025 阪神・藤川監督「1年前から決めていた」 ソフトバンク城島CBO「王会長の重圧、半端なかった」
プロ野球ドラフト会議2025 ソフトバンクが佐々木麟太郎の交渉権獲得 DeNAとの競合制す 創価大・立石正広は3球団争いで阪神へ
《日経》が重大分析「福建派」壊滅で習近平氏の軍中枢が一夜で崩落 台湾向け司令系統にも断裂
トランプ氏の強硬策が壁に直面 最新データが示す「中国製」依存、来週の交渉で習近平氏の一手に期待
トランプ氏、同盟国に「約1兆ドル拠出」を要求 李在明氏は拒否、高市早苗氏は板挟み 英研究者が提言「日韓で連携し、米国にノーを」
【新新聞】知られざる太子グループ カンボジアの銀行・空港・航空まで投資拡大、テマセク連携の報道も
内部暴露》台湾・盧秀燕台中市長に批判集中 国民党の最有力総統候補が不満噴出し反撃
台湾、24年ぶりの新台湾ドル紙幣を全面刷新 100元から2000元まで5種類を再設計へ 政治人物の肖像は消えるのか?中銀総裁が正式発表
独自》北京、台湾光復節を中国の祝日に? 国民党の動きをテコに「両岸共同休日」構想で統一ムード演出か
台湾・花蓮光復せき止め湖決壊 「越流は致命的な誤解」と李鴻源氏 撤退の遅れを悔やみ、選挙年の思惑で復旧が迷走
SMBC日本シリーズ2025開幕へ 阪神とソフトバンクが日本一を懸け激突 25日福岡で第1戦
台湾・花蓮光復「せき止め湖災害」から1カ月 「再建」へ移行も住民に広がる「集団的ためらい」 経済停滞と「心の堰き止め湖」
TSMC、第3四半期で過去最高益を更新 AI需要がけん引し2ナノ量産へカウントダウン
新首相・高市氏、給付金配布と同時に労働時間上限緩和検討 学者「0.1%だけが過労死まで働きたい」
高市政権・松本洋平文科相「南京大虐殺」発言巡り波紋 松本洋平文科相に歴史認識めぐる疑念、高市政権に新たな試練
高市早苗政権下で日台関係は一段と深化するか 台湾・林佳龍外交部長「自信と期待を持っている」
陸文浩の視点:海強操演が終了、頼清徳氏が視察 共軍は特定目標を狙う合同作戦に踏み切るのか?
トランプ大統領、ゼレンスキー非難後にプーチンとの会談見送り、ウクライナ戦争で対立深化
高市早苗内閣を解析》女性の低い割合の論争を気にせず、人事論理を「信頼の輪、保守的価値観」で守る 木原稔、小泉進次郎、片山さつきに注目が集まる
ルーヴル美術館でウジェニーのティアラが盗まれ損傷!1354個のダイヤモンドが散乱、ナポレオン3世の愛の秘密が隠された王冠の行方
北京観察》中国共産党4中全会開幕 「第15次5カ年計画」と人事刷新 習近平氏の次の一歩は?
中国、GDP成長率が1年ぶり低水準 内需冷え込み、輸出依存の厳しい状況 専門家が警鐘
トランプ政権の「秘密外交」が破綻 米中貿易交渉、感情的対立で出口見えず
7年遅れの改革、アフターピルの長い解禁の道! 日本政府が購入制限を撤廃、親の同意不要、年齢制限も撤廃
日本初の女性首相・高市早苗氏を支える「ファーストジェントルマン」山本拓氏 電撃婚・離婚・再婚を経た「政界ラブストーリー」
ガラスの天井を打ち破った高市早苗氏、日本初の女性首相に 「鉄の女」が直面する経済と外交の試練
天気予報》「雨はいつ止む?」台北・新北で記録的降雨 今週末も北東モンスーンで雨続く見込み 気象局が「この日から晴れ」と発表
台湾民意基金会世論調査》韓国瑜の発言が賴清德を上回る支持率 「中華民国なくして台湾なし」51%が賛同
高市早苗新首相の最大の課題は「戦時統治」の試練 80年の平和を経た日本は備えがあるのか?
台湾民意基金会世論調査》賴清德総統の支持率35%、不支持53% 黄揚明氏「中間層が離反、2028年大統領選は勝算なし」
論評:半導体の山は動くのか 台湾の「護国神山」TSMCが米国移転危機 関税交渉の裏で揺れる産業界
日本初の女性首相×女性財務相誕生 市場は「高市相場」に沸騰、専門家の評価は分かれる
政治ドラマの幕開け 高市早苗新首相、人事の狙いは「封じ込め」か「橋渡し」か?
ヴァンス氏、死神の旅路を免れる? 米海兵隊の砲弾が高速道路上空で爆発、破片が副大統領の護衛車両を直撃
「高輪地区まつり with TAKANAWA GATEWAY 」が10月26日に過去最大規模で開催へ 70ブース・盆踊り・未来体験が一日展開
「牛たんの檸檬」海外初進出!台北に海外1号店オープン 日本の「厚切り牛たん文化」が台湾上陸
「ガラスの天井」を破った高市早苗氏 女権の旗手か、自民党の傀儡か 上野千鶴子が「期待しない」と語る理由
独占》米国、国民党関係者と「鄭麗文現象」をめぐり意見交換を開始 彼女は「国民党の蔡英文」か、それとも「台湾版トランプ」か