トランプ氏と習近平氏の首脳会談が近づくなか、台湾では警戒感が高まっている。現行のトランプ氏2.0政権が、非公開の会談で中国に譲歩し、結果として台湾が不利益を被る可能性があるとの懸念が強まっているためだ。
こうした事態を見据え、ブルームバーグは関係者の話として、頼清徳政権が従来の米国務省など公式ルートでの接触を改め、トランプ氏に近いポッドキャスターやインフルエンサーとの関係構築を進めていると報じた。影響力のある言論人を通じて、ホワイトハウスの姿勢を変える、あるいは台湾への悪影響を最小限に抑える狙いがあるとされる。
トランプ氏の第2期政権で初となる習近平氏との首脳会談が、来週、韓国・慶州で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の期間中に行われる見通しとなった。米中間の貿易摩擦が続くなかで、この会談は緊張緩和を図る重要な場と位置づけられており、台湾問題が主要議題の一つになるとの見方が広がっている。
実際、中国政府はすでに9月の時点でホワイトハウスに対し、米国が「台湾独立に反対する」と正式に表明するよう公然と要求していた。もし米国がこの要求を受け入れれば、中国にとって大きな外交上の勝利となる可能性がある。
Taiwanese officials are courting podcasters and influencers aligned with Donald Trump as they grow more worried the US president could undermine the self-ruled democracy’s interests in talks with China, according to people familiar with the matter.https://t.co/tWyiaPlssw
— Bloomberg (@business)October 23, 2025
📷:…pic.twitter.com/ykROnn8h6e
どうやってインフルエンサーを取り込む?
ブルームバーグの報道によれば、頼清徳氏と内閣の高官らはここ数カ月、複数の米国保守派のインタビューに相次いで応じ、いわゆる「MAGA(Make America Great Again)」支持層に向けて台湾の安全保障を訴える発信を強化してきたという。これらの場で彼らは、台米関係を支える民主的価値を強調し、貿易や投資の一層の深化に期待を示した。
匿名の関係者によると、この戦略は主にソーシャルメディアを通じて拡散し、外部からトランプ氏とその側近らの議題設定に影響を与える狙いがある。国際的な現実を踏まえると、他国首脳とは異なり、頼氏が米大統領と直接1対1で対話することは難しいため、間接的な働きかけを強化する必要があるとみられている。

しかし、こうした非公式な接触ルートの活用には、驚きを示す向きも少なくない。Adam Farrar氏(ブルームバーグ経済研究所)は、「頼清徳政権が米国の保守系メディアを通じて大規模な情報発信を行っているのは、台北がトランプ氏に対して強い不安を抱いている表れだ」と指摘する。また、台湾側はこれまでTSMCによる数十億ドル規模の対米投資を梃子に影響力強化を図ってきたが、ワシントンやトランプ氏本人の認識を大きく変える効果は見られなかったとも分析している。
一方、台湾外交部の報道官は「台米関係は超党派の支持基盤の上に成り立っている」と強調。米国の二大政党と幅広い関係を築いてきたこと、さらに各界との友好関係構築にも努めていると説明した。
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トランプ政権関係者の一人は、「米国は台湾政府関係者に対し、新しいメディアを積極的に活用するよう奨励してきた。リベラル派のエリート層に限らず、“本当のアメリカ人”と直接つながることが重要だ」と述べた。






















































