ジェンスン・フアン氏、中国がNVIDIAに対抗する「AI一帯一路」構想に警鐘 ファーウェイの2ナノ猛追に「AIの教父」が危機感

2025-12-08 17:41
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、中国が「AI一帯一路」を打ち出し米企業と競合する事態を懸念し、対中輸出規制の緩和を米政府に求めている。(画像/Google Gemini作成)
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、中国が「AI一帯一路」を打ち出し米企業と競合する事態を懸念し、対中輸出規制の緩和を米政府に求めている。(画像/Google Gemini作成)

NVIDIA(エヌビディア)の最高経営責任者ジェンスン・フアンCEOは12月3日、ファーウェイ(華為)が「極めて強い技術力を持つ企業」であると述べたうえで、米国がNVIDIA製チップの対中輸出を制限することは「世界第2位のAI市場である中国を事実上手放すことになり、ファーウェイに成長余地を与える」と指摘した。将来的には、中国が「AI版・一帯一路」を推進し、米国企業と競合する構図が鮮明になる可能性があるという。

一方、テック系リサーチ機関トップのウ・リングチャン氏は『風傳媒』の取材に対し、最近では「ファーウェイが旧式の深紫外線(DUV)露光装置を使って2ナノ級プロセスに挑んでいる」との情報が出ていると分析。中国が西側との技術ギャップを縮めている点は大きなニュースだが、「突破の方法そのものが、フアン氏の真意ではない可能性もある」と述べた。

フアン氏は現在、米政府に対し対中輸出規制の緩和を求めている。12月3日にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)イベントに登壇した際、輸出制限によって「ファーウェイをはじめ中国企業に発展の余地を残すことになり、将来は国際市場で米企業と競合する可能性がある」と主張した。

また、ファーウェイが「世界的に見ても実力のある技術企業の一つであることを認めるべきだ」と発言。米国が中国市場を放棄することで現地企業に空白地帯が生まれ、中国は先端技術を他国へ輸出する機会を得るため、「AI版の一帯一路」が形成される恐れがあると語った。「彼らは市場に早く参入するほど、生態系の構築が加速し、その中心に位置づけられることをよく理解している」とも述べた。

輝達創辦人暨執行長黃仁勳強調,全球無線通訊網路過去高度依賴外國技術,美國必須掌握下一世代通訊標準的話語權。(資料照,劉偉宏攝)
ジェンスン・フアン氏は、米国の対中規制によって「世界第2位のAI市場である中国を明け渡し、ファーウェイに成長余地を与える」と警鐘を鳴らし、「AI一帯一路」が現実味を帯びると警告している。(写真/劉偉宏撮影)

ファーウェイのチップ製造プロセスは2ナノに迫るのか?

米国がASML製の先進EUV(極紫外線)露光装置を中国本土へ輸出することを禁じた結果、中国の半導体製造は旧式のDUV(深紫外線)露光装置に依存せざるを得ない状況にある。これにより、中国の製造プロセスはおおむね7ナノ相当の水準にとどまっている。一方、TSMCなど主要ファウンドリはすでに2ナノ量産の段階に入ろうとしており、その差は小さくない。

しかし、日経中文網やサウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)など複数の海外メディアによれば、最近公開されたファーウェイの特許から、同社が旧式DUV技術の高度化によって、2ナノ級と競える製造プロセスの実現を目指していることが分かるという。

ウ・リングチャン氏は、中国がNVIDIAと同レベルのチップを作るには高性能な露光装置が不可欠だとしつつ、今回伝えられた最新情報では「旧型DUVを使って新型EUVに近い効果を得る技術を確立しつつある」と説明。現状で2ナノ相当には達していないものの「5ナノから3ナノのレンジに到達する可能性があり、非常に重要な進展だ」と述べた。
つまり中国は、手元にあるDUVだけを使いながら、EUVで作るチップにどれだけ近づけるかを模索している段階だという。

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