防衛省は7日未明、中国海軍の空母「遼寧」に搭載されたJ-15戦闘機が、6日、航空自衛隊のF-15戦闘機に対し、2度にわたって火器管制レーダーによる照射を行ったと発表した。とりわけ2度目の照射は約30分間にも及んだという。高市早苗首相が「台湾有事」に関して強硬な発言をしてから約1か月後、北京が再び「サラミ戦術」をエスカレートさせ、戦争の瀬戸際に立つ「限界的圧力」によって、東京のレッドラインを試しているとの見方も出ている。
防衛省によると、この空中での緊張は、沖縄本島の南東に位置する太平洋上空で発生した。同海域は、いわゆる第一列島線と第二列島線を結ぶ戦略的要衝にあたる。最初の火器管制レーダー照射は、6日午後4時32分から35分にかけて発生した。空母「遼寧」から発進したJ-15戦闘機1機が、スクランブル発進した航空自衛隊のF-15戦闘機に対し、照射を行った。
しかし、背筋が凍るのは2回目の照射である。午後6時37分から7時08分までの間、別のF-15戦闘機が断続的に火器管制レーダーで照射された。31分間にわたり、操縦席ではレーダー警戒受信機(RWR)が鳴り続けていた可能性がある。「火器管制レーダー」(Fire Control Radar, FCR)は、通常の捜索レーダーとは性質が根本的に異なり、国際的な軍事慣行では「模擬攻撃」と見なされる行為であり、実際の発射まで半歩の距離にある危険な動作とされている。
ニュース用語解説:火器管制レーダー(Fire Control Radar, FCR)
火器管制レーダー(射撃管制レーダー)は、広域探索用のレーダーとは異なり、高周波かつ狭いビーム幅で目標を精密追尾し、方位、距離、高度、速度を測定する。レーダーが目標に「ロックオン」された時点で、ミサイルや機関砲などの攻撃システムは発射計算を完了しており、即時に攻撃が可能な状態にあることを意味する。軍事行動において、敵対関係にない航空機に対し、理由なく火器管制レーダーを照射する行為は、きわめて敵対的な挑発と見なされ、「装填された銃を他人の頭に向ける」行為に等しいとされる。
小泉進次郎防衛相は7日未明の緊急記者会見で、「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であり、極めて遺憾」と述べた。防衛省はすでに中国側に対し厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めたという。NHKによれば、防衛省が中国軍機による火器管制レーダー照射を公表したのは今回が初めてだと報じている。 (関連記事: 中国人観光客は日本を避け始めた? ある国が「14日間のビザ免除」を発表するも、ネットでは驚きの反応「お金をもらっても行かない」 | 関連記事をもっと読む )
なぜ今なのか 「高市ショック」の余波
今回の事案の深刻さを理解するには、単なるレーダー表示にとどまらず、東京永田町と北京中南海における政治的な綱引きを見る必要がある。というのも、約1か月前、高市首相は国会答弁で「台湾有事は日本有事」との立場を、前任者よりも踏み込んだ形で表明し、これを「存立危機事態」に該当しうると明言した。これは日本が台湾有事に軍事的に関与し得る法的境界線に正面から踏み込んだ発言であり、北京はこれを重大な「越線」と受け止め、中国外務省は即座に「発言撤回」を要求した。


















































