エア・インディア、耐空証明書切れの機体で8便運航 航空適航基準を無視し乗客を危険に晒す異常事態

エア・インディア(Air India)の現役旅客機。(写真/公式サイトより)
エア・インディア(Air India)の現役旅客機。(写真/公式サイトより)

ンドの航空業界で、再び安全性を揺るがす深刻な事態が発覚した。インド民間航空総局(DGCA)は先日、エア・インディア(Air India)に対する調査を開始したと発表。同社が「耐空証明書(ARC)」の有効期限が切れた状態の現役旅客機を運用し、計8回もの商業フライトを行っていたことが判明したためだ。乗員乗客の生命を軽視する行為として、波紋を呼んでいる。

耐空証明書Certificate of Airworthiness)とは、航空機の登録国の民間航空当局が毎年発行する必須文書であり、機体がすべての安全基準を満たし、商業運航に適した状態であることを証明するものだ。DGCAは具体的な機種を明言していないが、登録コードから推測すると、問題の機体はエア・インディア傘下のエアバスA320シリーズと見られる。これは最近、アップグレードのためにリコールが求められていた単通路機と同じモデルだ。

インド第2位の航空会社であるエア・インディアは、この過失を認めている。メディアに対し、11月26日に自ら当局へ報告したとし、この決定に関与したすべての職員を停職処分にし、さらなる調査を待っていると述べた。

「耐空証明書の期限が切れた状態で運航を続けたことは、極めて遺憾である。安全基準へのコミットメントは揺るぎないものであり、規定からの逸脱は一切容認できない」

報道によると、これは意図的な不正ではなかったものの、あってはならない「管理ミス」だったようだ。当時、当該機はエンジンの交換作業のために運航を停止していた。しかし、整備完了後、証明書の更新確認が漏れたまま誤って運航ラインに復帰され、会社側が期限切れに気づくまでそのまま定期便に投入されてしまったという。

インド航空での墜落後、ロンドン空港カウンターは一時休止。(美聯社)
エア・インディアでの墜落後、ロンドン空港カウンターは一時休止した。(AP通信)

さらに、この背景には2024年の「ビスタラ(Vistara)航空」との合併も関係しているようだ。本来、DGCAはエア・インディアに耐空証明書の自主発行権限を与えていた。しかし合併に伴い、当局は元ビスタラ機70機については、規制当局が直接審査を行うと決定していた。今回トラブルを起こしたA320は、まさにこの「合併後の初回審査」を待つ70機のうちの1機だった。

エア・インディアは、今年6月に発生したボーイング787ドリームライナーの墜落事故(死者260人)という大惨事の衝撃から、未だ立ち直れていない。加えて、パキスタンによるインドに対する空域封鎖措置も、同社に甚大な財務的損失を与えている。

実のところ、DGCAは今年に入ってから何度もエア・インディアに対して安全上の抜け穴について警告を発してきた。年次監査報告書では、実に51項目もの安全欠陥が一挙に指摘されている。その中には、乗務員の疲労管理の不備、パイロットの訓練不足、未承認のフライトシミュレーターの使用、勤務スケジュールの不備などが含まれる。長年蓄積されたこうした内部の膿が、航空会社の安全性を根底から揺るがしているようだ。

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編集:田中佳奈

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