アジア版「循環型都市宣言制度」が始動 横浜市が第1号都市に、国際枠組み本格化

横浜市はアジア版「循環型都市宣言制度」の第1号署名都市となり、山中市長のイクレイ世界理事会理事就任とともに循環型都市移行を主導する姿勢を示した。(写真/横浜市提供)
横浜市はアジア版「循環型都市宣言制度」の第1号署名都市となり、山中市長のイクレイ世界理事会理事就任とともに循環型都市移行を主導する姿勢を示した。(写真/横浜市提供)

横浜市が開催した「アジア・スマートシティ会議2025」において、アジアで循環型都市を推進するための新たな国際枠組み「アジア循環型都市宣言制度」が始動した。欧州では2020年に「欧州循環型都市宣言制度」が創設され、現在までに約90都市が参加しており、都市間で課題や先進的な施策を共有しながら資源循環や脱炭素に向けた政策を高め合っている。横浜市はアジアでも同様の共通基盤が必要だと考え、アジア諸都市のリーダーとともに制度設立を国際機関に公開要望し、この動きにアジア太平洋地域最大の都市ネットワークであるシティネットが賛同し立ち会い証人となった。

11月26日、イクレイ日本は「アジア循環型都市宣言制度」の創設を発表し、横浜市が第1号都市として署名した。環境省、国連機関、世界経済フォーラム、循環経済専門機関Circle Economyなどからも、この取り組みに対する期待が寄せられた。同日、山中竹春市長がイクレイ世界理事会のサーキュラー成長担当理事に就任することも発表され、日本から世界理事会に参加する首長は山中市長のみとなる。

横浜市は来年度、会議名称を「アジア・スマートシティ会議(ASCC)」から「アジア太平洋循環型都市フォーラム(APCC Forum)」へ変更し、各都市の知見を共有する国際的プラットフォームとして強化する方針を示した。山中市長は制度の創設を歓迎し、迅速な制度実現に対するイクレイ日本への感謝を述べた上で、発起都市としてアジアの循環型都市への移行を力強くリードし、多くの都市の参加と知見共有を通じて政策力を高め移行を加速させると強調した。また、イクレイ世界理事会の理事として国際社会に都市の声を届け、政策議論に確実に反映させていく姿勢を示し、引き続きサーキュラー成長の推進に全力で取り組むと述べた。

イクレイ日本の竹本和彦理事長は、アジアの都市リーダーからの公開書簡を受け「アジア循環型都市宣言制度」を設立したと説明した。欧州では既に同様の制度のもと、都市の先進事例や課題共有が進み循環型都市への移行が加速しており、アジアでも都市間の違いを踏まえつつ循環型都市という共通のゴールに向けて知見共有を後押ししていく考えを示し、横浜市が第1号署名都市となったことに喜びを表した。

「アジア・スマートシティ会議(ASCC)」は世界の都市、政府機関、国際機関、学術機関、民間企業の代表者が集まり、経済発展と良好な都市環境が両立する持続可能な都市づくりを目指して議論する横浜市主催の国際会議で、今年で14回目となった。ASCC2025は「環境にやさしい循環型社会に向けて」をテーマに、サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、GREEN×EXPO 2027を軸に議論が行われ、11月25日から27日にかけてセッションやブース展示、海外都市向けの視察ツアーが実施された。 (関連記事: 横浜赤レンガ倉庫、過去最大規模で「Christmas Market」を開催 新エリア誕生で街全体が連動するクリスマス体験に 関連記事をもっと読む

欧州循環型都市宣言制度は2020年にイクレイ欧州が中心となって立ち上げ、22カ国約90都市が参加している。アムステルダム、ベルリン、ヘルシンキ、グラン・パリ大都市圏などが参画し、国際的な循環型都市政策の先導役を担っている。アジアの都市リーダーによる公開要望書では、アジアの実情に即した「循環型都市宣言」枠組みの策定と運営、自治体職員を対象とした能力開発などの技術協力、政策立案支援、優良事例の認知や表彰、枠組みに基づくプロジェクトの実施支援などが求められた。

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