中国の対日規制が強化 林佳龍外相、台湾有事めぐる緊張は「年単位」との見通し示す 日本への支持も表明

2025-12-04 13:17
林佳龍外交部長は2日、米ブルームバーグ通信のインタビューに応じ、台湾の人々に対し訪日旅行や日本製品の購入を呼びかけ、実際の人の往来や消費行動を通じて日本社会に安心感を届けたいとの考えを示した。(写真/顔麟宇撮影)
林佳龍外交部長は2日、米ブルームバーグ通信のインタビューに応じ、台湾の人々に対し訪日旅行や日本製品の購入を呼びかけ、実際の人の往来や消費行動を通じて日本社会に安心感を届けたいとの考えを示した。(写真/顔麟宇撮影)

高市早苗首相が国会で「台湾有事」に言及して以降、日中関係は急速に緊張を強めている。北京は相次いで渡航警告や日本産水産物の禁輸措置を打ち出し、外交的な緊張状態が続いている。台湾の外交部長(外相)である林佳龍氏は2日、米ブルームバーグ通信のインタビューに応じ、この一連の事態について初めて体系的に見解を示した。

林氏は、今回の日中間の外交対立が沈静化するまでに「年単位」の時間を要する可能性があると述べる一方で、「台湾有事」をめぐって両国が事態を沈静化させる余地を見いだすことに期待を表明した。さらに林氏は日本への支持を改めて公言し、情勢をこれ以上刺激しないことを前提に、柔軟な方法と民間交流を通じて日本を支え、この困難な時期を共に乗り越えたいとの考えを示した。

高市答弁が「台湾有事」をめぐる新たな波紋を呼ぶ

今回の日中の緊張は、11月7日の日本国会における攻防に端を発している。高市首相は衆議院予算委員会での答弁で、「台湾有事」は日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に該当する可能性があるとの認識を示した。

日本の安全保障政策において「存立危機事態」とは、日本の存続や国民の権利が重大な脅威にさらされる事態を指し、これが認定されれば集団的自衛権の行使が可能となる制度的枠組みである。この概念は、台湾有事と地域の安全保障を結びつける強い象徴性を持つ発言となった。

これに対し、中国側は高市首相の発言を「一線を越えたシグナル」と受け止めた。中国の立場からすれば、台湾有事を日本の安全問題の延長として位置づけるあらゆる言動は、「台湾問題の国際化」および「内政干渉」と解釈される。このため、中国政府は強く反発し、その後の一連の対抗措置の布石となった。

高市首相の発言は日本の法制度と安全保障政策の枠組みに基づくものであったが、台湾海峡情勢が緊迫する中、各国が相次いで台湾有事に言及する国際的状況と相まって、再び日本を国際政治の渦中に押し出す結果となった。

中国の強硬な反発、日中外交摩擦へと発展

高市首相の発言後、中国政府は日本側に対し、台湾関連の発言の撤回を求めると同時に、日本の姿勢を厳しく非難した。続いて中国は、日本向けの渡航警告の発出や、日本産水産物に対する規制の維持または強化など、重層的な対抗措置を講じた。

これらの措置により、従来は言葉の応酬にとどまっていた対立は、観光や農漁業、輸出入といった分野に実質的な影響を及ぼすものになった。「台湾有事」という4文字は、再び東アジアの世論の焦点となり、日本は国内向けに安全保障戦略と法的立場を説明すると同時に、中国からの外交・経済両面の圧力に対応せざるを得ない状況に置かれている。
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一方、中国側は強硬な姿勢を通じて、国内および国際社会に対し「台湾有事において他国が越えてはならない一線がある」とのメッセージを発信している。こうして日中両国は「台湾有事」をめぐって新たな対峙構造に入ったとみられ、かねて不安定さを抱える東アジア情勢は、さらに緊迫度を増している。

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