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ジョージ・タケイ氏、FCCJで自身の歩みと歴史的経験を語る 俳優で作家・社会活動家のジョージ・タケイ氏がFCCJで記者会見を行い、日系アメリカ人としての強制収容の記憶や『スター・トレック』に込められた多様性の理念、戦後補償の過程など自身の経験を詳細に語った。(写真:FCCJ)
俳優で作家、社会活動家として知られるジョージ・タケイ氏が11月20日FCCJで記者会見を行い、司会のランディ・シュミット氏による紹介から始まり、日系アメリカ人として歩んできた人生、強制収容の記憶、『スター・トレック』の歴史や理念、近年の活動、日本とアメリカの現状について、長時間にわたって詳細に語った。
俳優で作家・社会活動家のジョージ・タケイ氏がFCCJで記者会見を行い、日系アメリカ人としての強制収容の記憶や『スター・トレック』に込められた多様性の理念、戦後補償の過程など自身の経験を詳細に語った。(写真:FCCJ) シュミット氏は、GPTが挙げた「アメリカ視点で著名な日本人・日系アメリカ人5名」のうちタケイ氏が1位だったことを紹介し、黒澤明や大谷翔平、小野洋子、宮崎駿らの名も挙げつつ、タケイ氏が「最も知られた日系アメリカ人」として登壇したと述べた。タケイ氏は自身の名前がしばしば「タケイ(高い)」と誤って発音されることに触れ、正しい発音が「タケイ」である点を説明した。
タケイ氏は、近年改めて視聴した『スワイライト・ゾーン』のエピソードや過去の俳優仲間との仕事の記憶に触れ、クラブの多様性と歓迎の雰囲気に感謝を述べた。自身が関わってきた舞台作品や書籍の話題にも及び、YouTubeでも同会見がライブ配信されていることに触れながら、観客に向けて挨拶を行った。
そして、自身が出演した『スター・トレック』が来年で60周年を迎えることを紹介し、番組が3シーズンで打ち切られながらも、その後の世代に引き継がれ大きな文化的影響を持つようになった経緯に触れた。
タケイ氏は、作品が掲げる「無限の多様性と無限の組み合わせ(Infinite Diversity in Infinite Combinations)」という理念について語り、会場を見渡しながら、その精神がFCCJの空間にも表れていると述べた。さらに、日本語で読めるようになった自身の子ども向け絵本を掲げ、アメリカの歴史、とりわけ日系アメリカ人強制収容の事実がいまだ十分に知られていないことを指摘し、次世代に伝える重要性を強調した。
続いてタケイ氏は、1941年12月7日の真珠湾攻撃と翌日の戦争宣言を経て、日系アメリカ人が直面した状況を、自身が子どもとして体験した記憶とともに語った。5歳の頃、家族が自宅から兵士によってわずか数分の猶予で追い立てられ、母親が涙を流しながら荷物を抱えて連行された出来事を詳細に回想。
ロサンゼルスの小東京や西本願寺に集められ、その後トラックでサンタアニタ競馬場に移送され、厩舎に寝泊まりした経験にも触れた。そこでは赤い蚊が飛び回り、馬の臭いが残る仮設環境に多くの家族が押し込められていたと述べ、母親の不安と涙、父親の静かな振る舞い、幼い兄弟たちの混乱が自身の最初の戦争体験だったと語った。
収容生活の中では、ロイヤルティー・クエスチョネアと呼ばれる質問票が17歳以上のすべての者に課され、特に質問27と28が多くの混乱と不安を引き起こしたと説明した。質問27は「アメリカ軍への従軍意思」を問うものであり、若い子どもを抱える親たちは家族と引き離される恐れから答えに苦しんだと語った。質問28は「アメリカへの忠誠と日本の天皇への忠誠放棄」を同時に求める相反する内容で、アメリカ生まれの日系人にとっても回答は困難だったと指摘した。
回答によっては家族が敵視され、分断や暴力も発生し、収容所内が混乱したと述べた。トゥーリー湖収容所では1万8千人が収容され、各地で不公平な扱いに抗議しようとする者と政府に協力しようとする者が衝突し、夜間に暴力事件や逮捕が続いたという。タケイ氏は、一部の若者が反抗的な立場を取り、日本軍を支持する行動をとったケースも紹介し、収容所内が極度に危険で混乱した環境だったと説明した。
広島と長崎の原爆投下後、戦争が終わった時期の家族の状況についても語り、故郷が広島であった親族の安否をめぐる母親の恐怖や不安、祖父母が山の裏側にいたため生き延びた経緯など、戦後の混乱と悲しみの一端を示した。戦後、家族はアメリカ各地に移り住み、父親は25ドルと片道切符のみで暮らしを再建しようとしたと述べた。
タケイ氏は、のちに日系アメリカ人コミュニティが不当な扱いに対する補償と謝罪を求めて議会に働きかけ、1981年に約700人が証言した公聴会が開かれた過程を説明。自身も幼少期の経験を証言したことを語り、父親から「民主主義は市民の参加によって守られる」と教えられたことが自身の原動力になったと述べた。
その後、ロナルド・レーガン大統領が謝罪声明と2万ドルの補償を行った「市民自由法(Civil Liberties Act)」に触れ、母親と自身が補償を受け取った経緯を語った。父親はすでに亡くなっていたが、「いつかこの日が来ると知っていた」と母が語っていたと述べた。自身は補償金を日系アメリカ人博物館に寄付し、同館の創設に関わったと述べ、現在は改装のため一時閉館しているが来年4月に再オープンすると紹介した。
質疑応答では、『スター・トレック』制作期の背景として、ベトナム戦争や文化運動、冷戦下の社会状況が作品へ与えた影響について問われ、タケイ氏はジョン・ウェイン主演作『グリーン・ベレー』への出演経験を引きながら自身の役割や条件の限界を語った。制作側であるジーン・ロッデンベリーの姿勢にも触れ、キャラクター構築がシーズンごとに変化したことを説明した。さらに、チェコフ役の俳優が新しく加わったことでロシア系人物の象徴がシリーズに導入された経緯にも言及した。
日本のLGBTQコミュニティについての質問には、渋谷区が同性カップルを認める取組を始めたことに触れつつ、渋谷では認められても他の地域では職場で不利益を被りうる環境があると指摘し、「非常に不公平だ」と語った。日本ではいまだ課題が大きく、アメリカでも政治的な揺り戻しが見られるとしつつ、平等を目指す取り組みの継続を強調した。
日米関係や今後の展望について問われた際には、現在の情勢への不安に触れつつ、日本の若年層と接した経験から、彼らが「平和を語る存在」であると述べた。戦争体験を持つ世代が減る中で、自身の子ども向けの本が歴史を知る入口になればと語り、平和への意識が若い世代に受け継がれているとの見方を示した。また、政治家の発言が時に後退的に見えることがあっても、民主主義の中で市民が平和を求め続ける重要性に触れた。
会見はタケイ氏の詳細な歴史回想と哲学的な発言が続き、最後まで観客の質問に丁寧に応じながら終了した。
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