トップ ニュース 頼清徳総統の「大陸」呼称で中国軍機は活動停止? 専門家は「両会」開催が主因と分析
頼清徳総統の「大陸」呼称で中国軍機は活動停止? 専門家は「両会」開催が主因と分析 頼清徳総統が中国を「中国大陸」と呼び、「二国論」色を弱める姿勢を示した後、台湾周辺における中国軍機の活動が減少した。(写真/柯承恵撮影)
台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統は2月24日、台商(中国大陸で活動する台湾実業家)との新春懇親会に出席した際、中国を「中国大陸」と呼称した。これにより「二国論(台湾と中国は別の国であるという主張)」の色合いを薄める姿勢を見せた。その後、2月28日から数えて9日間、台湾周辺での中国軍機の活動が確認されていない。これが頼氏による「善意」の表明と関係があるのか。淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威(ば・じゅんい)助理教授は、ニュースサイト『風傳媒』の取材に対し 、軍機の活動減少は頼氏の呼称変更よりも、北京で開催されている「両会」の影響が大きいとの見解を示した。
総統による「大陸」呼称の背景 頼総統は2月24日、海基会(海峡交流基金会)が主催した新春の集いにおいて、中台関係に触れた際、意図的に「中国大陸」または「大陸」という言葉を用いた。台湾側が対岸を「中国」と呼ぶ場合、それは「二国論」のニュアンスを含むが、「中国大陸」や「大陸」と呼ぶことは、中台を「台湾地区と大陸地区」と定義する中華民国憲法や両岸人民関係条例に合致する。
中国軍の動向と外部情勢の連動 馬氏は、中国軍の活動を長期的に観察すると、その規模は外部情勢と連動していると指摘する。例えば、米国による台湾への武器売却や、台湾側による「二国論」的な宣言など、激しい発言や行動があった場合には、台湾海峡における中国軍機 や艦艇の活動数が増加する傾向にある。
中国人民解放軍は旧正月前に「軍用機の長距離飛行 および海空合同訓練」や「統合戦備パトロール」を実施した。写真は編隊飛行する中国軍機。(写真/新華社提供)
一方で、北京の重要な政治日程が進んでいる場合など、特殊な状況下では活動が一時停止することもある。馬氏は例として、昨年の中国による「93軍事パレード(抗日戦争勝利記念日)」や10月の国慶節(建国記念日)を挙げ、昨年の下半期にも一定期間、中国軍の活動が減少した時期があったと述べた。
活動減少の「真の要因」 こうしたこれまでの経緯に基づき、馬氏は直近の活動減少について、現在北京で開催されている「両会(全国人民代表大会および中国人民政治協商会議)」が要因である可能性が高いと分析している。例年、両会の期間中は中国軍機や艦艇の活動数が減少する傾向にあるという。
馬氏は、単に「中国大陸」という呼称を用いただけで軍事的な圧力が減少すると考えるのは、対価のバランスとして現実的ではないとの見方を示した。
淡江大学国際事務戦略研究院の馬準威・助理教授 は、中国の軍機・軍艦の活動数は、北京の重大な政治日程と関連性があると分析する。(写真/陳品佑撮影)
馬氏 は、米国によるイランへの武力行使が、現在の中国軍機・艦艇の活動減少を招いているとは考えておらず、また4月の「米中首脳会談」に向けた布石とも見ていないと述べた。中国共産党は本来、極めて明確な目標に沿って行動しているとの認識を示している。そのうえで、これまでの観察から、中国軍機・艦艇の台湾海峡周辺での活動量は、中国共産党自身の政治日程と比較的強く連動していると指摘した。
(関連記事:
中国軍機が台湾周辺で異例の減少 戦略学者が読む「4つの可能性」
|
関連記事をもっと読む
)
馬氏は、今後注目すべき点として、全国人民代表大会と中国人民政治協商会議、いわゆる「両会」が近日中に閉幕することを挙げた。そして、両会終了後もなお中国軍機・艦艇の動きが静かなままであれば、4月初旬に予定される中国の習近平国家主席と米国のトランプ大統領との会談が影響している可能性があると分析した。一方、両会終了後に軍機・艦艇の活動が再び増加すれば、それは主として中国共産党内部の政治日程による影響だとみるべきだと述べた。
また、外部では中国軍機の減少が頼清徳総統による融和的なシグナルと関係しているのではないかとの見方もあるが、馬氏はこれに対し、仮に頼総統が刺激的な発言をすれば、中国軍機・艦艇の数は確実に増えるだろうと語った。
その一方で、比較的穏やかな発言であれば、中国軍は依然として自らの既定のスケジュールに従って行動する可能性の方が高いとの見方を示した。最近の中国軍機・艦艇の減少は、主として両会開催中であることの影響によるものであり、外部要因が非刺激的なものである限り、その連動性は比較的低いとみている。
さらに馬氏は、中国共産党はすでに頼清徳総統の本質を「台湾独立」と位置づけているため、頼総統が対岸を「中国大陸」と呼んだことだけで、それを重大な善意の表れと受け取るのは難しいと述べた。もちろん、頼総統のこうした表現が台湾海峡情勢に対して比較的刺激を与えにくい点については、一定の評価が必要だとした。しかし、ただ「中国大陸」という一言を用いただけで、中国軍機・艦艇による台湾周辺での活動が減少したとすれば、その「対価」としてはあまりにも小さいとの見解を示した。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
イスラエル駐日大使「核兵器11発分」のウラン保有を警告 北朝鮮の教訓挙げイラン阻止訴え イスラエルのギラド・コーエン駐日大使は4日、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行い、イランによる核兵器開発の現状と、それに対するイスラエルおよび米国の抑止行動の正当性を強調した。大使は、イランの最高指導者体制が核保有を追求し、弾道ミサイル計画を拡大させていると指摘。地域の代理勢力を通じて中東および世界の安定を脅かしていると厳しく非難した。イスラエル駐......
Nothing、ホワイトデーセール開催 人気オーディオ製品が最大25%オフの特別価格で登場 ロンドンを拠点とするコンシューマー・テクノロジー・ブランド「Nothing」は、2026年3月14日まで「Nothingホワイトデーセール」を開催している。今回のセールでは、人気のオーディオ製品を中心に最大25%オフの特別価格で販売される。実施期間は3月6日正午から14日23時59分まで。在庫がなくなり次第、終了する予定だ。対象商品には、同社の主力オーディオ......
台湾行政院長の東京ドーム訪日に中国が反発 日本は「個人旅行」と説明、台湾は冷静対応 台湾の卓栄泰(たく・えいたい)行政院長(首相に相当)が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されていた東京ドームを訪れ、台湾代表の試合を観戦したことが大きな波紋を広げている。昨年7月の林佳龍(りん・かりゅう)外交部長(外相)による訪日に続く現職閣僚の訪問に対し、中国政府は「台湾独立を企てる挑発行為だ」と猛反発。一方、台湾外交部は10日、日本との......
5年後も価値が落ちにくい車はどれか リセール率ランキング、首位はトヨタ64.9% 自動車の購入において、多くのオーナーを悩ませるのが「リセールバリュー(再売却価値)」だ。特に、将来的な乗り換えを前提とする消費者にとって、旧車の売却価格は新車購入費用を分担する重要な資金源となる。自動車消費者支援サイト『CarEdge』が発表した「新車登録から5年後の残価率ランキング」によると、上位10ブランドはいずれも原価の50%以上を維持するという驚異的......
高市首相、石油備蓄45日分の単独放出を閣議決定 ガソリン価格は170円に抑制 高市早苗首相は11日、緊迫する国際エネルギー情勢に対応するため、来週にも国家備蓄石油を放出すると発表した。国際エネルギー機関(IEA)による協調放出の決定を待たず、日本独自に緊急介入措置を講じ、国家備蓄を動用することを強調した。ホルムズ海峡の航行リスク増大日本が迅速かつ断固とした決定を下した背景には、同国の脆弱なエネルギー供給構造がある。現在、日本の輸入原......
ホルムズ海峡が「世界で最も危険な海域」に 各国商船がAIS上で「中国船」装う動き 船舶追跡プラットフォーム「マリン・トラフィック(Marine Traffic)」のデータに基づいたAFP通信の最新の分析によると、ペルシャ湾に停泊、またはホルムズ海峡の通過を予定している各国商船が、自動識別装置(AIS)上の情報を書き換え、中国との関連性を強調する事態となっている。機雷や無人機が飛び交う危険海域において、「中国船」を名乗ることが事実上の「免罪......
7-ELEVENの人気商品がグッズに Happyくじ「セブン-イレブン」、3月13日発売 サニーサイドアップが展開する「Happyくじ」から、セブン-イレブンの人気商品をモチーフにした新シリーズ「セブン-イレブン」が、2026年3月13日(金)から全国のセブン-イレブン店舗で順次発売される。今回のくじは、店頭でおなじみの「からあげ棒」や「ちぎりパン」、「セブンプレミアム ゴールド」シリーズなどをイメージしたグッズがそろい、全9等級とLAST賞で構......
大谷翔平選手がアンバサダー就任 ファミマ「おむすびJAPAN」累計販売数420万個を突破 株式会社ファミリーマートは、2026年3月3日より全国およそ16,400店舗で展開している「新生、おむすびJAPAN。」キャンペーンにおいて、開始から1週間で累計販売数が420万個を突破したと発表した。昨年実施した「おむすび二刀流、解禁。」キャンペーンの初週実績である約300万個を大きく上回り、好調な滑り出しとなっている。今回のキャンペーンでは、おむすびアン......
WBC日本代表「お茶たてポーズ」Tシャツ発売 北山亘基考案のセレブレーションをデザイン ファナティクス・ジャパン合同会社は、2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™の開催に合わせ、日本代表選手たちが得点時などに披露している「お茶たてポーズ」をモチーフにしたオリジナルイラストTシャツの販売を、3月10日19時ごろから開始した。販売は、WORLD BASEBALL CLASSIC™オフィシャルストア(ファナティクス・ジャパン公式スト......
米NFLの巨大ビジネスの実像 NYT記者がFCCJで内幕語る ニューヨーク・タイムズのスポーツビジネス記者、ケン・ベルソンが日本外国特派員協会(FCCJ)で開かれた「Book Break」に登壇し、自著『Every Day Is Sunday』について語った。ベルソンは、ジェリー・ジョーンズやロバート・クラフトらNFLチームのオーナーと、コミッショナーのロジャー・グッデルが、いかにしてNFLを文化的にも経済的にも米国最......
中国軍機が台湾周辺で異例の減少 戦略学者が読む「4つの可能性」 過去10日間のうち9日間、台湾周辺で中国軍機の活動が確認されないという極めて異例の事態が続いており、外部から注目を集めている。これに対し、淡江大学国際事務・戦略研究所の黄介正(こう・かいせい)副教授は『風傳媒(ストーム・メディア)』の取材に対し、米国のトランプ大統領が4月頃に訪中し、中国の習近平国家主席と会談する予定であることを指摘。中国側が「台湾問題を武力......
2025年ノーベル賞受賞の北川進氏と坂口志文氏が会見 研究の実用化と日本の研究環境改善を訴え 2025年にノーベル化学賞を受賞した北川進・京都大学特別教授と、ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文・大阪大学特別栄誉教授が2026年3月3日、日本記者クラブで記者会見を開いた。北川氏は多孔性金属錯体(MOF)を活用した環境・エネルギー分野での応用について、坂口氏は制御性T細胞(Tレグ)を基盤とする新たながん免疫療法やアレルギー疾患治療の可能性について語......
米国の国際政治学者「米国はイラン戦争に勝てない」 中東での消耗に「中国は有利」と分析 国際関係論の巨頭として知られるシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授はこのほど、米国・イスラエルによる対イラン戦争について見解を述べた。同氏は、米国がいかなる意味でもこの戦争に勝利することは不可能であり、イラン側は「生き残ること」ができれば勝利と見なせると指摘。米国がウクライナだけでなく中東にも足止めされ、武器弾薬を大量に消耗させている現状に対し、「中国は密......
断交後初、台湾行政院長がWBC観戦で訪日 日本は「個人旅行」、中国は強く反発 台湾の卓栄泰(たく・えいたい)行政院長(首相に相当)が東京ドームを訪れ、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場している台湾代表を応援した。現職の行政院長が試合観戦のために訪日するのは、1972年の台日断交以来初めて。象徴的な外交上の進展と見なされる一方で、中国当局は即座に強い抗議を表明した。これに対し、日本の木原稔内閣官房長官は、卓氏の訪日を「個......
永井豪氏、創作の原点とアニメへの思い語る ファンミーティングをYouTubeで期間限定配信 アニメ展示拠点「アニメ東京ステーション」(東京都豊島区)は、漫画家の永井豪氏を招いた公開収録イベント「永井豪先生を囲むファンミーティング」の模様を、2026年3月13日から4月12日までの期間限定で公式YouTubeチャンネルにて配信する。本イベントは、フランスの「アングレーム国際漫画祭」が本年中止となったことを受け、3月13日から池袋で開催される「東京アニ......
トランプ氏「戦争は非常に早く終わる」 原油一時119ドル、原油高と選挙圧力に市場注目 米国とイランによる軍事衝突の激化を受け、原油価格が高騰し株式市場が急落する中、ドナルド・トランプ米大統領は3月9日、突如として「米軍はイランの空軍および海軍に甚大な打撃を与えた。この衝突は、当初想定していた『4週間』よりも早く終結するだろう」と宣言した。しかし、ロイター通信は、トランプ氏がいまだ「勝利」の定義を明確にしておらず、戦争の終結が具体的に何を意味す......
【台湾海峡の深層】頼清徳総統の「3つの変化」 中台関係に微妙な変化、中国も注視 台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統は2月24日、海峡交流基金会(海基会)が主催した旧正月恒例の台湾系企業家交流イベントに出席した。頼総統はあいさつの中で中台関係に触れ、中国側を指す呼称としてあえて「中国大陸」や「大陸」という言葉を用いた。頼総統はこれまで、強い「二国論」の色合いを帯びた「中国」という呼称を多用してきたが、今回の「大陸」や「中国大陸」という表現......
イラン情勢下でも米中首脳会談へ調整続くか 中国の王毅外相「高層交流は議題に」 アメリカとイスラエルの共同作戦によるイランへの軍事打撃は、3月末に予定されているドナルド・トランプ米大統領の訪中および習近平国家主席との首脳会談に影響を与えるのか。中国の王毅外相は3月8日、今年を米中関係の「重要な年」と位置づけ、「高層級の交流日程はすでに両国のテーブルの上に置かれている」と言明した。その上で、双方がなすべきことは周到な準備を整え、適切な環境......
中国・王毅外相「台湾は80年以上前に光復」 全人代記者会見で統一方針を改めて強調 中国の全国人民代表大会(全人代)で8日、外相記者会見が開催された。北京当局が台湾海峡における衝突のリスクをどう見ているか、また統一のタイムラインやロードマップを設けているかという質問に対し、中国の王毅(おう・き)外相は「国際社会には『一つの中国』を堅持する圧倒的なコンセンサスが形成されている」と強調。その上で、「80年以上前に光復(主権回復)した台湾を、いか......
【舞台裏】台湾外交を支える「食卓外交」 ワインが切り開く意外な突破口とは 現代の外交体系の確立において、フランスは極めて重要な役割を果たしてきた。英語の「diplomacy(外交)」はフランス語の「diplomatie」に由来し、さらにその語源は「折り畳まれたもの」を意味するギリシャ語の「diploum」に遡る。これは外交特使が携える委任状を指し、後に「diploma(証書)」を経て現在の意味へと発展した。興味深いことに、中世から......