震災から15年、福島が歩む「水素のまち」への道 トヨタとの強固な連携で挑む次世代エネルギーの未来

福島県とトヨタが連携し、震災から15年を経て浪江町などを拠点にコスト削減や観光化を通じた水素社会の実現を加速させている。(写真/トヨタ提供)
福島県とトヨタが連携し、震災から15年を経て浪江町などを拠点にコスト削減や観光化を通じた水素社会の実現を加速させている。(写真/トヨタ提供)

2011年の東日本大震災から15年を迎え、福島県は脱原発に向けた次世代エネルギーの柱として、水素を活用した未来のまちづくりを推進している。2021年に同県とトヨタ自動車が連携協定を締結して以来、その取り組みは着実に広がりを見せている。

福島県浪江町では、水素社会の実現とゼロカーボンシティ達成を目指す「なみえ水素タウン構想」を掲げ、多様な分野で水素の利活用を進めている。今年で5回目を数える「なみえ水素まつり」に加え、水素について学びながら旅をする「水素ツーリズム」も新たに始動した。浪江町は多くの企業や研究機関の実証実験の場となっており、参加者は現地現物で最先端の水素技術を学ぶことができる。町面積の8割が依然として帰還困難区域であるなか、吉田栄光町長は「水素を通して被災地が前に進んでいる姿、今の福島の姿をしっかりと見ていただきたい」と思いを語った。

水素社会の本格的な普及に向けた最大の壁は「運営コスト」だ。福島県いわき市で水素ステーションを運営する根本通商は、コスト課題の解決に向けてトヨタに相談。トヨタの元町工場で訓練を受け、従来は専門業者に依頼していた定期メンテナンスを自社スタッフで行うことで、コスト削減を図る挑戦を始めている。根本克頼社長は「コスト削減は全国の水素ステーションが抱える共通の課題。我々がいわきから解決策を発信できれば、スタッフ一同の大きな喜びになる」と笑顔で決意を述べた。

2025年10月に郡山市で開催された「再生可能エネルギー産業フェア」には、水素活用を推進する企業が一堂に会した。福島県の内堀雅雄知事は「原発事故に見舞われた福島県だからこそ、水素社会のトップランナーとして前に進めたい。トヨタと共に仲間の輪を広げ、福島から全国、そして世界へ水素のある暮らしを広げていきたい」と展望を示した。福島とトヨタの強固な連携による水素活用の輪は、今後さらなる広がりが期待される。

​​​​編集:小田菜々香

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