過去10日間のうち9日間、台湾周辺で中国軍機の活動が確認されないという極めて異例の事態が続いており、外部から注目を集めている。これに対し、淡江大学国際事務・戦略研究所の黄介正(こう・かいせい)副教授は『風傳媒(ストーム・メディア)』の取材に対し、米国のトランプ大統領が4月頃に訪中し、中国の習近平国家主席と会談する予定であることを指摘。中国側が「台湾問題を武力で解決しない」姿勢を示すことで、トランプ氏側からの回答を待っている可能性があるとの見解を示した。
台湾国防部の発表によると、2月28日以降、台湾周辺で探知された中国軍機は最大でも2機にとどまっており、前年同期の計86機と比べて激減している。3月10日午前6時までの最新動態では、中国軍艦6隻が確認されたものの、軍機の飛来はゼロだった。
黄氏は、中国軍機による活動が止まっている背景について、以下の4つの可能性を挙げている。
- 中国で「両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)」が開催中であること。
- 4月に予定されている「トランプ・習会談」に向けた環境整備。
- 台湾問題の平和的解決というポーズを示し、トランプ氏側の出方を伺っていること。
- 単にこの期間、中国軍側に演習科目が設定されていなかったこと。

一方で黄氏は、直近の状況のみをもって、中国軍による「合同戦備警巡(パトロール)」の常態化に変化があったと断定することはできないと釘を刺す。「常態化が消失したと言うには、まだ期間が短すぎる。また、何をもって『常態化』と見なすかの定義も曖昧だ。航空機や艦艇が確認されない場合でも、国防部は遠方の艦艇や気球の存在に言及することがある。気球を戦備警巡に含めるか、あるいは艦艇が台湾からどの程度の距離にあれば対象外とするかといった基準の判断は難しい」と分析した。
黄氏は、近日の中国軍機による台湾接近の減少について、中国で「両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)」が開催されていることや、全国人民代表大会で解放軍内の人事刷新が行われ、多くの上層部が入れ替わった影響についても言及した。しかし、同氏はこの説には慎重な姿勢を見せる。「解放軍の上層部はすでに多くの将官が拘束されているが、昨年末の演習『正義使命』では、何ら支障をきたすことなく全科目をほぼ完璧に完遂した。軍の上層部に欠員が出たからといって、軍のシステム全体に問題が生じたり、士気が動揺したりするとは言い切れない」と指摘した。
また、軍高層部の人事問題が演習の頻度減少に影響しているかどうかについては、「真相は藪の中(羅生門)だ」と述べた。
一方で、米中首脳会談に向けた環境整備という側面については、一定の妥当性があるとの見方を示した。「現在、米国の関心の大部分は中東地域に向けられており、米国側がアジアでの火種を望んでいないことは明らかだ」

黄氏個人としての判断では、中国が「台湾問題を武力で解決しない」というポーズをあえて示している可能性があるという。「習近平国家主席は、かつてバイデン元大統領に対し『米国が中国の平和統一を支持すること』を二度にわたって求めたが、バイデン氏は回答を避けた。ホワイトハウスの主がトランプ氏に代わった今、トランプ氏がどう答えるのかを注視しているのではないか」と分析した。
さらに、最後の一つの可能性として、黄氏は「単にこの期間に演習の計画が組まれていなかっただけ」という点も挙げた。「解放軍が『もともと演習の予定はなかった』と言えば、彼らの演習計画を知る者は誰もいない以上、それを否定することはできないからだ」
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編集:柄澤南 (関連記事: 中国・王毅外相「台湾は80年以上前に光復」 全人代記者会見で統一方針を改めて強調 | 関連記事をもっと読む )
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