2026年の統一地方選を控え、台湾の各政党が候補者擁立を加速させる中、国民党の有力者である盧秀燕(ろ・しゅうえん)台中市長が11日深夜、米国訪問に出発する。5州9行政区を巡る今回の訪米は、2028年の総統選を見据えた「布石」になるとの見方が大勢を占めている。
文化大学の鈕則勳(ちゅう・そくくん)教授は10日、自身のSNSで盧市長の訪米には4つの主要な目的があると指摘した。鈕氏は、今回の訪米が国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席を牽制する狙いがあるとの一部の見方に触れつつも、「それだけに焦点を当てるのは、盧市長の政治的器量を過小評価している」と分析する。
総統選を見据えた「異例の厚遇」
国民党内の「トップランナー(母鶏)」と目される盧市長は、11日から21日にかけて米東部のボストン、ニューヨーク、ワシントンD.C.、および西部のシアトルなどの主要都市を歴訪する。9日の記者会見で盧市長は、目的を「都市交流の深化と台米親善の強化」と説明。会談する米政府高官のレベルについては「状況に応じて報告する」と述べるにとどめたが、米側の接遇は「総統候補級」に近いハイレベルなものになると伝えられている。
鈕教授は、盧市長の訪米が持つ政治的意義を以下の4点に整理した。
1.国際的な格付けの向上
総統候補にとって訪米は「必須科目」であり、米側の政治家との交流を通じて政治的エネルギーを蓄積することは、次期総統選への意欲を示す絶好のスタートとなる。
2.党内政局の回避と「戦場の転換」
新北市長選の候補者が侯友宜(こう・ゆうぎ)市長の調整により一本化された一方で、台中市では江啓臣(こう・けいしん)・立法院副院長と楊瓊瓔(よう・けいえい)・立法委員の争いが激化。盧市長は調整力不足を批判されていたが、訪米により「戦場を変える」ことで、外交面での加点を狙う意図がある。
3.党中央への対抗と権力基盤の強化
盧市長は党主席の座にないため、2028年を目指すには独自の政治的存在感を高める必要がある。武器調達予算案など重要課題において党中央と異なるスタンスを見せることも、権力闘争の観点からは合理的といえる。
4.予備選時期をめぐる意地のぶつかり合い
盧市長は台中市長選の予備選を1月末までに決着させるよう求めていたが、党中央は3月の世論調査実施を決定した。これを「面子を潰された」と捉える盧市長にとって、訪米は自身の政治力を誇示する場となる。
2028年に向けた「親米和中」路線の体現
訪米の背景には、鄭麗文主席率いる党中央の「親中寄り」なイメージを払拭し、国民党本来の「親米」姿勢を強調する狙いがあるとの見方もある。しかし鈕教授は、盧市長と鄭主席の間には一定の黙認された役割分担があるのではないかと指摘する。
「親米和中(米国と親しみ、中国と和す)」という党本来の路線を二人で分担して遂行することで、与党・民進党からの「親中派(抹紅)」レッテル貼りを防ぐ狙いがあるという分析だ。鈕氏は「『ママ市長』の愛称で知られる盧市長は、闘争を第一の選択肢にはしない。たとえ鄭主席との駆け引きがあったとしても、彼女は『協力』の部分を強調するだろう。それが2028年の勝利に繋がると理解しているからだ」と結論づけた。
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編集:柄澤南 (関連記事: 【舞台裏】盧秀燕・台中市長が11日から訪米へ、2028年へ布石か 軍事予算めぐる国民党内対立も焦点 | 関連記事をもっと読む )


















































