日本の第104代首相に選出された高市早苗氏は、10月21日午後の臨時国会で正式に首相に指名されたのち、夜には皇居での「親任式」に出席し、天皇陛下から任命を受けた。その後、首相官邸で記者会見を開き、新内閣の人事構成や今後の施政方針について説明した。
台湾の外交部長・林佳龍氏は22日午前、立法院(国会)で取材に応じ、高市氏の首相就任を歓迎するとともに、「高市早苗氏はこれまで台湾に非常に友好的で、良好な交流経験と安定したコミュニケーションのパイプを持っている。日台関係がさらに一段階上のレベルへ発展することを期待している」と述べた。さらに、安全保障だけでなく経済安全保障の面でも連携を強化し、「非レッド・サプライチェーン(民主的価値観を共有する供給網)」の構築を目指す意向を示した。
台湾政府の迅速な祝賀メッセージ
高市氏が日本時間21日午後2時ごろに当選を確定させると、台湾の外交部および総統府はそれぞれ同日午後3時前後に祝電を発表。続いて、賴清徳総統と林佳龍外交部長がSNS上で直接祝意を伝えた。両者とも、今年4月に高市氏が台湾を訪問した際に、印太地域情勢や経済協力について意見を交わしたことに触れた。
また、林氏は7月下旬に日本を極秘訪問した際、高市氏と会談を行い、日台協力のさらなる拡大について率直な意見交換を行ったことも明かしている。
「高市政権の外交方針に自信と期待」
林佳龍氏は22日午前、立法院外交および国防委員会で「最近の台米関係と関税交渉の進展状況」に関する報告を行う前に、記者団の質問に答えた。高市政権下での日台関係の展望について問われると、林氏は次のように語った。「我が国政府は総統から外交部に至るまで、第一時間で高市氏の首相就任を祝福した。高市政権の政策方針については『非常に自信を持っており、また大きな期待を寄せている』。外交面でも、高市早苗氏は常に台湾に友好的な姿勢を示してきた。」
林氏は続けて、「台湾と高市氏との間には良好な交流経験と信頼関係が築かれており、この安定したコミュニケーション・ルートを基礎に、日台関係がさらに高いレベルに発展することを期待している」と強調した。
また、「台湾が推進する総合的な外交戦略においては、価値外交・同盟外交・経済外交のいずれも全面的に強化していきたい。高市氏のインド太平洋戦略は、故・安倍晋三元首相の構想を継承するものであり、台湾を不可欠なパートナーとして位置づけている。我々としても、安全保障のみならず、経済安全保障の面でも緊密な協力関係を築いていきたい」と語った。
「民主的サプライチェーン構築」への期待
林氏はさらに、「特に台湾と日本が『民主的な非レッド・サプライチェーン』の構築で緊密に協力することを期待している」と述べた上で、「台湾のCPTPP(包括的および先進的環太平洋パートナーシップ協定)加盟に関しても、日本政府からより大きな支援と協力が得られることを望んでいる」と語った。
専門家の見方:「対外政策は『チーム』で動く」
一方、台湾メディア『風傳媒』は21日、台湾の知日関係者のコメントを引用し、次のように分析している。
高市早苗氏は「強いリーダーシップの持ち主」であり、自民党政調会長や衆議院議員としての活動を通じて「安倍流」の対台湾友好理念を貫いてきた。しかし、日本の外交政策は「個人ではなくチームで決定される」仕組みのため、高市政権の外交方針が個人の意向で大きく変わることはないという。
この関係者は、「高市氏は安倍晋三氏の対台湾友好路線を継承するだろうが、日台関係の進展は一足飛びではなく、水面に広がる波紋のように、段階的かつ着実に深化していくことになる」と述べた。
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