台湾・中国国民党の主席選挙が18日に投開票され、最終的に前立法委員の鄭麗文(チョン・リウェン)氏が、元台北市長の郝龍斌(ハオ・ロンビン)氏や立法委員の羅智強(ルオ・ジーチャン)氏らを破り、新たな党主席の座に就いた。
これを受け、台湾民意基金会の董事長(理事長)である游盈隆(ヨウ・インロン)氏はFacebookで、「なぜ多くの国民党員が郝氏ではなく鄭氏を選んだのか?」という点について、封鎖前(選挙直前)の世論調査から「党員の多数が“変化”を求めていたこと」が最大の理由だと分析した。游氏は「国民党は今、かつてない歴史的転換点に立たされている」と強調している。
鄭麗文勝利は「超級震撼彈」 百年政党の分岐点を示す結果
游盈隆氏は、「鄭麗文氏が郝龍斌氏を下したのは、まさに“超級震撼彈(衝撃的な爆弾)”だ。彼女の登場は、私が昨日述べた『百年の歴史を持つ中国国民党が、今まさに歴史的な十字路に立っており、かつてない変化に直面している』という言葉を裏付けるものだ」と語った。游氏によると、その予感は封鎖前の民調(世論調査)の複数のデータから強く感じ取れたという。
封鎖前民調に見えた「変化」の兆し
游氏は次のように分析する。
1.政党支持層別での人気上位3名:
鄭麗文氏28.6%、郝龍斌氏21.2%、羅智強氏18.3%。
2.統一派支持者の人気上位3名:
鄭氏28.6%、郝氏19.7%、羅氏18.3%。
3.現状維持派(現状を支持する層)の人気上位3名:
鄭氏20.9%、郝氏19.9%、羅氏13.9%。
4.外省系住民(中国本土出身者)の人気上位3名:
鄭氏23.7%、郝氏19.3%、羅氏13.8%。
游氏は、「この結果からも、鄭麗文氏が選挙3日前の時点で優勢だったことが裏付けられる」と指摘した。
「多くの党員が求めたのは“刷新”」 鄭麗文に託された再生の重責
「なぜ党員たちは郝龍斌氏ではなく鄭麗文氏を選んだのか?」游氏はその理由を「一言でいえば、党員の多くが“新しさ”と“変化”を求めたからだ」と断言する。
彼は、「鄭麗文氏には、百年政党である国民党の“再起”という重い使命を担うチャンスが与えられたが、その道は李白の詩『蜀道難(しょくどうなん)』にあるように、“青天に上るよりも難しい”ほど険しいものだ」とも述べた。
「党意より民意を」 鄭麗文氏に課せられた試練
游氏は、「鄭麗文氏は“党の意向が民意を凌駕してはならない。国民党は常に民意を最も重要な基準としなければならない”と昨日語っていた。この言葉を忘れてはならない」と忠告した。
一方で、「“私たちはみな中国人だ”というような発言を繰り返せば、国民党はすぐに没落するだろう。それでは2026年や2028年の選挙を語る以前の問題だ。これは、馬英九でさえ理解している“微妙な線引き”だ」と皮肉を込めた。
「M8級強震」級の衝撃 党内に広がる混乱と戸惑い
游盈隆氏は、「鄭麗文氏が党機構を掌握するというニュースは、国民党にとって“M8級強震”のような衝撃だった」と形容。
「党内の多くは今、困惑と動揺、そして混乱の渦中にある。『五雷轟頂(天から雷が五つ落ちるほどの衝撃)』という表現も誇張ではない。党がこの変化に適応するには、かなりの時間を要するだろう」と締めくくった。
編集:柄澤南 (関連記事: 舞台裏》鄭麗文氏が当選、盧秀燕氏は複雑? 台湾・次期大統領は不透明のまま 国民党の「次の内紛」が始まる | 関連記事をもっと読む )
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