鄭麗文氏がこのほど台湾・中国国民党の主席に当選し、その翌日に習近平氏から祝電を受け取ったことが、両岸の政治的な注目を集めている。鄭氏はこれに対し、「通関の合言葉は依然として『九二コンセンサス』『反台湾独立』である」と述べ、「祝電は友好の手を差し伸べたものだ」と強調した。
鄭氏は、国民党として台湾社会の最大公約数を結集し、両岸の平和と和解を推進する考えを示した上で、「より大きな民意を後ろ盾にしてこそ、対岸で代表性を持てる。さもなければ個人、もしくは少数派の代表にすぎない」と述べた。
習氏は祝電の中で「両党が共通の政治的基盤を堅持し、広範な台湾同胞を団結させ、中国人としての志・誇り・自信を強め、交流と協力を深化させ、共同発展を促進し、国家統一を進めることを望む」と言及した。これに対し鄭氏も返電し、「国共両党は『九二コンセンサス』と『反台湾独立』を堅持する基盤の上で、交流と協力を強化し、台湾海峡の平和と安定を促進すべきだ」と述べ、「両岸の人々の最大の利益を追求し、民族復興に向けた壮大な未来を切り拓く」と強調した。
鄭麗文氏と習近平氏の会談の可能性は?
鄭麗文氏は、習近平氏との会談の可能性について問われ、「もちろん行く。両岸の対立や溝を解消し、平和と協力を進め、共栄を実現できるのであれば、どんな仕事でも、どんな人物にも会う」と応じた。さらに、「本当に重要なのは、誰と会うかではなく、その“代表性”である」と強調した。
鄭氏は自身の立場についても言及し、「私はあくまで国民党主席として赴く。しかし、将来的には国民党の総統候補、あるいは政権が台湾全体の民意を代表できる存在になることを望んでいる」と語り、「そのレベルや視野はまったく異なる」と述べた。
さらに鄭氏は、「国民党は民意の支持を得て、再び両岸関係の主導権を握れると確信している。『反中カード』はすでに完全に効力を失い、6割の国民はうんざりし、もうこの手には乗らない」と指摘した。
鄭麗文氏は賴清德氏の祝電欠席をどう見る?
鄭麗文氏は、ラジオ番組「千秋萬事」のインタビューで、賴清德総統が祝電ではなく花かごのみを送ったことについて見解を問われ、「なぜそんなことを?」と応じ、「民進党も大政党なのだから、基本的な礼儀が欠けているのは残念だ」と述べた。これは台湾における政党間競争の現状を映し出しているとの認識を示した。鄭氏はさらに、「もし賴氏に与野党の和解を進める意思があるのなら、今回は絶好の“オリーブの枝”を差し伸べる機会だった」と指摘。しかし相手側はこの好機を生かさず、「そのような度量がないのは台湾の不幸だ」と批判した。その上で、「誰も賴総統の1期目が空転と内輪揉めで終わることなど望んでいない。もしこのまま考えを改めなければ、国民は彼を交代させるしかない」と強い言葉で警告した。
鄭麗文氏が習近平氏の「国家統一推進」をどう解釈するか?
鄭麗文氏は、習近平氏の祝電に「国家統一の推進」という文言が盛り込まれたことについて、「北京側が依然として接触の意思を示している」との見方を示した。鄭氏は「通関の合言葉は『九二コンセンサス』と『反台湾独立』であり、祝電は友好の手を差し伸べたものだ」と述べた。また鄭氏は、現在の両岸間における公式な対話メカニズムの停滞を厳しく批判。「大陸委員会は“既読スルー”のような状態で、実質的な意思疎通ができていない。これが台湾の国民の利益を損なっている」と指摘した。鄭氏は南投県の観光業を例に挙げ、交流の停滞が地域経済に深刻な影響を与えていると訴えた上で、藍綠両陣営の対中政策の違いを強調。国民党は平和と和解を志向する一方、民進党は「二国論のレッドラインを踏み続け、軍事的対立を意識的あるいは無意識的に強調している」と批判した。さらに「国民党の目標は、局面を再び平和の方向へ引き戻すことだ」と強調した。
鄭麗文氏が考える民意と両岸交流の代表性
鄭麗文氏は、国民党の対中政策は台湾の主流民意と一致すべきであると繰り返し強調した。鄭氏は「両岸で最も重要なのは台湾内部の主流民意を束ねることだ。政党の仕事とは、最大多数の民意を結集し、自らの理念と中核的価値を支持させることである」と述べた。民意の後押しがあってこそ、国民党が中国側と交渉・交流する際に代表性を持ち、個人や少数派の立場に堕することを避けられると指摘した。
さらに鄭氏は、両岸交流は特定個人の専有物ではないとし、「誰であれ担えるが、要は代表性があるかどうかだ」と述べた。国民党主席として、鄭氏は藍白および主流民意を結束させ、国家発展に関する共通認識の基盤を築くべきだとし、これこそが国民党が「政権復帰」を目指す上での重要な前提であると強調した。
編集:柄澤南 (関連記事: 北京観察》習近平、台湾・国民党鄭麗文新主席に「異例のスピード祝電」 両岸関係「融氷」の兆しか | 関連記事をもっと読む )
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