舞台裏》台湾民衆党主席・黄国昌氏とは距離、CK楊氏は柯文哲氏に直通 鄭麗文氏が国民党主席なら国民党と民衆党の協力は進むのか?

2025-10-15 16:17
国民党は2026年選で藍白合を「勝ち筋」と見ている。新党主席(国民党)が、民衆党の前主席・柯文哲氏(左)と現職主席・黄国昌氏(右)と円滑に意思疎通できるかがカギだ。(柯承惠撮影)
国民党は2026年選で藍白合を「勝ち筋」と見ている。新党主席(国民党)が、民衆党の前主席・柯文哲氏(左)と現職主席・黄国昌氏(右)と円滑に意思疎通できるかがカギだ。(柯承惠撮影)
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台湾では、2026年の県市長選まで1年以上あるなか、民進党は大規模リコールでの惨敗を受けて危機感を強め、候補者選びを前倒し。10月7日、選対は立法委員の王美恵氏を嘉義市長、陳瑩氏を台東県長にそれぞれ擁立する案を提示した。ほかの自治体も2026年初頭の春節前までに公認作業を終える計画だ。

一方の国民党は、当面の焦点が党主席選にあり、次期主席が就任してから早くて11月末候補者選びを本格化させる段取り。加えて、選挙戦の帰趨を左右しかねない「藍白連合」(国民党と民衆党の選挙協力)の行方もなお不透明で、不確定要素は少なくない。

大型リコールでの完敗は民進党の勢いを確実に削いだ。悲観的な見立てでは、与党の牙城である高雄市や台南市のいずれかを落とすリスクすらある。ただし、国民党の選対キーパーソンによれば、現時点での藍(国民党)・緑(民進党)・白(民衆党)の支持基盤を精査しても、リコール結果が既存の票の流れに決定的な変化を与えた兆しは薄いという。仮に国民党と民衆党が円滑に手を結んだとしても、民進党に対して「圧勝」を保証する材料にはならず、とりわけ民進党の反転攻勢力を見くびれば、2026年の地方選は苦戦、思わぬ敗北もあり得るというのが現場の警鐘だ。

20250726-決戦国会公民不退大罷免開票之夜26日於立法院外濟南路舉辦。(劉偉宏攝)
大規模リコール失敗で勢いを落とした緑陣営だが、2026年の地方選に向けた布石は加速中だ。(写真/劉偉宏撮影)

民衆党の有力者である黄国昌氏とは距離、CK楊氏は柯文哲氏に直通

多くの国民党の選挙実務筋が2026年の大型地方選(県市長選)に慎重なのは、2022年に国民党が県市長ポスト14を獲得して「自己ハードル」が極めて高くなっているためだ。あの水準を2026年も維持するのは容易ではない。何より、その14の藍陣営首長のうち9人は2026年で「2期8年」を満了し後継擁立が必須。党内調整の難度が一気に上がるうえ、民衆党との選挙協力=「藍白連合」でも合意形成が要る。公認準備の進捗は民進党に後れ、加えて現有地盤を一席も落とせないという重圧が増している。とりわけ嘉義市・宜蘭県など伝統的な“緑が強い”地域は、党中央が「死守リスト」に入れる危機区だ。

国民党の要職者は、党内と支持層の現時点の目標として「現有14県市の死守」に加え、台南市や高雄市での勝利、つまり民進党から直轄市をさらに奪うへの期待もあると強調する。ただし政治的現実を踏まえると、高雄・台南・屏東など「濃い緑(民進党)」の票田では、情勢や候補者力が抜きんでるか、あるいは民進党側の深刻な内紛でもない限り、藍陣営の勝ち筋は細い。むしろ国民党は2026年に嘉義市など「1~2自治体を落とす」リスクがあり、仮に有権者規模の小さな自治体でも「藍減・緑増」の見た目は士気を直撃、2028年総統選に尾を引きかねない。 (関連記事: 論評:台湾・国民党は再建不能なのか? 誰が率いても立ち上がれない現状 関連記事をもっと読む

2024年総統選の敗因分析と、直近の大規模リコール局面での巻き返し経験を踏まえ、国民党は「藍白連合の形成」を敗北回避の前提と位置づける。朱立倫・現主席はもちろん、主席選に名乗りを上げる面々も同趣旨を公言。県市長レベルで民衆党との協力拡大も排除しない構えで、既に「藍白連合の見本市」となっている新竹市に加え、さらに1~2の自治体を白陣営に明け渡し、民衆党側の有力候補を立ててもらう一方で、民衆党は他地域で国民党候補を支援というバーター案が俎上にある。

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