舞台裏》台湾・国民党の内部抗争 鄭麗文氏の「主席」当選を警戒、実業家・楊建綱氏の台頭阻止へ 盧秀燕台中市長に結集圧力

2025-10-07 14:34
国民党主席選に挑む鄭麗文氏。党内には懸念も根強い。(写真/顏麟宇撮影)
国民党主席選に挑む鄭麗文氏。党内には懸念も根強い。(写真/顏麟宇撮影)
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台湾・国民党主席選挙は10月18日に投票予定。当初は元台北市長・郝龍斌氏、立法委員(国会議員)・羅智強氏、元立法委員・鄭麗文氏の「三強鼎立」と見られていたが、ここに来て流れが変わった。党員向けの内部委託調査では、鄭氏の支持率が3割に達し、郝氏(17.4%)、羅氏(16.3%)を大きく上回った。10月2日の《TVBS》討論後に同局が党員調査を行った結果でも、差は二桁には届かないものの統計誤差を明確に超えるリードを確認。党内の有力者も、現状のトレンドと党員の嗜好から「鄭氏勝利の公算が高い」との見方を示している。

出馬後に急速に存在感を増した鄭氏の背後には、「朱黒」系の黒幕とされる“CK楊”こと楊建綱氏(異康公司の会長)の影が取り沙汰される。楊氏は当初、現職・朱立倫氏の再任阻止のため台中市長・盧秀燕氏に出馬を働きかけたが、不出馬が固まると鄭氏擁立へ転換。大物不在の構図で、鄭氏は弁舌と強気の姿勢を武器に保守層の支持を集め、上位に躍り出た。

20250917-国民党主席朱立倫17日在国民党中常会发表谈话。(柯承惠摄)
朱立倫・国民党主席(写真)は“禅譲”の意向を固めたが、台中市長・盧秀燕氏は受けず。CK楊が鄭麗文氏支援へ軌道修正したとの見方も。(写真/柯承惠撮影)

選挙の行方は想定外 郝龍斌氏の優位が大きく後退

党内選挙に詳しい国民党のベテラン党務関係者の分析では、歴代の党主席選の票源は大きく四つに分かれる。すなわち、黄復興(軍系)党員票、都市の自主党員票、地方派閥(本土)党員票、そして“大口”が握る人頭党員票だ。軍系と自主党員票を合わせると、おおむね地方派閥・議長や民代(議員)システム・大口人頭党員票と拮抗する構図になる。今回、鄭麗文氏は軍系の一部から支持を得ており、都市の自主党員票の比率も高いが、同じく世代交代を訴え実績を強調する羅智強氏と票が大きく重なっている。一方、軍系と縁の深い郝龍斌氏は黄復興票を相当取り込めるうえ、藍陣営(国民党)の地方派閥や各県市の議長・民代、大口の人頭党員にも郝氏支持が多く、本来であれば郝氏の勝算は鄭氏より一段高いはずだった。

ところが実際の選局はそう動いていない。前出の党務関係者によれば、2025年は人頭党員“大口”による党費の代納が大幅に減ったことが直撃している可能性が高いという。国民党の党務システムによる非公式統計では、これまで中南部および花東の複数の大口は、代納によって投票権を持つ人頭党員をおおよそ2万5千~3万票掌握していた。ところが2025年は、多くの大口が「盧秀燕氏の出馬は確実で、選局は単純」と見て代納への意欲を失い、党中央が党費の補納期限を延長しても、最終的に補納を完了したのは8千余人にとどまった。人頭党員票が7割減となる中では、各県市の議長・民代、地方派閥の動員だけでは支えきれず、郝氏の優位は鄭氏に対抗しきれない水準まで削られた、という見立てだ。 (関連記事: 夏一新氏の見解:日台外交の主導権を競う 国民党「訪日攻勢」と民進党「安倍研究センター」 関連記事をもっと読む

20251003-국民당 주석 후보인 하룡빈 3일 출석 「군계는 좋은 기자회」에 출석한 모습。(顔麟宇撮影)
2025年は「大口」による党費代納が減少。これまで優位と見られた郝龍斌氏の勢いに陰り。(写真/顏麟宇撮影)

CK楊の影響を懸念する声 鄭麗文氏の出馬に警戒感

鄭麗文氏の浮上を後押しした要因の一つは、羅智強氏が出馬後に強い制約を受けている点だ。普段は藍陣営の“空軍司令官”として民進党に積極対峙してきたが、本人の説明では「党内選ではネガティブ攻撃は避けるべき」とし、候補者が自らの優位性を語り、党員が理性的に最適な党主席を選ぶべきだと訴える姿勢に徹している。すでに「羅を捨て、鄭を支持」の傾向も見られる中、羅氏は支持固めに消極的で、支援者には温和なメッセージを送っている。

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