調査》台湾の無給休暇、半年で4倍に! 業界から悲鳴、労働部は「後手対応」 解決の見通し立たず

2025-10-07 11:10
アメリカの関税が輸出産業に打撃を与え、台湾で無給休暇が再び拡大。特に中部の製造業が直撃を受けた。(写真/新新聞提供)
アメリカの関税が輸出産業に打撃を与え、台湾で無給休暇が再び拡大。特に中部の製造業が直撃を受けた。(写真/新新聞提供)
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2025年以降、台湾の労働市場は再び「無給休暇」の影に覆われている。労働部の統計によると、9月の減班休業者数は急増して7334人に達し、10月には8500人を突破して近年の最高水準となった。この急激な増加の背後には、国際的な要因が大きく関係している。

米国は4月、台湾製品に対する報復的な「対等関税」を最大32%まで引き上げると発表し、その後の交渉で暫定的に20%へ引き下げられたものの、輸出依存度の高い製造業にとっては依然として重い打撃である。特に中部地域に集中する金属加工、工作機械、伝統産業系製造業が直撃を受けた。

関税率は現在20%に抑えられているものの、金属製品や機械、工作機械、部品製造などの輸出産業には依然として大きな負担となっている。これらの産業が集積する中部では、労働部の統計によれば、台中・彰化・南投の3県市だけで9月に4000人以上の労働者が無給休暇を余儀なくされており、全国のほぼ半数を占めている。

2025年9月29日、アメリカのトランプ大統領がホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と記者会見を開き、ハマスに72時間以内に平和計画を受け入れる最後通牒を行った。(AP通信)
アメリカのトランプ大統領による世界的な対等関税の導入により、台湾の輸出指向産業は重荷を抱えることとなった。(写真/AP通信提供)

関税と国際景気悪化、企業の無給休暇人数が9月に急増

労働部の統計によれば、減班休業者数の推移をみると、2025年の動向は極めて明確である。4月時点では1600~2000人程度にとどまり、低水準を維持していたが、5月には2200人を超え、前月比で約500人増加。6月にはさらに2800人台に達し、5月より約600人増加した。7月にはついに3000人を突破し、2800~3100人の範囲で推移するなど、上昇傾向が続いた。

8月には3934人まで増加し、7月比で約700人の増加となった。伸び率自体は大きくないものの、9月の急増を予兆する動きであった。そして9月、数値は一気に跳ね上がり、3900人台から7334人へと倍増。1か月で3400人以上増加し、年間で最大の単月上昇を記録した。10月も状況は悪化の一途をたどり、全国の減班休業者数は8505人に達し、9月比でさらに1100人増となった。つまり、4月から10月までのわずか半年足らずで、全国の無給休暇者数は4倍に膨れ上がったのである。

9月の急増は偶然ではない。まず、米国の対台湾関税政策は4月に発表されたものの、輸出受注には1四半期から半年の遅延効果があり、実際の影響が顕在化するのは第3四半期末となる。次に、9月は欧米の需要減速と中国市場の低迷が重なり、世界的な消費不振が台湾の輸出をさらに圧迫した。加えて、中部地方の伝統的製造業は国際市場への依存度が高く、金属加工や工作機械など単価が高く在庫負担の大きい業種が多いため、需要が落ち込む局面では労働時間の削減によってコストを抑える傾向が強い。 (関連記事: 評論:米裁判所、トランプ関税を「違法」と判断 台湾は「敗者」から「勝者」へ転じるのか 関連記事をもっと読む

20251004-E501_A無給休暇毎月人数が徐々に増加
無給休暇毎月人数が徐々に増加、その中で9月は数字が直接倍増し、3900人以上から7334人に急増した。(グラフ/賴慧津作成)

無給休暇の実態は統計に表れず 政府の支援策では救い切れない可能性

さらに、9月は企業の決算期にあたる重要な月でもある。関係者によれば、多くの企業が帳簿上の支出を抑えるため、この時期に人件費を圧縮する傾向があるという。加えて、労働部が8月に打ち出した「安定雇用対策」も、適用には事業主からの通報が必要であるため、報告を行わない、あるいは様子見の姿勢をとる企業が一定数存在し、労働者が直接的な恩恵を受けにくい構造となっている。こうした複合的な要因が重なった結果、9月の減班休業者数は跳躍的に増加したのである。

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