アップル、わずか1年でVision Proを事実上「見切り」 開発資源をスマートグラスに集中

アップルの混合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」。(写真/AP通信提供)
アップルの混合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」。(写真/AP通信提供)

ブルームバーグ(Bloomberg)は事情に詳しい関係者の話として、アップルが一時は世界的な議論を呼んだ混合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」の改良開発を打ち切り、開発資源をスマートグラスに振り向ける方針を決めたと報じた。メタの人気製品に対抗する狙いである。

報道によれば、同社(iPhone製造元)は、より安価で軽量なヘッドセットの新型(コードネーム「N100」)を投入する計画で、当初は2027年の発売を見込んでいた。だが先週から社内メールで従業員に対し、当該プロジェクトの人員を再配置し、スマートグラスの開発を加速させる方針を通知した。

発売価格が3,499ドル(約51万6,000円)に達する「Vision Pro」は、2024年2月に大々的に発表されたものの、発売後は特色あるコンテンツの不足に加え、本体の大きさや重量がユーザーの想定を上回ったこと、さらにはメタの「Quest」などコストパフォーマンスに優れた競合機の登場も相まって、熱量と話題性が急速にしぼんだのである。

関係者によれば、アップルは「少なくとも2種類」のスマートグラスを開発中である。第一の製品はコードネーム「N50」で、iPhoneと連携して用いるが、自身に表示機能は備えない。最短で来年(2026年)に公開し、2027年に発売する計画である。第二の製品は表示装置を内蔵し、2028年の投入を見込むが、メタとレイバンの共同開発によるスマートグラスのシェアに挑むべく、開発の前倒しを模索しているという。

蘋果Vision Pro混合實境頭戴式設備。(美聯社)
アップルの混合現実(MR)ヘッドセット「Vision Pro」。(写真/AP通信提供)

もっとも、アップルは一連の報道についてコメントを拒否している。

前述のメタのスマートグラスは、マーク・ザッカーバーグ氏とサングラス大手レイバンの協業による製品で、希望小売価格は800ドル(約11万8,000円)である。ディスプレーと新型リストバンド型コントローラーを内蔵する。レイバンとの共同モデルが好調な販売を記録したのち、メタは続けてオークリー(Oakley)と提携したスポーツ向けモデル「Vanguard」も投入した。

Meta 執行長祖克柏於2025年9月17日在加州的Connect開發者大會上發表演說時,配戴搭載人工智慧的智慧眼鏡與腕帶。(美聯社)
メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は2025年9月17日、米カリフォルニア州で開かれた開発者会議「Connect」で演説し、AIを搭載したスマートグラスとリストバンドを装着して登壇した(写真/AP通信提供)

ヘッドセット分野と比べると、アップルの人工知能(AI)への取り組みは相対的に薄い。強力な競合であるグーグルが自社開発の最新フラッグシップ機にすでに「Gemini」モデルの計算能力を組み込むなか、アップルはこの競争で依然として後れを取っている。

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