京都先端科学大学(京都市右京区、学長:前田正史)は10月2日、同大ナガモリアクチュエータ研究所の松波弘之特任教授が、国際固体素子・材料コンファレンス(SSDM)より「SSDMアワード」を授与されたと発表した。松波教授は1993年に発表した「高耐圧(1kV)SiCショットキーバリアダイオード」に関する論文が評価され、2005年に続き2度目の受賞となった。
SSDMアワードの意義
SSDMは半導体分野で50年以上の歴史を持つ国内最大級の国際会議であり、SSDMアワードは同会議で発表された研究論文の中から、学術や産業の発展に大きく寄与した成果を称えるもの。今回の受賞は、炭化ケイ素(SiC)の単結晶化という難題を克服し、その技術を応用して高耐圧かつ低損失のショットキーバリアダイオードを開発した点が高く評価された。
この成果により、発電所や電気自動車(EV)など大量の電力を扱う分野での応用が進み、低炭素社会の実現に不可欠なSiCパワー半導体の製品化につながった。
松波教授のコメント
松波教授は次のように語った。
「長年にわたりSiCの研究についてご評価いただき、このような名誉ある賞を頂戴できたことを大変うれしく思います。SiCの単結晶化およびそれを用いた半導体の開発は困難だと言われていましたが、可能性を信じて研究を続けたことが成果につながりました。若い研究者の方には、他人と違う研究を行う勇気と、粘り強く取り組む姿勢を持ってほしいと思います」
松波弘之特任教授 略歴
- 1939年大阪府生まれ
- 1962年 京都大学工学部電子工学科を卒業
- 1970年 工学博士を取得
- 1971年 京都大学助教授
- 1983年 京都大学教授に就任
- 2003年 定年退官(京都大学名誉教授)
- 米国ノースカロライナ州立大学客員准教授(1976~77年)
- 科学技術振興機構(JST)イノベーションプラザ京都館長(2004~2012年)
- 2018年 京都先端科学大学ナガモリアクチュエータ研究所客員教授
- 2022年 同研究所特任教授に就任
- 2022年 米国電気電子学会(IEEE)よりエジソンメダルを受賞
編集:梅木奈実 (関連記事: 京都先端科学大学で秋季卒業式と入学式 46カ国から323名の留学生が新たな学びを開始 | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp