米連邦政府が再び閉鎖に突入した。ワシントン時間10月1日午前0時1分、民主・共和両党が暫定予算案をめぐり対立を解けず、政府は正式に閉鎖状態となった。この政治的な綱引きは数十万の連邦職員の給与や雇用を不透明にするだけでなく、市場や投資家、さらにはFRB(米連邦準備制度理事会)が依拠する重要な経済データを奪うことになる。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』の分析によれば、政府閉鎖は米国経済に次のような連鎖的打撃をもたらす可能性がある。連邦職員とその家計への直接的影響、雇用・インフレ統計の停止、政府依存企業の停滞、GDPや金融市場への圧力、さらには観光業界の深刻な損失だ。
どれだけの連邦職員が給与を受け取れないのか
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、政府閉鎖の最も直接的な影響は数十万の連邦職員が無給休暇に追い込まれることだと指摘する。行政管理予算局(OMB)の計画では、緊急または必要不可欠な業務を担う「例外」職員のみが勤務を続けるが、彼らも給与は受け取れず、政府再開後に遡及支払いされる。
米国で直近の政府閉鎖は2018年末から2019年初頭にかけて34日間続いた。当時は議会が一部予算を通過させていたため、約34万人が休職を余儀なくされた一方、数十万人は勤務と給与を継続できた。しかし今回は2013年の全面閉鎖に近い状況であり、経済学者は最大80万〜90万人が影響を受けると推定。これは連邦労働力の約4割に相当する。
トランプ政権は資金が途絶すれば大規模レイオフもあり得ると警告。すでに数度の人員削減と再編を経験してきた公務部門にとってリスクは一層高まっている。上院民主党院内総務チャック・シューマー氏は、これは露骨な「脅迫」であり、法的に正当化できるのか疑わしいと批判した。
ホワイトハウスはすでに「政府効率局(DOGE)」を通じて人員削減を推進しており、年末までにさらに30万人の削減を予定していた。『エコノミスト』は、政府閉鎖を人員削減の口実にするならば、歴史上いかなる閉鎖よりも致命的な結果をもたらす恐れがあると警告している。
雇用・インフレ統計が止まり、FRBはどう判断するのか
今回の政府閉鎖で大きな懸念となるのは、経済統計の「空白期間」である。『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、労働統計局(BLS)は閉鎖期間中、一切のデータ収集や発表を行わないと発表した。これにより、10月3日に予定されていた9月の雇用統計は発表できなくなった。月次インフレ統計も危うく、閉鎖が10月中旬まで続けば発表は延期される見通しだ。
この空白を埋めるため、市場は他の情報源に依存せざるを得ない。給与計算大手ADPによる民間雇用統計は予定通り発表され、州政府が担当する新規失業保険申請件数も継続される。また、FRBの鉱工業生産統計は議会予算に依存しないため維持される。 (関連記事: 米国信用市場に「極限の狂宴」 投資家熱狂の裏で広がるバブル崩壊懸念 | 関連記事をもっと読む )
しかし、後日発表される公式統計は人員不足により品質が損なわれる恐れがある。たとえばインフレ統計は労働省職員による現地調査に依存しているが、休職で調査が滞れば精度が揺らぐ可能性がある。