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舞台裏》台湾外交に変化 「魔法部」は論争避け、林佳龍氏が対立国を交渉の場へ 林佳龍氏は外交部長就任後、日本やフィリピンを訪問し、台湾に対する制約を次々と突破してきた。(写真/外交部提供)
台湾は現在、米国トランプ政権との間で関税や232条項をめぐる協議を続けている。そうした中、9月23日に経済部は公式サイトで、半導体を含む47品目の南アフリカ向け輸出を11月下旬から制限するとの告知をひっそりと掲載した。ところが48時間も経たないうちに、同部は外交上の判断を理由にこの措置を撤回。外交部の決定により延期が発表された。
この一連の動きは国内で波紋を呼び、ネット上では「トランプのTACO(Trump Always Chicken Out)をもじり、台湾は『Taiwan Always Chicken Out』だ」と揶揄する声まで広がった。
しかし、当初の経済部の説明によれば、この規制の背景には南アフリカ政府の強硬姿勢がある。2024年10月以降、台湾の駐在館の移転を迫られたことに端を発していたのだ。南アフリカ政府は中国の圧力に歩調を合わせ、台湾側の抗議を無視してきたため、台湾は安全や経済面で深刻な影響を受けると判断した。9月25日に経済部が撤回を表明した後、外交部は「南アフリカ側から協議の要請があった」と説明。約1年間応じなかった南アフリカを、ようやく交渉の場に引き出した格好となった。林佳龍氏が外相に就任して以降、外交方針は明確に変わりつつある。
南アフリカは小出しに圧力を強め、7月には政府公報で台湾駐在所の改名を公表した。(写真/駐南アフリカ代表処僑務組フェイスブックより)
南アフリカの圧力、台湾に度重なる退去要求 2023年12月、南アフリカ政府は25年以上にわたり首都プレトリアに置かれてきた台湾の駐在館に移転を迫った。その後も動きは加速し、2024年4月には正式な書面で移動を要求。同年10月末までの退去命令を発出し、2025年1月にも再び同様の命令を通知した。さらに、台湾側の代表機関を「格下げ」扱いし、改名や住所変更を南アフリカ官報に掲載。2024年7月には、駐プレトリア代表処を「駐ヨハネスブルグ台北商務弁事所」「駐ケープタウン台北商務弁事所」と名称変更したと一方的に公表した。
台湾と南アフリカは1997年、外交断絶を前提としない協定を結んでいる。当時の外交年鑑によると、ネルソン・マンデラ大統領は「正式な外交承認以外では最高の待遇」を台湾に保証した。この協定に基づき、台湾はプレトリアに「駐南アフリカ共和国台北連絡代表処」を、南アフリカは台北に「南アフリカ連絡代表処」を設置。3回の閣僚級協議と12回の実務会議を経て成立したものであった。
南アフリカが1998年に台湾と断交する前、ネルソン・マンデラ大統領は台湾に特別待遇を保証していた。(写真/AP通信)
中国の影響色濃く 南アフリカは台湾を冷遇 南アフリカが台湾の代表所移転を迫り始めたのは2023年12月、ちょうど習近平国家主席が南アを訪れ、BRICS首脳会議に出席してからわずか3カ月後のことだった。さらに2024年9月には、シリル・ラマポーサ大統領が北京を訪れ習主席と会談し、その翌月には正式な移転命令が下された。2025年7月21日には、南アフリカ外交部が官報で台湾代表所の改名と格下げを公告したが、それは副大統領ポール・マシャティラが中国訪問から帰国した直後の発表だった。 外交筋は「台湾と南アの二国間関係に本質的な対立はなく、背後で中国が政治的圧力を加えている」と指摘する。南ア内部でも一部に疑問の声はあるものの、中国の影響力は圧倒的で、アフリカ諸国が抗うのは容易ではない。しかも南アは2025年のG20議長国であり、11月にはサミットを主催する予定だ。外交当局は、もし習主席が訪問を決めれば、南アが再び北京の意向に沿って台湾に圧力をかける可能性が高いと分析している。
南アフリカ政府の一連の対応には中国の影響が色濃く見られる。写真は習近平国家主席(中央)とラマポーサ大統領(左)。(写真/AP通信)
南アフリカの行動に対抗 林佳龍氏主導のシナリオプラン 経済部は9月23日、公式サイトで半導体を含む47品目の対南アフリカ輸出規制を予告した。公告から施行までに60日の猶予があるため、ちょうど南アがG20サミットを主催する時期に発効する計算になる。あまり知られていないが、林佳龍氏が外相に就任した直後の2024年10月、南ア政府から「当月末までに代表所を移転せよ」との最後通告を受けた際、林氏は直ちに複数回の対応会議を開き、台北の本省や現地代表所に厳重な警戒を指示していた。
その後、林氏の指導の下で外交部は複数のシナリオを想定し、経済部や農業部など関係機関と協議を重ね、状況に応じた対抗措置を検討した。南アが繰り返し代表所の移転を迫った経緯は、蔡英文政権初期にアラビア半島やアフリカの駐在機関が直面した状況と酷似している。当時、最悪の例が西アフリカのナイジェリアで、政府が武装警官25人を派遣し台湾代表所を包囲・封鎖。最終的に移転と改名を余儀なくされた。
『風傳媒』は、林氏と外交部はこの11カ月余り、各省庁と共に南アとの協力一時停止、研修枠の廃止、入国ビザの厳格化、さらには経済・貿易制裁など幅広い対抗策を検討してきた。林氏は頼清徳総統との直接の連絡ルートを持つため、南アが移転要求を強めた際には、頼氏や国家安全会議に即座に状況を報告していたという。
蔡英文前総統(中央)の就任初期には、中東やアフリカの駐在館が強い圧力を受け、ナイジェリアでは武装警察による包囲もあった。(写真/柯承惠撮影)
半導体規制は「政治的メッセージ」 経済部は9月23日、公式サイトで半導体を含む47品目の対南アフリカ輸出規制を予告した。公告から施行までに60日の猶予があるため、ちょうど南アがG20サミットを主催する時期に発効する計算になる。あまり知られていないが、林佳龍氏が外相に就任した直後の2024年10月、南ア政府から「当月末までに代表所を移転せよ」との最後通告を受けた際、林氏は直ちに複数回の対応会議を開き、台北の本省や現地代表所に厳重な警戒を指示していた。
その後、林氏の指導の下で外交部は複数のシナリオを想定し、経済部や農業部など関係機関と協議を重ね、状況に応じた対抗措置を検討した。南アが繰り返し代表所の移転を迫った経緯は、蔡英文政権初期にアラビア半島やアフリカの駐在機関が直面した状況と酷似している。当時、最悪の例が西アフリカのナイジェリアで、政府が武装警官25人を派遣し台湾代表所を包囲・封鎖。最終的に移転と改名を余儀なくされた。
南アフリカへの半導体輸出規制は政治的警告の意味合いが強い。写真はTSMCの半導体ウエハー。(写真/柯承惠撮影)
「尻込みせず」林佳龍氏主導で外交部が転換 経済部が南アフリカ向け輸出規制を発表したものの、わずか48時間で撤回されたため「尻込み」「Uターン」と揶揄され、「南アを笑わせただけだ」と批判も起きた。しかし外交関係者は、林佳龍氏が外相に就任して以降、外交部は従来とは異なる姿勢を示していると指摘する。林氏は米国など理念を共有する国々に台湾の立場を訴えると同時に、自ら反撃策を検討し、「私たちは尻込みせず、友人に声を上げてもらい、同時に自分たちでも動かなくてはならない」と語ったという。
林氏の下での変化は南アフリカ対応にとどまらない。就任から16カ月の間に、台湾の友好国11カ国を訪問し、外交関係のない10カ国にも足を運んだ。2025年7月には日台断交から53年ぶりに東京を訪れ、8月末には断交後初めてフィリピンを訪問。さらに9月には王毅外相の欧州歴訪直後にオーストリアとポーランドを訪問し、中国を刺激した。外交関係者は、王氏が短期間で再び欧州を訪れたのは林氏の外交行程をけん制する狙いがあったと分析するが、それでも林氏は訪問を成功させ、台湾高官の「外へ出る」姿勢と、国際要人の「迎える」環境を確立しつつある。
中国の王毅外相(写真)が台湾の欧州訪問に干渉したものの、林佳龍氏は圧力を突破して欧州入りを果たした。(写真/AP通信)
行政院も巻き込む外交展開 林佳龍氏は外交部の「総合外交」を推進するにとどまらず、行政院にも関連提案を行った。2024年9月、行政院に「経済外交作業部会」が設置されたが、これは林氏の提案を受けて頼清徳総統と卓榮泰行政院長の支持を得て実現したものだ。正副召集人は行政院の正副院長が務め、執行秘書には林氏と行政院の秘書長が共同で就任。外交部が幕僚役を担い、林氏が共同召集人として戦略チームを指揮する体制が整った。
外交関係者によれば、林氏は8月下旬に約70人の企業代表団を率いてフィリピンを視察。この訪問は行政院の経済外交作業部会と台比プロジェクトチームの調整のもと実施され、外務省副大臣の黄昭欽氏が団長を務めたと公表された。また、林氏は就任以来、省庁横断の「ダブル大臣会議」を頻繁に開催。9月中旬には文化部との会議で「台湾ヨーロッパ文化年2025」の構想をまとめ、正式に決定した。さらに、厚生労働省や国家科学技術委員会との協議を経て、南米パラグアイやアフリカの友好国スワジランド訪問時に具体的な成果を発表するなど、省庁連携による外交成果を次々と打ち出している。
林佳龍氏は就任以来、度重なる外交封鎖を突破し、中国の圧力にも屈せず強い姿勢を示している。(写真/林佳龍フェイスブックより)
「魔法部」と揶揄された過去からの脱却 かつて外交部は英語略称MOFAから「魔法部」と揶揄され、前外相の呉釗燮氏はSNSでの頻繁な発信から「魔法部長」と呼ばれていた。しかし林氏が就任して以降、そのような呼称は減少し、代わりに予想を超える実績が注目されている。外交関係者は、林氏が就任後に外交封鎖を打ち破り、前政権の新南向政策で最後まで残っていた課題であるタイ・ブルネイ・フィリピンへのビザ免除を実現し、内部で「不可能な任務」とされた目標を達成したと評価する。
2020年10月、台湾のフィジー代表所が国慶節の晩餐会を開催した際には、中国外交官が騒ぎを起こし、台湾側職員が脳震盪を負う事件が発生。外交部は11日後にようやく声明を発表し、中国を非難したにとどまった。さらに2023年3月にはフィジー政府が台湾代表所に外交特権を付与すると通知したが、3か月後には中国の圧力で撤回された。ナイジェリアからフィジーに至るまで、台湾外交は長らく中国の圧力に屈してきたが、今回の南アフリカ問題では、外交部が相手を交渉の場に引き出すことに成功した。
林氏の指導する外交部は、もはや受け身ではない。半世紀ぶりに第一列島線の国々との関係を動かし、王毅外相の欧州訪問に妨害されながらも独自の外交日程を遂行する姿勢を示した。今回の南アフリカをめぐる駆け引きは、同国が再び北京に屈するのか、それとも台湾との交渉に応じるのかを測る試金石となろう。
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