iPhone 17の発売からわずか1週間、トラブル報告が相次いでいる。背面パネルの細かな傷が目立つという指摘に加え、最大の話題は「一年待ったAI機能がまたも肩透かし」という失望感だ。かつてテック界の覇者だったアップルは、なぜAI時代で出遅れたのか。どんな背景があるのか――台湾メディア『風傳媒』が展開するオリジナルの経済番組/コラムブランド『下班経済学』で、経済アナリストの阮慕驊氏が読み解く。
アップルのAIが遅れた「3つの致命点」
アップルは2011年に音声アシスタント「Siri」を投入し、昨年は「Apple Intelligence」を華々しく発表。iPhone 16は“AIスマホ元年”とまで言われた。ところが一年経っても、今年の発表に実質的なAIアップデートは見当たらない。阮氏は出遅れの要因を3点に整理する。第一に、技術面でGoogleの検索ライセンスに過度依存し、年間数百億ドル規模の支払いが自前のブレイクスルーを縛っている。第二に、社内で人材・方針を巡る対立が深刻で、上層のAIロードマップが一致せず、軸足が定まらない。第三に、有望なM&Aやスタートアップ投資の機会を逃し、その間に競合が一気に先行した――というものだ。
時価総額もシェアも「王座陥落」の現実
テック覇者・アップルはもう戻れないのか。統計によれば、2014年に世界時価総額1位に立った後、2024年は3位に後退。スマホの世界シェアでもサムスンに抜かれ、小米(シャオミ)も猛追する。とりわけ中国市場では落ち込みが顕著だ。2023年のシェアは約17%だったが、2024年は2ポイント低下して3位に。今年は上半期だけで5位まで後退する局面もあった。象徴的なのが、大連の直営店を10年の営業を経て初めて閉店したことだ。中国での失速は序章にすぎないのか。ティム・クックCEOが進める「インド生産」シフトは、この流れを反転できるのか。
番組『下班経済学』では、MCの謝哲青・張珈瑄と阮慕驊氏が、iPhone 17の“失速”からアップルのAI戦略、中国離れとインド回帰まで、最新の論点を一気に解説する。
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