AIチャットボット「ChatGPT」がまもなく誕生から3周年を迎える。生活を大きく変革したこのシステムは、その機能と影響範囲を急速に拡大させている。単なる感情的なフィードバックにとどまらず、現在では投資判断の「バーチャル顧問」として利用する人も増えている。統計によれば、世界の個人投資家の10人に1人が、株式選定の際にチャットボットを活用しているという。一方で「AI活用は高リスク」と警戒し、従来型の投資顧問を信頼する人も少なくない。
ロボアド市場は600%成長予測
《ロイター》が引用した調査会社Research and Marketsによれば、自動化とアルゴリズムに基づく助言を行う「ロボアドバイザー市場」は、昨年の収益617億5,000万ドル(約9兆8,800億円)から、2029年には4,709億1,000万ドル(約70兆4,800億円)にまで拡大する見通しで、増加率は600%に達する見込みだ。AIの普及により、個人でも株式の選定や市場監視、大手銀行や機関投資家だけが利用してきた投資分析データの入手が可能になりつつある。
As ChatGPT nears its third birthday, at least one in 10 retail investors is using a chatbot to pick stocks, fueling a boom in the robo-advisory market, but even fans say it is a high-risk strategy that cannot replace traditional advisors just yethttps://t.co/zkWxKaHZxv
— Reuters (@Reuters)September 25, 2025
プロ投資家もChatGPTを活用
報道はまた、スイスの金融大手UBSに20年近く勤めた梁志明(音訳)氏を取材。彼は今年、UBSでの職を失った後、自らChatGPTを活用して複数資産の投資ポートフォリオを運用し始めたと語った。「現在の私は、もはやブルームバーグ端末や高額な市場データサービスを利用できない」と述べ、ChatGPTが大きな役割を果たしていると明かした。
金融分析の豊富な経験を持つ梁氏は、「シンプルなChatGPTでも多くの作業を代替でき、過去に自分が行っていたプロセスを再現できる」と評価する一方で、「有料データベースにアクセスできないため、重要な分析を見落とすリスクは残る。最終判断は利用者自身が行う必要がある」と警告した。
1割超の個人投資家がAIで株を選ぶ
証券会社eToroが世界の1万1,000人の個人投資家を対象に調査した結果、13%がChatGPTやGeminiなどのAIツールを利用して株式選定や投資調整を行っていることが判明した。さらに、英国の比較サイトFinderの調査では、回答者の40%が「AIやチャットボットを個人の資産運用に用いた経験がある」と答えている。

こうした利用の広がりを踏まえ、ChatGPTを運営するOpenAIは「同システムを専門的な財務アドバイスの代替とすべきではない」と繰り返し注意を呼びかけている。 (関連記事: ChatGPT利用者数、インドが世界2位に躍進 OpenAIがニューデリー進出へ | 関連記事をもっと読む )
FinderによるAI投資実験の結果
Finderは2023年3月、ChatGPTに株式ポートフォリオを組ませる実験を行った。条件は「低負債」「持続的成長」「競争優位性を持つ資産」で、選ばれた38銘柄には、AIの象徴とも言えるエヌビディア(Nvidia)、オンライン小売大手アマゾン(Amazon)、生活必需品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ウォルマート(Walmart)などが含まれていた。その後、このポートフォリオは約55%の上昇を記録し、英国の人気ファンド上位10本の平均パフォーマンスを19ポイント近く上回った。