トランプ国連演説が世界を震撼「あなた方の国は地獄行きだ」—環境団体を叩き、同盟国も挑発 英ガーディアン「米国の指導力はもはや期待できない」

2025-09-25 17:55
2025年9月23日、米国のドナルド・トランプ大統領が国連本部で第80回国連総会の一般討論演説を行った。(写真/AP)
2025年9月23日、米国のドナルド・トランプ大統領が国連本部で第80回国連総会の一般討論演説を行った。(写真/AP)
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米国のドナルド・トランプ大統領は23日、国連総会(第80会期)で2期目に入って初の一般討論演説に臨んだ。本来なら米外交のビジョンを示す場のはずが、実際には56分に及ぶ「トランプ・ショー」に変貌。個人的な不満、事実と異なる主張、相反するメッセージが混在し、各国の外交団を驚かせた。演説では各国首脳に向け「あなた方の国は地獄に落ちる」とまで言い放ち、終了後にはウクライナ政策での急旋回を示唆する発言もあり、各国関係者の不安を一層かき立てた。

「私には分かっている。言うとおりにすればいい」

国連は本来、協議と協力、妥協の場だが、トランプ氏の視座は明らかに異なる。190超の加盟国代表を前に、次々と「強い口調の提案」を並べたが、耳にした印象は命令に近い。

「移民問題?国境を閉じなさい。」

「気候危機?忘れなさい。」

「ロシア産原油?購入を中止しなさい。」

2025年9月23日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が国連本部で80回目の国連総会に演説を行った。(AP通信)
2025年9月23日、米国のドナルド・トランプ大統領が国連本部で第80回国連総会の一般討論演説を行った。(写真/AP)

ラテンアメリカのある当局者(匿名希望)は米メディア『POLITICO』に対し、「まるで最も成功したCEOが、他社のCEOに経営の仕方を説いているようだった」と表現。ただし、「皆の利益を高める新しい国際枠組みを作るという話ではなく、『それはあなた方の問題だ』という態度に近かった」と指摘した。

演説でトランプ氏は自信を隠さず、原稿から離れて「私はこれらのことを本当に理解している」と言い切ったうえ、「地獄行きの国々」と対比しつつ「米国は世界で最も“ホット”な国で、他のどの国も及ばない」と持ち上げた。

選挙集会さながらの国連演説

『POLITICO』や『ニューヨーク・タイムズ』は、今回の演説が驚くほどのアドリブと事実誤認に満ち、トランプ氏に慣れた観察者にとっても「新段階」に達したと報じた。冒頭、エスカレーターや壇上のテレプロンプターが相次いで不調となり、ホワイトハウスは国連職員による意図的な妨害の可能性にまで言及。しかし小さなトラブルは、同氏の即興を止める材料にはならなかった。

トランプ氏は、ロンドンがイスラム法の採用に向かっていると断じ、片や「カーボンフットプリントは重要ではない」と言いながら、他方で一部地域の大気汚染を嘆くなど主張は行き来。さらに環境保護派が「牛を皆殺しにしようとしている」とまで非難した。『ニューヨーク・タイムズ』によれば、演説の約4分の1を気候変動対策への攻撃に費やし、それを「史上最大の詐欺」で「愚かな人々が作り出した」と言い放ったという。 (関連記事: トランプの「台湾防衛計画」露見――「戦略的曖昧さ」に終止符 産経新聞独自:米軍の台海軍事介入を前提に対中強硬を鮮明化 関連記事をもっと読む

2025年9月23日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が国連本部で80回目の国連総会に演説を行った。(AP通信)
2025年9月23日、米国のドナルド・トランプ大統領が国連本部で第80回国連総会の一般討論演説を行った。(写真/AP)

全体の語り口は国内政治色が極めて強く、外信記者が使った音声書き起こしアプリは自動でファイル名を「一般教書演説」と判定。自身の実績を大仰に列挙する姿は、国際舞台での外交演説というより、選挙の応援集会に近い様相だった。

ニュース豆知識:国連総会

国連総会(UN General Assembly)は、国連の主要な審議・意思決定機関で、全193加盟国で構成される。毎年9月、各国の元首や政府首脳がニューヨーク本部に集い、地球規模の課題について演説・討議を行う。この場が「一般討論(General Debate)」で、世界外交の年間ハイライトと位置づけられている。

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