トップ ニュース 米国初の女性下院議長ナンシー・ペロシ氏、政界引退を表明──「サンフランシスコへの愛を胸に」北京の警告を無視した訪台から2年
米国初の女性下院議長ナンシー・ペロシ氏、政界引退を表明──「サンフランシスコへの愛を胸に」北京の警告を無視した訪台から2年 2024年8月21日、前下院議長ペロシ氏が民主党全国大会でハリス氏を支援。(AP通信)
アメリカ史上初、そして現時点で唯一の女性下院議長として知られるナンシー・ペロシ氏(85)が、再出馬しない意向を明らかにした。民主党の重鎮として長年にわたり党の要職を務め、中国の警告を押し切って台湾を訪問したことでも国際的に注目を浴びた人物だ。
ペロシ氏は6日夜(日本時間)、感謝と別れを込めた映像メッセージを公開。「私は心から、あなたたちのために議会で声を上げてきたことを誇りに思う。だからこそ、まずサンフランシスコの皆さんにお伝えしたい。私は次の選挙に出馬しません」と語り、約40年にわたる政治人生を締めくくる決意を示した。
彼女は議会での役職について問われると、「議長でもリーダーでも、最も光栄なのは『私はサンフランシスコの声を代弁します』と議場で言えること」と笑顔で語った。
アメリカ大統領トランプ氏と下院議長ペロシ氏。(AP)
987年に初当選したペロシ氏は、2007年にアメリカ連邦下院史上初の女性議長に就任。以降、2006年と2018年の中間選挙後に議長の座に就いた唯一の女性政治家である。 引退表明の前には、カリフォルニア州で議会選挙区の再編が承認され、2026年の中間選挙では民主党に有利な情勢となる見込みで、63%の支持を得ていた。
2022年8月2日、アメリカ連邦下院議長ペロシ氏が議員団を率いて台湾を訪問。(写真/外交部)
2度目の議長任期中、ペロシ氏はドナルド・トランプ前大統領と正面から対立。下院によるアメリカ大統領の2度の弾劾を主導し、政治的攻防の象徴となった。トランプ氏が議会で演説を行った際、その背後に座っていたペロシ氏が原稿を破り捨てた場面は、全米に衝撃を与えた。
議会でのキャリアを振り返ると、ペロシ氏の初演説はHIV/AIDS対策に焦点を当てたものだった。以来、7人の大統領をまたぐ議員生活の中で、ブッシュ(子)政権下のイラク戦争承認への反対票や、クリントン大統領弾劾への反対票など、重要な決断を重ねてきた。
台湾にとってペロシ氏の名が最も強く刻まれたのは、2022年8月2日から3日にかけて現職の下院議長として台湾を訪問したことだ。これは、1979年に米国が中華民国と断交して以降、現職中に訪台した2人目の下院議長であり、「台湾旅行法」成立後に台湾を訪れた米国政府高官としては最高位となる。
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