トップ ニュース 金馬奨ノミネート作・台湾ドキュメンタリー『ソウル・オブ・ソイル』が東京上映 イェン・ランチュアン監督と西村一之教授が語る「土と生きる哲学」
金馬奨ノミネート作・台湾ドキュメンタリー『ソウル・オブ・ソイル』が東京上映 イェン・ランチュアン監督と西村一之教授が語る「土と生きる哲学」 台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは10月25日、上映企画「台湾映画上映会2025」の最終回として『ソウル・オブ・ソイル』を上映し、イェン・ランチュアン監督と西村一之教授による対談を実施した。（写真／映画宣伝・大福提供）
台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは10月25日、連続上映企画「台湾文化センター 台湾映画上映会 2025」の最終回として、ドキュメンタリー映画『ソウル・オブ・ソイル（Soul of Soil）』を上映し、イェン・ランチュアン（顏蘭權）監督と日本女子大学の西村一之教授によるトークイベントを開催した。
映画は、台北大学を卒業後にIT業界を離れ、高雄に移住した青年アレンと、30年前から有機農業に取り組んできたベテラン農家アンホーという、対照的な二人の人物を描く。大量の化学肥料によって荒廃した土地に向き合い、理想の土壌を取り戻そうと奮闘する二人の姿を通して、現代社会における「人と自然の関係」を問い直す作品となっている。
トークイベントでは、西村教授が台湾の若者が地方で有機農業や第六次産業（一次産業＋加工＋販売）に挑戦する現状について紹介し、「アレンのように都市から地方へと移り、新しい生き方を模索する若者が増えている」と語った。
一方、イェン監督は、自身の代表作『無米楽』（2004年）の影響を受けて農業を志したアレンとの出会いを振り返り、「彼の真摯な姿勢に感銘を受け、彼を撮りたいと強く思った」と明かした。
映画タイトル『Soul of Soil』について、イェン監督は「英題を付けた音楽担当者が、“土への信念”こそが二人の魂そのものだと感じたことが由来」と説明。「S.O.Sという頭文字には、“土が助けを求めている”というメッセージも込められている」と語った。
最後にイェン監督は、「台湾には社会的なテーマを真摯に受け止めてくれる観客がいる。作品を待ってくれている観客の存在こそ、台湾映画の魅力だ」と締めくくった。
『ソウル・オブ・ソイル』は、金馬奨2024で最優秀ドキュメンタリー映画賞にノミネートされ、土壌保全の重要性と「農の哲学」を深く掘り下げた注目作として高く評価されている。
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