フィリピン・セブ州、台風25号（カルマエギ）により90人超の死者　豪雨・洪水の衝撃映像も

台風25号（カルマエギ）がフィリピン中部の主要都市セブ州（Cebu）を直撃し、予想をはるかに上回る豪雨と洪水をもたらした。現地では76人が死亡、26人が行方不明となり、国内全体の死者数は90人を超えた。住民は「洪水がまるで津波のように市街地を襲った」「車がすべて流された」と語り、専門家は気候変動による熱帯低気圧の「強度と湿度の増加」が被害を拡大させたと指摘している。

複数の海外メディアによると、セブ州政府の報道官ロン・ラモス（Rhon Ramos）氏は、セブ州で確認された死者数が76人に達したと発表した。国家防災庁の最新データによると、他の州でも少なくとも17人が死亡しており、今回の台風災害によってフィリピン全体で90人以上が命を落としたことになる。

セブでの被害はどれほど深刻だったのか。現地住民によると、過去に例のない洪水が発生し、市中心部に濁流が押し寄せ、多くの車やトラック、さらには郊外に停められていた大型の貨物コンテナまでが流されたという。 （関連記事： 気象予報》台湾・西太平洋で2台風ダブル発生へ　台風26号（フォンウォン）たまごは台湾に潜在的脅威　今週の気候と台風進路を専門家が解説 ｜ 関連記事をもっと読む ）

民防当局の担当者は、「今回の台風25号（カルマエギ）による洪水は、主要都市や高密度に都市化された地域を直撃したため、甚大な人的・物的被害をもたらした」と語った。セブ州では76人の死亡が確認されているほか、26人が行方不明のままだ。暴風域が離れるにつれて水位は徐々に下がっているが、「今の最大の課題は、道路を塞いでいる大量の瓦礫をどう片付けるかだ」と話した。

豪雨の裏にある「強まる台風」

災害現場に入った報道陣が住民に聞き取りを行ったところ、多くの人々が「これまで経験したことのない大洪水だった」と証言している。

53歳のレイナルド・ベルガラ（Reynaldo Vergara）氏は、「洪水は本当にひどく、店の中のものはすべて流された」と話した。原因については「近くの川が氾濫したのだと思う」と語り、「午前4〜5時ごろに水の勢いが一気に強まり、外に出ることさえできなかった。こんなことは一度もなかった」と振り返った。

気象専門家のシャルマーニュ・ヴァリラ（Charmagne Varilla）氏によると、台風25号（カルマエギ）が上陸する前の24時間で、セブ市周辺の降水量は183ミリに達し、同地域の月平均131ミリを大きく上回ったという。この想定外の豪雨が被害を拡大させた主因であり、政府も当初は暴風による被害を最大の懸念としていたため、雨への警戒が十分ではなかったと指摘した。

気象学者らは、地球温暖化によって熱帯低気圧がより強力かつ湿潤になっていると警鐘を鳴らす。温暖な海水は台風の勢力を急速に強化し、これまでより暖かい大気はより多くの水分を含むことができるため、台風が陸地に接近する際には予想を超える降雨をもたらす恐れがあるという。 （関連記事： 気象予報》台湾・西太平洋で2台風ダブル発生へ　台風26号（フォンウォン）たまごは台湾に潜在的脅威　今週の気候と台風進路を専門家が解説 ｜ 関連記事をもっと読む ）

地理的要因から、フィリピンは毎年平均20回の熱帯低気圧や台風に見舞われる。これらの多くは、数百万人の貧困層が暮らす地域を直撃する。気象当局によると、台風25号（カルマエギ）は今年フィリピンを襲った20個目の熱帯低気圧であり、12月末までにさらに3〜5個の台風が上陸する可能性があるという。

さらに不運なことに、フィリピン軍は4日、台風被災地での救援活動に従事していた軍用ヘリコプターが北ミンダナオ島（Northern Mindanao）で墜落したと発表した。墜落したのはUH-1Y「スーパーヒューイ（The Bell UH-1Y Venom）」型機で、沿岸都市ブトゥアン（Butuan）に向かう途中で墜落したとされる。空軍のマリア・クリスティーナ・バスコ大佐（Colonel Maria Christina Basco）によると、機内に搭乗していた2名の操縦士と4名の乗組員の遺体が発見され、現在身元確認作業が進められている。

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編集：柄澤南 （関連記事： 気象予報》台湾・西太平洋で2台風ダブル発生へ　台風26号（フォンウォン）たまごは台湾に潜在的脅威　今週の気候と台風進路を専門家が解説 ｜ 関連記事をもっと読む ）

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