2025年10月30日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で「神宮外苑再開発」に反対する記者会見が開かれ、日本共産党の吉良佳子参議院議員、原田あきら東京都議会議員、そして作家のロバート・ホワイティング氏が登壇した。登壇者は東京都の小池百合子知事に対し、再開発計画の中止を求めるよう訴えた。

会見冒頭、司会を務めたダン・スローン氏が、再開発の概要と論争の経緯を説明した。神宮外苑の再開発は約3500億円規模で、明治神宮球場や秩父宮ラグビー場の建て替え、オフィスタワーや複合施設などを含む。松井智夫氏や明治神宮が事業主体として2036年の完成を予定している。一方、反対派は歴史的建築物や貴重な樹木の喪失、文化的景観の破壊を懸念している。
最初に発言した吉良佳子議員は、「神宮外苑再開発は東京都や新宿区、港区の権限に基づいて行われていると国は説明するが、国にも明確な責任がある」と述べ、国の関与と責任を強調した。彼女は国会で繰り返しこの問題を取り上げてきたが、政府は「見守る立場」を繰り返すばかりで、文化庁やスポーツ振興の観点からの対応も欠如していると批判した。また、ユネスコによる「ヘリテージ・アラート」や国連ビジネスと人権作業部会からの指摘に対しても、政府が「削除要請」など不誠実な対応を行ったと指摘した。
さらに吉良氏は、秩父宮ラグビー場が国民の財産であり、文部科学大臣の認可が必要な財産であるにもかかわらず、今年7月31日にわずか7日間という異例の速さで認可が出されたことを問題視した。通常2〜3ヶ月かかるとされる手続きを短縮したのは「特定事業者への便宜を図った」と批判し、「民主主義の手続きを無視したもの」と述べた。吉良氏は最後に「JSCの担当者は国会で“どんぐりを集めて植えればいい”と答弁した。これは緑の保全に対する無責任な姿勢であり、国の責任が鋭く問われている」と述べ、発言を締めくくった。
続いて登壇した原田あきら都議は、都市計画審議会の委員として再開発に反対してきた立場から、「神宮外苑再開発は民間事業ではなく、国民共有の財産を含む公的性格の強い事業だ」と指摘した。東京都が行った容積率緩和によって「土地の価値は跳ね上がり、大企業が利益を得る構図になっている」と述べ、「公共性の名のもとに、大木を伐採し、歴史的スタジアムを壊す計画のどこに公共性があるのか」と疑問を呈した。
原田氏は、日本共産党都議団が独自に入手した「取扱注意」文書を示し、2012年当時から自民党の萩生田光一氏と都幹部が外苑再開発を水面下で進めていたと明らかにした。「森喜朗元首相や都副知事らが2012年の段階で構想を共有し、明治神宮の協力を得る計画を立てていた」とし、「神宮の所有地を商業利用に転じる構想がこの時点で存在していた」と指摘した。また、現行計画での土地交換が貴重な樹木の伐採につながっており、「政治と行政と大企業が結託して進めた“政官財癒着”の象徴が神宮外苑再開発だ」と厳しく批判した。
最後に登壇したロバート・ホワイティング氏は、長年神宮球場に通う野球愛好家として、「神宮スタジアムは100年の歴史を持つ日本の野球文化の聖地であり、破壊は野球のアイデンティティを壊す行為だ」と訴えた。彼は「新スタジアムの建設は騒音・環境評価が不十分で、ヤクルトファンに“静かに応援してもらう”という説明が書かれている。これは冗談ではなく公文書に記載された内容だ」と批判した。さらに、「再開発により60階建てのビルやホテルが立ち並び、風のトンネルや日照被害も懸念される」と指摘した。
会見終盤の質疑では、他政党の動きについて問われた吉良氏が「自民党にも神宮外苑を守る超党派議連の議員はいるが、文科省の拙速な認可に対して抗議に参加したのは共産党、立憲民主党、社民党だけだ」と答えた。
吉良氏は「すでに36万筆の署名が集まり、坂本龍一氏や村上春樹氏など文化人も声を上げている。市民が再び声を上げることが大切だ」と強調し、「神宮外苑だけでなく、東京全体のまちづくりのあり方を問う問題だ」と訴えた。
編集:柄澤南 (関連記事: 「TOKYO わっしょい」開幕!江戸消防記念会が妙技披露 小池知事も観客と掛け声「東京!―わっしょい!」 | 関連記事をもっと読む )
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