国際注目》「祝電ゼロ」から「握手写真が一面に」:習近平氏が高市早苗氏へ態度を急転させた理由

2025-11-03 15:53
APECで会談する習近平氏と高市早苗氏(2025年10月31日)。(写真/AP通信)
APECで会談する習近平氏と高市早苗氏(2025年10月31日)。(写真/AP通信)
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2025年10月31日午後、APEC首脳非公式会合の場で、日本の新首相・高市早苗氏と中国の習近平国家主席が初めて会談した。いわゆる「令和の鉄の女」と評され、対中で最も明確なタカ派とされてきた高市氏と、「中華民族の偉大な復興」を掲げ対外強硬を強める習氏。両者は韓国・慶州で約30分間向き合い、日中の“大和解”というより、互いのレッドラインと意図を改めて確認する場となった。

高市氏にとっては就任後の外遊日程で最重要の外交デビュー、習氏にとっては景気逆風と複雑化する国際情勢の中で最大の隣国との安定化を図る避けがたい関門だった。会談では「戦略的互恵関係の一層の推進」と「建設的で安定的な日中関係の構築」で一致。これは安倍政権期から続く日本の対中方針だが、長く対中強硬派として知られた高市氏の口から語られた点が注目を集めた。

2025年10月31日,出席APEC峰會的中國國家主席習近平與日本首相高市早苗會晤。(美聯社)
APEC首脳会談で向き合う習近平氏と高市早苗氏(2025年10月31日)。(写真/AP通信)

高市氏は冒頭、「中国は日本にとって重要な隣国だ」と述べ、「未解決の課題はあるが、対立を減らし、理解と協力を広げ、具体的成果につなげたい」と強調。かつての中国の人権・軍拡への激しい批判調から一転した姿勢がにじんだ。報道によれば、10月21日の就任以降、中国内政への直接批判は控え、24日の所信表明でも「経済安全保障を含む安全保障上の懸念」に触れつつ、柱は「建設的で安定的な関係」と「戦略的互恵の推進」に置いた。

首相官邸関係者は、この転換を「現実主義の選択」と受け止める。側近は「高市首相の看板は経済。国内経済を優先するには最大の貿易相手国である中国との良好な経済関係が不可欠で、過度な対立は誰の得にもならない」と説明する。「戦略的互恵」は政治体制や価値観の違いを前提に、経済など共通利益で協力する枠組みで、安倍晋三氏が提唱したもの。高市氏があえてこのフレームを使ったこと自体、北京への明確なメッセージだと言える。たとえ強い信念を持つ政治家であっても、首相として最優先すべきは国益――その現実が今回の会談姿勢に表れた。

2025年10月31日,出席APEC峰會的日本首相高市早苗與中國國家主席習近平會晤。(日本總理大臣臉書)
APEC会場で会談する高市早苗氏と習近平氏(2025年10月31日)。(写真/日本首相官邸の公式フェイスブック)

高市氏は、安倍晋三氏が第2次政権後期に模索した対中関係の安定化路線を受け継いだように見える。側近の一人は「首相は会談でどんな表情を作るべきかまで考えた。習主席に『実務的な関係を築こう』というシグナルを送るためだ」と明かす。

一方で、高市氏は会談後の記者会見で「包括的な考えを率直に伝えた」と強調。尖閣諸島、中国のレア資源輸出規制、日本人拘束、香港・新疆の人権、さらに福島および10都県の水産物と日本産牛肉への輸入制限撤廃を求めたと説明した。台湾については「地域の安定は両岸関係の良好さにかかっている」と明言した。 (関連記事: 高市早苗氏、APECで習近平氏と初会談 日中関係の安定化を呼びかける 関連記事をもっと読む

習近平の「コンビネーション」牽制から歩み寄り、そして経済カード

高市氏の就任直後、北京は警戒一色だった。慣例を破り、就任当日に祝電を送らなかったのは象徴的で、石破茂氏、岸田文雄氏、菅義偉氏の時とは一線を画す“無言の警告”と受け止められた。もっとも、その後、高市氏が現実路線を打ち出し、日米同盟を強化、内閣支持率も高水準を維持したことから、北京の計算も変化したとの見方がある。産経新聞の社説は「中日関係の基盤は脆弱で、習政権の対日姿勢が大きく改善しない限り、関係強化は難しい」と指摘している。

2025年10月31日,出席APEC峰會的日本首相高市早苗。(日本總理大臣臉書)
APECに出席する高市早苗氏(2025年10月31日)。(写真/日本首相官邸の公式フェイスブック)
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