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台海解読》駐米代表人事が揺れる中、頼清徳氏は「恐怖の均衡」を操る? 駐米代表処の人事問題が浮かび上がらせたのは、国家安全会議の呉釗燮秘書長と林佳龍外交部長の主導権争いだ。最終的に誰の手に渡るのかは、頼清徳氏の判断にかかっている。(写真/柯承惠撮影)
韓国・釜山で行われたトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談では、双方とも台湾問題に言及しなかった。しかし会談後、中国による「統一促進」の圧力は一段と強まりつつある。一方、トランプ氏は沈黙を貫き、台湾の頼清徳総統も就任以来、米本土を訪れていない。台米関係は微妙な距離を保ったままだ。こうしたなか、台湾政府が駐美代表・俞大㵢氏の交代を検討し、トランプ陣営との接触強化を図るとの観測が浮上。だがその裏には、民進党内の権力闘争があるという見方も出ている。最終的な決着は、頼清徳氏がどのように「帝王術」を駆使するかにかかっている。 
米CNNは最近、台湾がトランプ政権の支持を失うことを懸念し、関係維持のために俞氏の交代を検討していると報じた。報道が出るや否や、駐米代表人事が再び波紋を呼び、夏以降、駐米人事の噂が絶えない状況となった。かねてから「俞大㵢氏を外し、国家安全会議顧問の徐斯儉氏を後任に」という人事案が取り沙汰されており、俞氏をスペイン駐在に回す構想まで浮上していた。
徐斯儉氏は駐米代表の後任候補とされ、この人事案は呉釗燮氏の意向によるものと見られている。(写真/柯承惠撮影)
駐米代表をめぐる内輪の権力闘争 事情を知る関係筋によれば、表向きは「トランプ政権とのパイプ強化」が理由とされているが、実際は民進党内の主導権争いが背景にあるという。国安会の呉釗燮秘書長と外交部の林佳龍長官――この二人の確執が根底にある。徐斯儉氏は呉氏の側近であり、俞氏は外務官僚出身で林氏に近い。もし駐美代表が徐氏に交代すれば、林氏は駐美代表処への影響力を失い、事実上「外交の中枢」を呉氏に奪われる構図となる。
林佳龍氏と呉釗燮氏は、いずれも外交部長を務めた経歴を持ち、両者の「確執」は政界で長く噂されてきた。写真は行政院長・卓栄泰氏が主催した新旧外交部長の引き継ぎ式。(写真/柯承惠撮影)
さらに火に油を注いだのが、呉氏の元側近が関わった「スパイ事件」だ。外交部時代の腹心・何仁傑氏が中国当局に外交機密を渡したとして、台北地裁は9月に懲役8年2月を言い渡した。野党からは「呉氏の監督責任を問うべき」と辞任を求める声が上がったが、調査の結果、呉氏本人への直接的な関与は認められず、政権内での地位はむしろ強化された。
共諜疑惑を越えて、なお影響力を保つ呉釗燮氏  関係筋によれば、側近が中国のスパイ事件に関与したものの、調査の結果、火の手は呉釗燮氏本人には及ばなかったという。むしろこの1年で、呉氏は頼清徳総統の信頼を着実に高めてきた。最大の象徴が、9月初旬に総統府が発表した国家安全チームの人事改編である。ここで呉氏の側近が頼氏の了承を得て国安会に加わり、体制の中核を固めた。 
国安会議副秘書長の趙怡翔氏は、呉釗燮氏が外務官僚時代から育ててきた側近のひとりである。(写真/顏麟宇撮影)
中国スパイ事件が発覚した後も、呉釗燮氏は頼清徳氏から信頼を得ており、国安会議秘書長として地位を維持している。(写真/顏麟宇撮影)
一方、林佳龍氏との不仲は公然の秘密だ。何仁傑氏のスパイ事件が発覚した際、林氏は真っ先に調査チームの設置を発表し、「徹底解明」を強調した。これは呉氏への牽制とも受け取られた。だが、CNN報道で駐美代表交代説が再燃すると、林氏は「人事の変更は検討していない。俞代表の召還も予定していない」と声明を出し、真っ向から呉氏に対抗する姿勢を示した。駐米代表ポストをめぐる主導権争いは、ますます激しさを増している。 
二派の対立を静観、頼清徳氏の「帝王術」か 内部関係者の分析によると、外交分野で林佳龍氏が呉釗燮氏に全面対抗するのは容易ではない。呉氏は陳水扁政権時代に駐米代表を務め、蔡英文政権でも長く重用されてきた。豊富な外交経験と広い人脈を持つ彼に、林氏が短期間で追いつくのは難しいという。 
駐米代表の俞大㵢氏は、人事刷新の波に巻き込まれた。その背後には林佳龍氏と呉釗燮氏の権力闘争があるとされる。(写真/AP通信)
それでも林氏が呉氏と拮抗できているのは、政治的なバランスの上に成り立っている。俞大㵢氏は昨年7月以降、宿舎改修費をめぐって「800万元の公費を使った」と批判を浴びたが、最終的に林氏が「実際の支出は約139万元だった」と説明して火消しに回った。最近も俞氏交代説が繰り返し報じられているが、本人はいまも職にとどまっている。 
関係者は「俞氏が留任している限り、林氏もまだ負けていない」と指摘する。その背景にあるのが頼清徳総統の政治的判断だ。頼氏は呉氏への信頼を深めているが、外交を一手に委ねるつもりはない。むしろ、呉氏と林氏の間で微妙な力の均衡を保ち、どちらの派閥も突出させない――この「恐怖の均衡」こそが、俞大㵢氏が今日まで駐米代表の座を守り続ける最大の理由といえる。
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