米連邦準備制度理事会(FRB)の最新利率決定は市場の予想通りだったが、FRB議長の ジェローム・パウエル(パウエル)氏が「12月の利下げは確定事項ではない」と明言したことで、株式市場、米国債、金価格が一斉に急落し、台湾株価指数先物の夜間取引でも一時100点以上の下落を記録した。記者が原稿執筆する時点で、台湾株価指数先物の下落幅は縮小したものの、米株のダウ工業株30種平均とS&P500指数はいずれもわずかに下落、ナスダック総合指数は0.5 %の上昇だった。
この約1時間の記者会見において、パウエル氏はまず今回の利率決定の主な理由を説明したが、次に市場の間で広く予想されていた12月の追加利下げについて明確に否定的な姿勢を示した。彼は「FRB内部では意見にかなりの隔たりがある」「12月の利下げは確定と見なすべきではない」と述べ、この発言が市場の動揺を引き起こした。
従来、パウエル氏は「政策は予め用意された道筋に沿って進むものではない」など免責的な発言を繰り返してきたが、今回はそれを超えて「一定の政策余地を保持する」姿勢を明確に示した。市場はこれを、FRBが今後の指導権を取り戻しつつある兆しとして受け止めた。

雇用とインフレのジレンマ、12月利下げの根拠は揺らぐ
パウエル氏は、現在入手可能な指標によれば「雇用はやや下振れ」「インフレはやや上振れ」として、二つの目標に挟まれた緊張関係が深刻であり、政策手段だけでは両方を同時に対応することは困難だと説明した。彼によれば、FRB内部には「インフレ懸念から据え置きを支持する者」「雇用改善を優先すべきと考える者」とが割れており、「12月の利下げはまだ決定していない。事前に決めることはしない」と語った。
インフレ率については、現在も目標の2 %を上回っているが、関税影響を除けば2 %超は0.5〜0.6ポイント程度と見込み、「緩やかな上振れにとどまっている」との認識を示した。
経済データの空白が慎重姿勢を促す
現在の情勢は極めて不確実性が高く、FRBが慎重になる要因となっている。パウエル氏は、「雇用市場が改善すれば最終決定に影響するが、12月会合前にどのような経済指標が出るか不透明だ。民間のデータでは政府統計の代替にはならない」と述べた。
また、「政府機関が閉鎖状態にあった期間、経済の詳細な把握は難しく、データが不足する中では慎重を要する」と語り、労働市場が消費支出よりも優れた観察指標だが、最近の解雇発表の増加は警戒すべき動きとして監視対象に含まれている。
記者から「株式市場のバリュエーション(評価)は気にならないか」と問われた際には、パウエル氏は「我々は特定資産価格にはフォーカスしない。金融システム全体がショックを受けないかを確認するのが我々の任務だ」と回答。家計部門には確かに圧力があるものの、現在の債務水準は管理可能と述べ、「総じて、経済は良好であり、金融システムも堅調だ」と結んだ。
編集:柄澤南 (関連記事: 日経平均が史上初の5万円超え!謝金河氏が明かす「狂気株」急騰で日本人驚愕 | 関連記事をもっと読む )
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