トップ ニュース トランプ氏の「台湾独立に反対」発言に先立ち、シンガポールの黄循財首相が立場を明示 「一つの中国を明確に支持、台湾独立に反対」
トランプ氏の「台湾独立に反対」発言に先立ち、シンガポールの黄循財首相が立場を明示 「一つの中国を明確に支持、台湾独立に反対」 2025年10月26日、中国の李強・国務院総理がシンガポールを訪れ、黄循財首相と会談を行った。(写真/シンガポール首相府フェイスブック)
中国の李強国務院総理は、中国共産党第20期四中全会の閉幕直後の25日、シンガポールを訪問した。中国の首相による訪星は7年ぶりだ。今回は国交樹立35周年の儀礼的な往来にとどまらず、今後数十年を見据えた地域協力の道筋について深い戦略対話が行われ、双方は計8件の覚書(MOU)に署名した。なかでも台湾の注目を集めたのは、黄循財首相が会談で「一つの中国」原則の堅持と、台湾独立への断固反対を明確に示した発言である。
李強氏 の専用機が25日にペイヤ・レバ空港へ到着し、黄循財首相との4度目の会談が正式に幕を開けた。黄首相が「成果は豊富だった」と表現した今回の協議では、グリーンシッピング、デジタル経済、第三国協力を含む8件のMOUが調印された。両者のやり取りと共同声明では、両国関係を「高水準」に位置づける認識が繰り返し確認され、次段階として「全方位かつ高品質の前瞻的パートナーシップ」へ進むための青写真が共同で描かれた。
「もう少し握手を」 カメラが捉えた政治の以心伝心 国会議事堂での歓迎式ののち、両首脳が非公開会談に入ろうとした際、小さな一幕がいまの関係性を映し出した。歴史的な握手を逃すまいと報道カメラが殺到し、場が一時ざわつくと、黄首相は微笑みつつ「総理のご訪問に、写真記者はとりわけ喜んでいるようです」と冗談を一つ。李氏 はカメラに向かい、「彼らはシンガポールと中国の関係を支持している。もう少し握手してもいいだろう」と応じた。
「両国関係のために、もう少し握手を」という場面はSNSで瞬く間に拡散し、相互の高い信頼と融和を象徴する光景として受け止められた。演出ではなく、黄首相が6月に初の訪中を果たしてから、わずか4カ月で李氏 が応じた“年内の相互往来”の流れの中で生まれた自然な一瞬でもある。続く約40分間の二国間会談では、外務省発表の通り、国交35年にわたる「極めて良好」な関係を確認。定期的なハイレベル往来、強固な経済連携、人文交流が緊密さを支えているとした。
2025年10月26日、中国の李強・国務院総理がシンガポールを訪れ、黄循財首相と会談を行った。(写真/シンガポール首相府フェイスブック) 注目すべきは、シンガポールと中国の双方の外務当局が発表で、黄循財首相の発言—「シンガポール政府は一つの中国政策を明確かつ一貫して堅持し、台湾独立に反対する」(Prime Minister Wong reiterated that Singapore has a clear and consistent “One China” policy and is opposed to Taiwan independence)—に言及した点である。
蘇州工業園からグリーン航路へ—中新協力の“反復アップグレード” この35年の中新協力は、蘇州工業園区や天津エコシティといった大型ハード案件が象徴だった。次の段階は明らかに、デジタルとグリーンという二つの成長エンジンに焦点を移す。今回署名された8件の覚書(MOU)は、その野心の具体化にほかならない。中でも目を引くのが「国家級グリーン&デジタル航路(グリーン・デジタル・シッピング・コリドー)」の構築だ。単なる環境配慮型の航路ではなく、世界有数の結節点同士が手を組む包括プロジェクトである。
世界最大の中継港・給油港であるシンガポールと、最大規模の製造業基盤と港湾群を抱える中国が連携し、海運の脱炭素とデジタル化標準で“再現可能なモデル”を打ち立てる狙いだ。燃料転換によるグリーン化、ブロックチェーン/IoTを用いた通関効率化やサプライチェーンの可視化などが想定される。さらに、デジタル経済、AI、新エネルギー、生物医薬の深化協力は、従来のインフラ中心の「ハード」から、ルール・標準・先端技術といった「ソフト」重視へと軸足が移りつつあることを示している。
同時に、協力の裾野も広がる。MOUには「中新協力による東南アジア公務員への研修提供」や「ASEANにおけるビジネス協力センター設立支援」も盛り込まれ、二国間の成果を意図的に地域へ波及させる設計だ。シンガポールは中国と東南アジアをつなぐ“スーパー・コネクター”として、中国のイニシアチブと資本を域内成長に円滑に結び付ける一方、ASEAN各国が中国の機会を理解し接続しやすくする役割を担う。これは李強氏 が述べた「積極的な第三国協力の展開」を地に足のついた形で実装するものでもある。
両岸問題で立場を明示するシンガポール 経済面の成果にとどまらず、「トランプ・習近平会談」を控えるタイミングだけに、今回の中新首脳会談は政治的含意も大きい。とりわけ台湾をめぐって、黄循財首相は改めて明確な立場を示した。シンガポール外務省の発表によれば、黄氏は「シンガポール政府は明確かつ一貫した『一つの中国』政策を堅持し、台湾独立に反対する」と表明。メディアは今回の「トランプ・習近平会談」で、中国側がトランプ氏から「台湾独立に反対する」明言を引き出すことを目標の一つとしていると伝える一方、米国務長官のマルコ・ルビオ氏が25日、「米国が台湾を見捨てることはない」と強調したとの観測もあり、トランプ氏の対台姿勢への憶測は収まっていない。
北京にとって、シンガポールの首相がここまで踏み込んだ発言を示した意義は小さくない。1993年の「辜汪会談(辜振甫氏と汪道涵氏による初の両岸公式対話)」から2015年の「馬習会(馬英九・習近平会談)」に至るまで、シンガポールが両岸関係で担ってきた微妙にして重要な役割が、黄氏の言葉で改めて浮き彫りになった格好だ。国際舞台では、黄氏は習近平国家主席が2021年に打ち出した「グローバル発展イニシアチブ(GDI)」への支持も表明し、中国および「GDIフレンズ」と協力して、国連の2030アジェンダの推進に取り組む用意があるとした。
会談で李強氏は四中全会の成果に触れ、中国が高品質な発展を志向する方針を説明し、より多くのシンガポール企業の対中投資を歓迎すると強調。これに対し黄首相は、「中国の長期的な発展と将来性を信頼しており、引き続き投資する」と応じた。政府系ファンドのGICやテマセクの動向は国際資本市場の“風向計”とされるだけに、この発言は中国経済への重要な一票でもある。両首脳のメッセージは、中国の先行きに懐疑的な投資家に向けた、明確なシグナルとなった。
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