フォーリン・アフェアーズが緊急提言:台湾は「非売品」——売らない前提で、米中首脳会談はどう「良い取引」を導くか

2025-10-24 17:49
米中首脳会談2日目、アメリカ大統領トランプ氏と中国国家主席習近平氏が7日にフロリダ州マールア・ラーゴで散歩する様子。(AP)
米中首脳会談2日目、アメリカ大統領トランプ氏と中国国家主席習近平氏が7日にフロリダ州マールア・ラーゴで散歩する様子。(AP)
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米中首脳は来週のAPECで会談し、世界は貿易戦争の緩和に注目している。しかし、関税や輸出規制の裏側では、より大きく危険な「取引」が進んでいる——その核心にあるのが台湾だ。『フォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs)』に寄稿した米政府元高官とシンクタンク研究者は、トランプ政権が経済的利益を求めて台湾政策を揺るがせば、わずかな調整であってもインド太平洋の安定を崩す恐れがあると警鐘を鳴らした。

論考「Taiwan Is Not for Sale(台湾は売り物ではない)」の筆者マーヴィン・パク(Marvin Park)氏は、2023〜24年にホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)で台湾事務を統括し、2016〜19年には米国在台湾協会(AIT)の武官を務めた台湾情勢の実務家。共著者のデビッド・サックス(David Sacks)氏は、米外交問題評議会(CFR)のアジア研究員で、米中台関係を専門としている。

2人は記事の冒頭で、ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席が交渉の席に着くとき、表向きは貿易障壁の解消をめぐって議論が交わされるが、その裏では米中関係の再構築という「大きな局面」が動いていると指摘する。経済だけでなく、地政学的な引火点の調整も進む中で、最も敏感な焦点が台湾であることは間違いないという。トランプ氏は今週、台湾問題が首脳会談で議題に上る可能性を認めた。

パク氏とサックス氏は、北京が既に交渉のシナリオを描いているとみている。習近平氏は「台湾統一」への野心を隠さず、必要とあれば武力行使も辞さない姿勢を示してきた。北京は台湾問題を米中関係の「最も重要で敏感なレッドライン」と位置づけ、米国に対し台湾支援の縮小を求める可能性が高い。見返りとして、中国は市場開放や対米輸入拡大など、一見“寛大な”経済的譲歩を提示するかもしれないが、それは米国が台湾問題で譲歩することを前提としている。

筆者らはこうした「取引」は米国にとって致命的な誤りになり得ると強調する。たとえ台湾政策をわずかに北京寄りに修正しただけでも、地域の安定を損ねるおそれがある。米国の支援を信頼できる強い台湾こそが、平和維持の要であると指摘する。トランプ氏は台湾を交渉の議題から外す必要はないが、中国の圧力をはね返し、台湾海峡で築かれてきた秩序を再確認して誤解の余地を減らすべきだと提言。良い取引とは、台湾を守る取引であり、見捨てることではないと結論づけている。

北京のナラティブを解体する:台湾海峡の真のトラブルメーカーは誰か?

パク氏とサックス氏は、北京が国際社会に広めようとする「台湾海峡の緊張は台湾と米国の挑発が原因」という主張を体系的に否定する。実際にはその逆であり、中国の攻撃的な軍事・政治行動こそが緊張の源だと指摘している。 (関連記事: 台湾、習近平・トランプ会談の主要交渉材料となる恐れ?専門家が分析、習近平氏の要求を予測 関連記事をもっと読む

北京は、台湾への強硬姿勢は2016年の蔡英文氏就任への反応だと説明するが、筆者らは軍事的拡張と威嚇がすでに馬英九政権(当時は対中融和路線)下で進行していたと述べる。馬政権時代には両岸で20以上の協定が結ばれ、習近平氏との歴史的会談も実現したが、その裏で中国は弾道ミサイル庫の拡充を進め、台湾射程内の戦闘機配備を強化していた。2016年の時点で、中国の軍事費は台湾の約14倍に達しており、「独立派の挑発に対抗して強硬化した」という北京の主張は成り立たない。

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