トランプ政権の「秘密外交」が破綻 米中貿易交渉、感情的対立で出口見えず

アメリカのトランプ大統領と中国の習近平主席は2019年に大阪で握手した。(写真/AP通信提供)
アメリカのトランプ大統領と中国の習近平主席は2019年に大阪で握手した。(写真/AP通信提供)
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米中貿易交渉が再び停滞した。『エコノミスト』は10月20日付で、両国はまるで「有毒な関係」に絡みついているかのようだと表現した。互いに罵り合い、冷淡に対応し、感情的な対立が続いている。ドナルド・トランプ大統領は、娘婿のジャレッド・クシュナー氏を通じて中国と維持していた「秘密外交」がすでに崩壊しており、新たな交渉代表であるロバート・ライス氏と何立峰氏との四回目の会談も進展を見せず、さらには公開の場で互いに非難し合う事態に至った。米中双方は内部で分裂しており、トランプ政権内の鷹派と商界が足を引っ張り合い、一方で北京では、整肅と集権化が進む中で官僚たちが不安を抱えている。現在、黄仁勳氏をはじめとするテクノロジー業界の巨頭たちが仲介役として関与しているが、両国のリーダーの外交的アプローチが全く対立しており、どちらも解決策には至っていない。一方は「個人の魅力」を信奉し、もう一方は「手続きの優先」を重視している。

「クシュナー・チャンネル」破綻、米中関係は再び膠着状態に

米中貿易交渉が再び行き詰まり、『エコノミスト』は両国の関係を、互いに罵り合い、冷淡に対応し、感情的な対立が続く「回復が難しい有毒な関係」に例えた。過去数ヶ月間、交渉は一時的な停戦と突発的な衝突を繰り返し、当初予定されていた10月末のトランプ大統領と習近平主席の会談も一度は中止となった。現在、会談はようやく再開され、24日前後にマレーシアで新たな予備会談が行われる予定だが、参加する官僚たちでさえ期待していない。最大の問題は「米中間に極めて不足しているコミュニケーションチャンネル」にあるからだ。

トランプ大統領の初期の任期には、米中間に非公式な「クシュナー・チャンネル」が存在していた。これはトランプ大統領が娘婿であるジャレッド・クシュナー氏と当時の中国駐米大使、崔天凱氏との間で行った秘密の交渉ルートであり、このルートは公式の貿易や安全保障担当官を苛立たせたものの、実際にトランプ・習近平両首脳会談への道を開き、2020年の「第一段階貿易協定」の成立を促進した。しかし、このルートはすでに断絶しており、信頼できる秘密のチャンネルはもはや存在しない。

米国大統領トランプと娘婿であるホワイトハウス高官クシュナー。クシュナーは現行の中東政策に積極的に関与しています。(AP)
米国大統領トランプ氏と娘婿であるホワイトハウス高官クシュナー氏。クシュナー氏は現行の中東政策に積極的に関与しています。(写真/AP通信提供)

アメリカの財務長官スコット・ベッセント氏と中国の何立峰副総理は、それぞれ優れた実力を持っているものの、全くもって息が合わない。ベッセント氏は大手ヘッジファンド出身の金融のベテランであり、何立峰氏は経験豊富な行政官僚である。両者はともにリーダーからの信頼を得ているが、互いに異なる体制での交渉経験が不足しており、トランプ大統領の初期任期におけるアメリカの貿易代表ロバート・ライトハイザー氏と、ハーバード大学を卒業した中国の首席経済顧問劉鶴氏のような専門的な信頼関係を築いていない。

5月以来、ベッセント氏と何立峰氏はすでに4回の会談を行っており、前回の会議の記録さえも未だに揉めている。これまでの交渉結果について合意に達することは難しく、新たな貿易協定の策定や北京での二国間首脳会談の日程決定はおろか、進展が見られない。ベッセント氏は公開の場で激怒し、何立峰氏の首席スタッフを「精神錯乱だ」と罵倒した。

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