トランプ氏、ゼレンスキー氏に「ドンバス全域割譲」を迫る 地図を投げ捨て「ウクライナは破滅する」発言も

2025-10-20 16:30
アメリカ大統領トランプ氏。(写真/AP通信提供)
アメリカ大統領トランプ氏。(写真/AP通信提供)
目次

イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』は19日夜、複数の関係者の話として、ドナルド・トランプ氏が17日にウォロディミル・ゼレンスキー氏と会談した際の詳細を報じた。 トランプ氏は会談中、ウクライナ前線の地図を乱暴に脇へ放り投げたうえで、クレムリンの意向をそのまま伝達。ウラジーミル・プーチン氏による「ドンバス全域割譲」という過酷な条件を受け入れるようゼレンスキー氏に迫り、拒否すれば「ウクライナは破滅する」と脅したという。

『フィナンシャル・タイムズ』によると、ゼレンスキー氏が今回再びワシントンを訪れた主な目的は、トランプ氏に対し、戦局を覆す可能性のある「トマホーク」巡航ミサイルの供与を働きかけることだった。 しかし、待ち受けていたのは軍事支援の好意ではなく、プーチン氏の要求に沿った激しい圧力だったという。この会談は「怒号が飛び交う対峙」と形容され、トランプ氏は終始罵声を浴びせ、極めて緊迫した空気に包まれたとされる。これにより、キーウが抱いていた米国の追加支援への期待は打ち砕かれ、さらにトランプ氏の立場がロシア側へ大きく傾いている実態が露わになった。

「もうこのレッドラインはうんざりだ!」 トランプ氏が地図を放り投げ、プーチン氏のシナリオを全面的に受け入れる

ある欧州高官の証言によれば、トランプ氏は会談の場で、前日にプーチン氏と交わした電話内容をほぼ「一言一句」そのまま繰り返し、直前の自身の発言と矛盾する点にも頓着しなかったという。 トランプ氏はゼレンスキー氏に対し、プーチン氏がこの戦争を「特別軍事作戦にすぎず、戦争ですらない」と位置付けていると軽蔑的な口調で述べ、「即座に合意しなければ破滅する」と警告した。

「もし彼(プーチン)がその気になれば、お前は滅ぼされる」

会談で最も衝撃的な場面となったのは、ウクライナ軍が提示した戦況図をトランプ氏が乱暴に脇へ投げ捨て、「もう地図を見るのはうんざりだ」と怒鳴った場面だった。 「このレッドラインがどこなのかすら知らない。行ったこともない」と吐き捨て、ウクライナが血を流して守る領土への関心の薄さを露わにした。 さらにトランプ氏は、ロシア経済について「非常に好調だ」と称賛。これは、直前まで「ロシア経済は崩壊寸前」と発言していた内容と真っ向から食い違っており、その急激な態度の変化が波紋を広げている。

プーチン氏の新たな誘惑:ドンバス全域割譲の「悪魔の取引」

英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、トランプ氏がこれほど強硬に出た背景には、プーチン氏が16日に同氏と通話した際に提示した「新案」があると指摘している。プーチン氏の構想では、ウクライナは同国がまだ掌握している東部ドンバスの残存領土を全面的に放棄することを求められる。代替として、ロシアは南部前線のヘルソン及びザポロジアで占領している「一部の小さな領土」を『返還する』と申し出るという。

一見すると譲歩に見えるこの提案は、実際には落とし穴を含んでいる。というのも、ロシアが交換材料として示したヘルソンやザポロジアの一部地域は、元来ロシア軍にとって防衛が困難であり、戦争開始以降ほとんど進展がない地域だからである。しかも今回の条件は、今年8月にアラスカでトランプ氏と会談した際にプーチン氏が示した条件よりもさらに苛烈な内容となっている。当時は、プーチン氏はウクライナがドンバスを放棄することを前提に、他の戦線を凍結するよう要求するにとどまっていた。今回はそれに加え、ウクライナに対し、過去十年以上にわたりロシアが完全占領できず、2022年の全面侵攻以降も奪取できていないドンバスの工業地帯の核心部を手放させようというものであり、ウクライナ政府にとっては到底受け入れ得ない政治的自殺に等しい提案である。

最新ニュース
陸文浩の見解:「海強操演」期間、中国軍が情報収集と海空演習を強化
香港空港でUAE貨物機が墜落、2人死亡!着陸の際「異常に偏差」、若い地上職員が殉職
台湾高速鉄道「静寂車両」炎上から見える台湾政治の裏側 高鉄トップ交代で浮上する「新潮流派の交通支配」
光復か、収復か、それとも占領か?政大・劉維開氏が語る「台湾はこうして光復された」
論評:「天選の女王」誕生か?
台湾・国民党の鄭麗文主席、習近平氏と会談意欲表明!両岸「反台湾独立」強調し、頼清徳の行動に「失礼」と批判
イスラエル、ガザで大規模空爆後に停戦再開を発表 少なくとも26人死亡 「平和への道」なお遠く
気象予報》台湾、台風24号(フンシェン)離れても北部・東北部で累積雨量300mm級の「大量降雨」警戒、気温20度台まで低下
イギリス議会、中国スパイ疑惑を受け「中国市民の立ち入り制限」を検討 下院議長が安全強化に言及
北京観察》習近平、台湾・国民党鄭麗文新主席に「異例のスピード祝電」 両岸関係「融氷」の兆しか
中国、レアアース輸出規制強化 TSMCは「第二波」直撃懸念 欧米供給網も実は中国依存
スターラックス航空の新章2》月8000人が利用!ミシュラン料理がラウンジに登場、どんな選択肢があるのか?
「伝説のブルーライン区間車」一日わずか10本未満 途中で全員下車、謎の南港基地へ 台北メトロが明かした「幻のルート」とは?
スターラックス航空の新章1》2026年の航路計画:ヨーロッパへの新路線と高雄の新拠点明らかに
大阪に香る台湾コーヒー「啡嚐嘉義」 阿里山の風味が日本の味覚を征服
飛行機の空席、移動に追加料金? 収益だけではない理由―機体バランスなど「航程全体に影響」
韓国財務長官が不満表明:「トランプが“ソウルは3,500億ドルを前払いせよ”と主張する」
エバー航空の客室乗務員が急逝、総経理ら6名幹部が謝罪 「1週間以内に調査完了を約束」
人物》台湾・国民党に波紋――元民進党で台湾独立を掲げた鄭麗文氏、郝龍斌氏を破って新党首に
人物》元台北市長・郝龍斌氏、「将軍の息子」も及ばず 国民党主席選で敗北
台北・微風広場が「夢への入り口」に変身!「アリス、仙境を救う」没入型展が11/8開幕
早稲田大学・岡本隆司教授が語る「中国史の長い影と習近平政権」
台湾人が日本地方創生の推進力に――民進党立法委員・陳冠廷氏「三方に利益をもたらす新しい国際協力」
中国が再び「レアアース規制」発動  NYT報道「トランプへの警告、タカ派けん制」
外国人が見た台湾観光の弱点 日本のブランド運営に学べとAllen氏提言
米国パスポートが初のトップ10陥落シンガポール・韓国・日本が世界トップ3独占
茨城・那珂市の先﨑光市長が「台南道」を設置 台湾・台南市の黄偉哲市長は次世代へ友情の継承を望む
BLACKPINKメンバーの家柄はセレブ揃い?「財閥令嬢」「皇室の末裔」との噂も それでも世界を席巻する超級ガールズグループの理由
小豆島で台湾の味と温もりを届ける──日台夫婦が営む台湾料理店「agon」、その歩みと思い
日本家屋を活かして再生 台湾・桃園文学館オープン 旧市街を歩き、百年の文学時空をめぐる
日本でクマ被害が過去最多 7人死亡・負傷は100人超、市街地にも拡大 専門家「冬眠しないクマが新常態に」
台湾「17LIVE」社外取締役に太子グループ関係者 シンガポールを資金洗浄の“踏み台”と批判、当局イメージに打撃
台中が「黄潮」に染まる! 中信兄弟、台湾シリーズで王座奪還へ 市政府前で1,300インチのライブ応援イベント開催
台湾・台北でカフェを楽しみながら飛行機を観賞!松山空港の展望デッキが改修後に再オープン!
花蓮・立霧渓の270万トンせき止め湖が危機!決壊すれば「河水が5メートル急上昇」の可能性、最新の監視結果を読む
台湾・林佳龍外交部長、日本・比・米・欧を歴訪 第一列島線で日・比と連携、中国の権威主義に対抗
北京観察》「トランプ・習近平会談」で誰が得をするのか 米財務長官ベッセント氏、半導体・製薬・鉄鋼に加え「それ」の戦略備蓄を示唆
王義雄の見解:初の女性総裁・高市早苗氏 日中の「歴史的対立」を深めるのか、それとも緩和へ導くのか
村山富市・元首相が死去、101歳 戦後50年「村山談話」で歴史直視、「侵略と植民地支配を謝罪」した歴史的談話を遺す
舞台裏》台湾・台北市公務員が「大量流出」内幕 蔣萬安市政で何が起きているのか
カンボジア「太子集団」のオンライン詐欺拠点、台湾にも 米制裁の関連9社に加え、台北101内に拠点
TSMC、熊本第2工場の建設開始を正式発表 木村知事「整地は最終段階」
天気予報》台風24号(フンシェン)たまごが発達中 台湾で週末から4日連続の豪雨・北部は10度下がる見通し
台湾民意基金会の世論調査》台湾・国民党主席選、三つ巴の激戦に 郝龍斌氏が24%で首位、鄭麗文・羅智強氏が猛追
「トランプの宿敵」ボルトン前補佐官を起訴 機密「日記ゲート」で最長10年刑の可能性
品川・大井町に新ランドマーク「OIMACHI TRACKS」誕生へ TOHOシネマズやホテルメトロポリタンが入居、2026年3月開業