台湾高速鉄道「静寂車両」炎上から見える台湾政治の裏側 高鉄トップ交代で浮上する「新潮流派の交通支配」

2025-10-20 15:55
高速鉄道の会長である史哲氏(写真参照)が静寂な車両の論争に謝罪、史哲氏の人事配置は新潮流が交通体系を掌握する縮図である。(写真/劉偉宏撮影)
高速鉄道の会長である史哲氏(写真参照)が静寂な車両の論争に謝罪、史哲氏の人事配置は新潮流が交通体系を掌握する縮図である。(写真/劉偉宏撮影)
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最近、台湾の高速鉄道は「静寂車両」政策を導入したが、その目的が静かな乗車環境を提供することでありながら、子育てに対する不親切な対応として批判を浴びた。これに対し、新たに高速鉄道の董事長に就任した史哲氏は初めて公の場に立ち、謝罪を表明し、実施方法を再調整する意向を示した。その一方で、彼は過去に文化部長や政務委員を務めており、交通系統とは無縁の出身で、2025年6月に高鉄トップに就任したことは「静寂車両」に対する弁明以上に注目を集めている。

史哲氏は新潮流菊系の出身で、監察院長の陳菊氏に育てられた人材である。彼の任命は新潮流と菊系が頼清徳総統の支持基盤であることを意味しており、高鉄の宜蘭・屏東延伸といった選挙に影響を及ぼす可能性のある重大建設案で、彼が中央と地方の政治的コミュニケーションを円滑にする役割を担うことになる。ただし、このような派閥人事は新潮流が交通資源を掌握していることを象徴している。

部会から公営事業まで、政策策定から運営実務に至るまで、新潮流は交通系統に対して広範なネットワークを築いており、交通システムの安定した拠点となっている。行政系統において、交通部は新潮流が管理している。新潮流の子弟である陳世凱氏が交通部長を務め、この派閥の重要人物が政策決定の最高位を直接掌握していることを象徴しており、交通部の業務は非常に多岐にわたり、鉄道、道路、運輸、航空から公営事業に至るまで億単位の予算が頻繁に動くため、全国の基盤整備の方向性を決定する。一人の民進党立法委員は、このことが派閥にとって、政治舞台での活動を超え、資源配分と選票獲得の最適な手段であることを明かしている。

20251018-SMG0035新潮流、近新系在交通體系的人事版圖
(表/賴慧津作成)

交通部「総ゲート」を掌握 交通委員会新潮流も強力に布陣

交通部長のポストは新潮流派の人脈が握っており、新潮流は膨大な資源をコントロールする「総ゲート」を手中に収めた格好となっている。陳世凱氏と史哲氏がそれぞれ交通部と台湾高速鉄道に陣取り、一方が政策全体を統括し、もう一方が事業体の経営に切り込むという連携体制を形成。さらに、王國材氏ら菊系の人脈が中華郵政のトップとして交通分野に復帰したことで、交通部および関連する国営企業の上層部が新潮流によって確実に掌握されている構図が鮮明になっている。

一方、立法院の交通委員会も国会における新潮流の牙城となっている。同委員会は交通部の巨額予算を審査するだけでなく、高鉄や華航といった国営企業に対して監督圧力を加える権限を持つことから、長年「肥えた委員会」と呼ばれてきた。現在、委員会の与党系メンバーはほぼ新潮流またはその周辺勢力で占められており、何欣純氏を除き、李昆澤氏、林俊憲氏、許智傑氏、蔡其昌氏、陳素月氏、徐富癸氏らはすべて新潮流系である。交通部と交通委員会が連動することで、意思決定のチェーン全体が新潮流の影響下に置かれている状況が浮き彫りになっている。

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