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台湾高速鉄道「静寂車両」炎上から見える台湾政治の裏側 高鉄トップ交代で浮上する「新潮流派の交通支配」 高速鉄道の会長である史哲氏(写真参照)が静寂な車両の論争に謝罪、史哲氏の人事配置は新潮流が交通体系を掌握する縮図である。(写真/劉偉宏撮影)
最近、台湾の高速鉄道は「静寂車両」政策を導入したが、その目的が静かな乗車環境を提供することでありながら、子育てに対する不親切な対応として批判を浴びた。これに対し、新たに高速鉄道の董事長に就任した史哲氏は初めて公の場に立ち、謝罪を表明し、実施方法を再調整する意向を示した。その一方で、彼は過去に文化部長や政務委員を務めており、交通系統とは無縁の出身で、2025年6月に高鉄トップに就任したことは「静寂車両」に対する弁明以上に注目を集めている。
史哲氏は新潮流菊系の出身で、監察院長の陳菊氏に育てられた人材である。彼の任命は新潮流と菊系が頼清徳総統 の支持基盤であることを意味しており、高鉄の宜蘭・屏東延伸といった選挙に影響を及ぼす可能性のある重大建設案で、彼が中央と地方の政治的コミュニケーションを円滑にする役割を担うことになる。ただし、このような派閥人事は新潮流が交通資源を掌握していることを象徴している。
部会から公営事業まで、政策策定から運営実務に至るまで、新潮流は交通系統に対して広範なネットワークを築いており、交通システムの安定した拠点となっている。行政系統において、交通部は新潮流が管理している。新潮流の子弟である陳世凱氏が交通部長を務め、この派閥の重要人物が政策決定の最高位を直接掌握していることを象徴しており、交通部の業務は非常に多岐にわたり、鉄道、道路、運輸、航空から公営事業に至るまで億単位の予算が頻繁に動くため、全国の基盤整備の方向性を決定する。一人の民進党立法委員は、このことが派閥にとって、政治舞台での活動を超え、資源配分と選票獲得の最適な手段であることを明かしている。
(表/賴慧津作成)
交通部「総ゲート」を掌握 交通委員会新潮流も強力に布陣 交通部長のポストは新潮流派の人脈が握っており、新潮流は膨大な資源をコントロールする「総ゲート」を手中に収めた格好となっている。陳世凱氏と史哲氏がそれぞれ交通部と台湾高速鉄道に陣取り、一方が政策全体を統括し、もう一方が事業体の経営に切り込むという連携体制を形成。さらに、王國材氏ら菊系の人脈が中華郵政のトップとして交通分野に復帰したことで、交通部および関連する国営企業の上層部が新潮流によって確実に掌握されている構図が鮮明になっている。
一方、立法院の交通委員会も国会における新潮流の牙城となっている。同委員会は交通部の巨額予算を審査するだけでなく、高鉄や華航といった国営企業に対して監督圧力を加える権限を持つことから、長年「肥えた委員会」と呼ばれてきた。現在、委員会の与党系メンバーはほぼ新潮流またはその周辺勢力で占められており、何欣純氏を除き、李昆澤氏、林俊憲氏、許智傑氏、蔡其昌氏、陳素月氏、徐富癸氏らはすべて新潮流系である。交通部と交通委員会が連動することで、意思決定のチェーン全体が新潮流の影響下に置かれている状況が浮き彫りになっている。
巨額の予算を握り、交通インフラ政策の生殺与奪権を持つ交通委員会は「肥えた委員会」とも呼ばれる。現在、この委員会には新潮流系の立法委員が多数配置されている。写真は交通委員会で質疑に立つ蔡其昌氏(写真/顏麟宇撮影)。
交通国営事業の豊富な資産 新潮流が蜘蛛網のように掌握 国営企業の人事再編は、派閥の影響力を如実に示している。中華郵政は交通分野の中でも最大規模の国営企業であり、物流や金融、全国の基層ネットワークを掌握するだけでなく、派閥運営の重要拠点でもある。王國材氏は陳菊氏の高雄市長時代に重用された人物で、かつて交通部長も務めた経歴を持つ。現在、中華郵政の董事長(会長)を務めることで、菊系の交通分野における影響力の強さが裏付けられている。
また、高速鉄道の董事会(取締役会)には史哲氏が陣取るほか、謝委呈氏のような派閥系人脈もいる。謝氏はかつて李昆澤氏の秘書を務め、現在は航発会の法人代表として董事会に名を連ねている。これにより、新潮流派が交通分野に深く根を張っている実態が浮き彫りになっている。
さらに、桃園国際空港公司も交通部の管轄下にある重要な国営企業であり、国際ゲートウェイの建設・運営に直結する戦略拠点だ。同社には依然として燦系(鄭文燦系)の人脈が残る。楊偉甫氏はかつて台湾電力の董事長だったが、2022年の「303大停電」発生後に責任を取って辞任した。当初は政界から退くとみられていたが、わずか1年後、行政院の承認を経て桃園国際空港公司の董事長に就任。鄭文燦氏が副院長として権限を握っていた時期に近しい関係を背景に起用されたとされ、これにより楊氏は交通分野の重要ポジションに返り咲いた形となった。
陳世凱氏(左)は交通部長として「総ゲート」を押さえる要職に就いている。一方、楊偉甫氏(右)も新潮流との関係を背景に再び表舞台に立った。(写真/顏麟宇撮影)
交通要塞中華航空 新潮流の人脈ネットワークが広がる 中華航空もまた、交通分野における一大拠点である。なかでも注目を集めたのは、羅雅美氏の復帰である。同氏は「私煙事件」で辞任してから3年を経て副総経理に返り咲いた人物で、前国家安全会議秘書長の邱義仁氏の幕僚出身、蔡英文氏とも近しい関係にある。異例の“四段跳び”とも評された昇進は業界でも稀であり、今回の復帰は一時、論功行賞や派閥の庇護に対する疑念を招いた。また、新任の董事・監察人には賴清德氏と縁の深い人材が複数含まれる。新任の独立董事である黃奕睿氏は2021年に国策顧問に起用され、2023年には民主進歩党の不分区名簿に名を連ねた。林國漳氏は宜蘭の「信頼の友」理事長で、賴清德氏から次期宜蘭県長候補として目される人物である。林玉芬氏は2024年総統選での弁護団メンバーである。
新潮流派に近い羅雅美氏(左)は、民進党が中華航空を掌握する象徴的な存在とされている。(写真/新新聞 柯承惠撮影)
中華電信の必争地 新潮流が内部に進出 中華電信は、国営企業の中でも特に規模が大きく、豊富な資源を抱える中核企業であり、派閥争いの激戦区でもある。2023年には呂宜臻氏が鄭文燦氏の側近として董事長室に“空降”し、社内で大きな波紋を呼んだ。同氏は通信やテクノロジー分野の経歴を持たず、桃園市政府出身で、民政局主秘を務めた鄭氏の中核幕僚である。2022年の統一地方選挙では、民進党党務担当者とともに寺廟を訪れ、林智堅氏の選挙活動を支援したとして「党政不分」との批判を受けた経緯がある。そのような地方政治出身の人物が、選挙直後に中華電信董事長室の資深管理職に抜擢されたことで、社内では人事の公平性に対する疑念が広がった。
この人事は、鄭氏の影響力が交通分野へと浸透する“毛細血管”のような象徴と受け止められた。当時、鄭氏は交通部を直接掌握していたわけではないが、行政院副院長としての地位を背景に、呂氏を通じて中華電信に橋頭堡を築く形となり、新潮流派の交通分野における勢力地図の中で一定の存在感を示した。
鄭文燦氏(写真)は権力を握っていた当時、交通分野への勢力拡大にも積極的に取り組んでいた。(写真/楊子磊撮影)
公共工事の隠れた戦場 新潮流鄭運鵬氏、主導権を掌握 中華電信の子会社は投資から通信まで幅広い分野に拠点を構えている。かつて陳菊氏の高雄市政チームに属していた李瑞倉氏は、金融監督管理委員会主任委員(主委)を退任後、長期にわたり中華投資公司を掌握していた。李氏の引退後、その総経理(社長)ポストには潘孟安氏の側近で、元民進党副秘書長の黃建嘉氏が就任しており、新潮流派が中核企業のみならず、その影響力を子会社へと拡大していることが明確になっている。
また、エンジニアリング系のコンサルティング企業も新潮流派の“見えざる戦場”とされている。鄭運鵬氏は2022年の桃園市長選で敗北後、台湾世曦工程顧問公司の董事長(会長)に就任した。同社は国内最大級の建設コンサル企業の一つで、公共事業の入札と密接に関わる存在である。鄭氏の異動に伴い、これまで同氏が務めていた中華顧問工程司の董事長職には蔡宗倫氏が就任。蔡氏は陳菊氏の幕僚出身であり、菊系による交通インフラ分野での影響力が引き継がれた格好となった。こうした企業群は高速鉄道や中華航空のように世間の注目を集めるわけではないが、入札や技術審査を通じて派閥の利害に深く関わる構造となっている。
前立法委員の鄭運鵬氏は、台湾世曦工程顧問公司の董事長(会長)に就任し、新潮流派によるエンジニアリング分野の“見えざる戦場”を守る立場となっている。(写真/蔡親傑撮影)
交通予算、資源豊富 新潮流活動の鎖は揺るがない 新潮流派が交通分野の掌握にこだわるのは、この領域が莫大な資源を内包しているためである。交通部門の年間予算は数千億台湾元規模に上り、高速鉄道の延伸、都市鉄道の拡張、新規道路建設といった大型インフラ事業は、地方の利益と票田に直結する。こうした構造は派閥にとって格好の資源基盤であり、航運や航空分野も国際連携の最前線として、エネルギー転換や協力関係の交渉で重要な役割を担う。交通分野を押さえることは、新潮流派にとって政治的な“地盤の強化”に直結する。
一時期、交通分野の資源配分は、林佳龍氏(正国会の領袖)が交通部長を務めた際に再編の動きを見せたものの、新潮流派の基盤は揺るがなかった。林氏の人事介入も大きな打撃にはならず、現在は交通部長が陳世凱氏に戻り、立法院の交通委員会にも新潮流系の立法委員が多数配置されている。さらに、高速鉄道、中華航空、中華電信、台湾世曦工程顧問公司、中華顧問工程司などの要所には、新潮流系の人脈が配されている状況だ。
民進党内では、こうした派閥ネットワークが強固になることで、専門性と派閥性の衝突が起きれば、交通行政の信頼性が賴清德政権の重荷になりかねないとの懸念も出ている。しかし、新潮流派は党内でも屈指の組織力と政局対応力を誇り、その影響力は揺るぎない。少なくとも現時点では、交通分野における“新潮流王国”は盤石な体制を維持しているといえる。
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