「自公連立」ついに終焉 自民×維新が「閣外協力」で新時代へ 高市政権誕生の舞台裏

2025-10-21 11:15
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選挙に勝利した後の初記者会見。(写真/AP通信提供)
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選挙に勝利した後の初記者会見。(写真/AP通信提供)
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自民党と公明党による26年にわたる連立体制(自公連立)が崩壊し、自民党新総裁の高市早苗氏の首相就任への道は一時、暗雲が立ちこめた。しかし、野党はこの歴史的な政権交代の機会をつかみきれなかった。数日後には、高市氏が21日の臨時国会で第104代内閣総理大臣に指名され、日本の立憲政治史上初の女性首相となる公算が極めて高まっている。その背景には、自民党と第3党の日本維新の会が協力合意に達したことがある。

今回の枠組みは従来型の「連立政権」ではなく、「閣外協力」と呼ばれる手法である。維新の会は首相指名選挙で高市氏を支持し、国会運営でも自民党と歩調を合わせる一方、閣僚を送り込むことはしない。「友達以上、恋人未満」とも形容されるこの非典型的な政治協力の裏には、どのような思惑が潜んでいるのか。今後の政局を大きく左右する可能性がある。

既に連合また独立:維新の会の「閣外協力」計算

今回の自由民主党と日本維新の会による協力関係を理解する上で、「閣外協力」という枠組みが重要な鍵となる。たとえるなら、「あなたをボスとして支持し、抗争にも力を貸すが、自分は組織の幹部にはならない」という立ち位置である。維新の会は重大法案や予算案で自民党と歩調を合わせ、実質的に与党の一翼を担うが、内閣のポストは一切受け入れない方針を取った。背景には、極めて計算された政治戦略があるとみられている。

日本経済新聞の分析によると、維新の会は結党以来、既存体制への挑戦と改革を旗印にしてきた。特に本拠地である大阪の支持層は、自民党型の政治文化に飽き足らず維新を支持している層が多い。協定成立直後に閣僚ポストを受ければ、「権力分け合いのための連携」や「ポスト狙い」といった批判を招き、監視者・改革者としてのブランドイメージを損なう恐れがある。維新の会幹部も「われわれはポスト目当てで組んだと思われたくない」と語っている。

さらに、維新の会が閣外協力を選んだ理由には「自由開火権(フリーハンド)」の確保もある。毎日新聞は、入閣すれば「閣内一致」の原則が適用され、内閣決定に異を唱えることができなくなると指摘する。批判と監視を基盤とする政党にとって、これは大きな制約となる。閣外協力の立場であれば、政策形成に関与しながらも必要に応じて自民党との距離を保ち、批判の自由を維持できる。党代表で大阪府知事の吉村洋文氏も「自民党に政策実現への本気度があるか、まずは見極めたい」と語っている。

一方で、これは高市早苗氏にとって理想的なシナリオではない。朝日新聞によれば、自民党としては閣僚を出してもらい、「閣内協力」というより強固な連携を築きたい考えだった。そうすれば政権基盤を安定させ、維新の会にも与党の一員としての責任を共有させることができる。一方、自民党のベテラン議員は「維新の会は一枚岩ではない。入閣しない限り、協力関係に不安定要素は残る」と懸念を示している。

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