李忠謙コラム:トランプがノーベル平和賞を逃して幸い ガザ停戦は幻想、ゼレンスキー再び屈辱

2025-10-21 17:02
2025年10月13日、アメリカのトランプ大統領がエジプトでの中東平和サミットに出席し、イスラエルとハマスのガザ地区における戦争の終結を目指す。(AP通信)
2025年10月13日、アメリカのトランプ大統領がエジプトでの中東平和サミットに出席し、イスラエルとハマスのガザ地区における戦争の終結を目指す。(AP通信)
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人々が期待と不安を抱く中、ノーベル委員会は結局2025年の平和賞をトランプには与えず、ベネズエラ反対派の「鋼鉄の蝶」マリア・コリナ・マチャド(María Corina Machado)に授与した。しかし、マチャドはCNNのインタビューで、トランプの「麻薬テロリズム」指摘と公海での船舶攻撃を全面的に支持し、「この栄誉をトランプ大統領に献呈したい。なぜならば、これこそが絶対的に公正で、ベネズエラの国民の感情だからだ」と宣言した。この平和賞が何を意味するのか、再び世間の疑問と反省を呼び起こしている。

これは非常に魔法のような現実の瞬間である。国際平和の最高の栄誉が独裁に抗う戦士に授与されたばかりで、その戦士がその賞を「準独裁者」と呼ばれる男性に贈ろうとする。贈り物はゆがんだ鏡のようで、この時代の「平和」に対する定義の混乱、矛盾、そして極度の渇望を反映している。国際舞台で横行するトランプは、結局その心に描く平和賞を得ることができなかったが、その存在はどの受賞者よりも巨大にオスロ市庁舎の上を覆っている。

しかし、マチャドによるトランプへの賛辞と敬意は、あいまいな現実を明らかにしているかもしれない。この混乱した世界において、トランプのような常軌を逸した「壊し屋」は、変化を望む人々にとって致命的な魅力を持つ。彼らは過程が優雅で公正かどうかに関心がなく、結果が実現されるかどうかだけに関心がある。しかし、ノーベル平和賞発表後の一連の変局は、「トランプ式平和」の本質を再び浮かび上がらせた。それは、利益計算を中心とし、総合的な実力を支えとし、結果を英雄視する現実主義的外交である。

マチャドがトランプへの賛辞の裏にある真実を探ると、ガザやウクライナなどの戦場でのトランプの真実の行動を見ると、1つの不安が浮かび上がる。多くの台湾人が強い期待を寄せるトランプは、国際平和の究極の解決策か、それともただ速効性を求める混乱の毒薬か?

トランプの「ノーベル怨念」とホワイトハウスの怒り

トランプのノーベル平和賞に対する執念はもはやニュースではない。2020年以来、彼はこの栄誉に対する渇望を隠さず、それが彼の大統領生活における、パズルの最後の1ピースだと考えている。彼は中東平和の草案者であり、多くの戦争を終結させた終結者と自負している。2025年の賞が決まると、ホワイトハウスの反応は予想通り激しく、一連の声明がノーベル委員会を「政治を平和の上に置いた」と非難し、「その功績を見逃すとは」といった憤怒で満たされていた。 (関連記事: 独占》米国、国民党関係者と「鄭麗文現象」をめぐり意見交換を開始 彼女は「国民党の蔡英文」か、それとも「台湾版トランプ」か 関連記事をもっと読む

トランプ自身の反応はより劇的であった。彼は外部にマチャドが直接電話をかけてきて、この賞は「彼(トランプ)の名義」で受け取ると告げたと宣言。この発言により、彼は失意の傍観者から栄光の背後の「真の実力者」に転換した。トランプは自身が2026年の有力候補であることを予言。この全てが彼に得意なリアリティショーのようで、勝ち負けに関わらず、彼は常にスポットライトの下の唯一の主役となることを確保する。

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