陸文浩の視点:海強操演が終了、頼清徳氏が視察 共軍は特定目標を狙う合同作戦に踏み切るのか?

頼清徳総統が「海強操演」を視察。(写真/総統府公式サイト)
頼清徳総統が「海強操演」を視察。(写真/総統府公式サイト)

台湾総統府の発表によれば、頼清徳総統は海軍「海強操演」最終日の10月17日早朝、高雄・旗津営区を訪れ、第62.1水上作戦支隊の「聯合截撃」作戦計画演練を激励した。忠義の軍風を保ち、「誇り・規律・戦闘力」を備えた鉄の部隊であり続けるよう期待を示したという。

一方で同日8時37分、中国軍東部戦区は台湾周辺の海空域で「聯合戦備警巡」を実施し、強い挑発色を帯びた。午後には中国国防部が会見で「台湾カード」を切るのは火遊びに等しく、台湾武装化は危険な賭けだと牽制。人民解放軍は対分裂・対干渉の実戦能力を一段と高めると表明した。今回、中国軍が「聯合火力」打撃のリハーサルに踏み切ったのか、筆者は注視している。

筆者が10月17日(16日締め)に記した記事では、中国艦艇が14日に突如13隻へ増加し、15日に8隻へ縮減した動きから、「艦が先に動き、航空戦力が後追いし、軍演が始まる」という原則を示した。直近3日間、台湾海峡周辺を飛行する中国機は漸増しており、東部戦区は「聯合戦備警巡」以上の演習にいつでも移行し得る態勢にあるとみている。(関連記事:陸文浩の見解:「海強操演」期間、中国軍が情報収集と海空演習を強化

10月16日の中国機動向は次の通り。16日08時20分~17日04時00分、無人機2機が浙江・福建境界から台湾海峡西側へ進出、金門以南で活動した。2機は東引東南から東北にかけての梯形空域、台湾北方空域、海峡中線北部を越境。さらに16日08時10分~19時50分には、主戦・補助を合わせ16機が台湾防空識別圏(ADIZ)西南~南方の広大な三角空域で活動し、一部はADIZ東南縁から蘭嶼東方へ北上して台東東方空域で行動。長大な空域を用いた戦術偵察の可能性がうかがえた。

以上から、16日に中国軍は台湾南西の三角空域へ16機を投入し、澎湖南方・左営西・屏東西で操演中の台湾海軍部隊を想定した対抗を行ったとみられる。空中戦力を前面に出し、台湾海軍主力編成に対し制空・制海の優位を誇示する狙いがあった。

作戦空域の運用と計画については、過去の例から主戦打撃群はJ-16を主軸とし、場合によりSu-30を加える構成。制空維持にはJ-10群を組成し、H-6爆撃機の投入も排除できない。補助戦力としてはKJ-500がADIZ西南に配置され、空海打撃の指揮管制と、艦隊への海上目標誘導・対艦打撃支援を担う。KJ-500は海空兵力の後方に位置し、戦闘機による護衛を受ける。さらにY-8対潜機などY-8系列が海空目標監視と対潜任務に従事していると考えられる。

国防部は10月17日のリリースで「中共の聯合戦備警巡」の状況を説明。08時37分以降、J-16やKJ-500など主力・補助機および無人機計21機が離脱・進出し、このうち17機が中間線とその延長線を越えて北部・中部・南西空域に侵入、中国艦と連携して「聯合戦備警巡」を名目に周辺海空域を攪乱したとした。

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