高市政権・松本洋平文科相「南京大虐殺」発言巡り波紋 松本洋平文科相に歴史認識めぐる疑念、高市政権に新たな試練

2025-10-23 09:20
「南京大虐殺は虚偽」と指摘する映画『南京の真実』。(写真/公式サイト提供)
「南京大虐殺は虚偽」と指摘する映画『南京の真実』。(写真/公式サイト提供)
目次

高市早苗首相が率いる新内閣が船出した翌日、日本メディア『毎日新聞』は高市政権の閣僚に関する一件の疑惑を報じた。新たに文部科学大臣(教育相)に起用された松本洋平氏が、過去に南京大虐殺を「虚構」や「捏造」と主張する映画『南京の真実』を支持していたというものだ。保守色が濃い高市内閣において、この報道は再び国内外の注目を集めている。松本氏は就任直後から、早くも論争の渦中に立たされた格好だ。

22日、文部科学省庁舎で行われた就任記者会見で、松本氏は報道陣から南京事件に対する見解を問われた。しかし、慎重な表情を浮かべながらも、個人としての立場には踏み込まず、「私の考えは政府の公式見解と同じです。その立場をしっかり受け継ぎ、職務を全うしていきます」と述べるにとどめた。

日本外務省の公式サイト「歴史問題Q&A」によると、日本政府の立場は「1937年に日本軍が南京に入城した際、非戦闘員の殺害や略奪行為があったことは否定できない」というものである。被害者数の具体的な数字については明言を避けているものの、暴行行為の存在自体を否定したことはない。

今年(2025年)6月にも、当時の石破内閣が国会答弁書で同様の見解を改めて確認しており、外務省の立場を踏襲する方針を示していた。しかし『毎日新聞』は、『南京の真実』の公式サイト上に松本洋平氏の名前が「賛同者」として掲載されていることを指摘している。この映画は、南京事件を「虚構」「噂」と断じる内容で大きな物議を醸した。

高市早苗内閣の文部科学大臣:松本洋平。(翻攝官網)
高市早苗内閣の文部科学大臣:松本洋平氏。(写真/公式サイト提供)

『南京の真実』:「大虐殺は虚構」と主張する映画

『南京の真実』は2007年に制作され、翌2008年1月に第一部「七人の死刑囚」が公開された。監督を務めたのは、右翼系メディア「日本文化チャンネル桜」の社長・水島総氏。制作目的は、国際社会で広く認識されている南京大虐殺の史実を「覆す」ことにあった。

公式サイトで水島氏は、「南京陥落70年(平成19年、2007年)を迎えるにあたり、中国やカナダ、アメリカなどが『南京大虐殺』を題材にした反日映画を次々に制作している。史実を歪めたこれらのプロパガンダが“真実”として世界の共通認識になりつつあり、日本を貶める風潮が拡大している」と主張した。

さらに彼は「これは明らかに情報戦の一環だ」とし、「南京攻略戦の真実を世界に発信し、誤った歴史認識を正す」として映画製作に踏み切ったと説明している。水島氏は「日本の名誉と誇りを守るため、国民の熱い支援と協力を」と呼びかけ、制作資金の寄付を募っていた。
(関連記事: 高市早苗政権下で日台関係は一段と深化するか 台湾・林佳龍外交部長「自信と期待を持っている」 関連記事をもっと読む

同映画の公式サイト「賛同者一覧」には、松本洋平氏のほか、当時の東京都知事・石原慎太郎氏や自民党議員の稲田朋美氏、また歴史学者の伊藤隆氏、中西輝政氏、小山和伸氏、佐藤和男氏ら大学教授が名を連ねている。評論家の加瀬英明氏、宮崎正弘氏、右派雑誌『WiLL』編集長の花田紀凱氏、さらには東條英機元首相の孫である東條由布子氏など、数十人の保守系知識人や政治家が賛同者として名を連ねている。

最新ニュース
台湾・花蓮光復せき止め湖決壊 「越流は致命的な誤解」と李鴻源氏 撤退の遅れを悔やみ、選挙年の思惑で復旧が迷走
SMBC日本シリーズ2025開幕へ 阪神とソフトバンクが日本一を懸け激突 25日福岡で第1戦
台湾・花蓮光復「せき止め湖災害」から1カ月 「再建」へ移行も住民に広がる「集団的ためらい」 経済停滞と「心の堰き止め湖」
TSMC、第3四半期で過去最高益を更新 AI需要がけん引し2ナノ量産へカウントダウン
新首相・高市氏、給付金配布と同時に労働時間上限緩和検討 学者「0.1%だけが過労死まで働きたい」
高市早苗政権下で日台関係は一段と深化するか 台湾・林佳龍外交部長「自信と期待を持っている」
陸文浩の視点:海強操演が終了、頼清徳氏が視察 共軍は特定目標を狙う合同作戦に踏み切るのか?
トランプ大統領、ゼレンスキー非難後にプーチンとの会談見送り、ウクライナ戦争で対立深化
高市早苗内閣を解析》女性の低い割合の論争を気にせず、人事論理を「信頼の輪、保守的価値観」で守る 木原稔、小泉進次郎、片山さつきに注目が集まる
ルーヴル美術館でウジェニーのティアラが盗まれ損傷!1354個のダイヤモンドが散乱、ナポレオン3世の愛の秘密が隠された王冠の行方
北京観察》中国共産党4中全会開幕 「第15次5カ年計画」と人事刷新 習近平氏の次の一歩は?
中国、GDP成長率が1年ぶり低水準 内需冷え込み、輸出依存の厳しい状況 専門家が警鐘
トランプ政権の「秘密外交」が破綻 米中貿易交渉、感情的対立で出口見えず
7年遅れの改革、アフターピルの長い解禁の道! 日本政府が購入制限を撤廃、親の同意不要、年齢制限も撤廃
日本初の女性首相・高市早苗氏を支える「ファーストジェントルマン」山本拓氏 電撃婚・離婚・再婚を経た「政界ラブストーリー」
ガラスの天井を打ち破った高市早苗氏、日本初の女性首相に 「鉄の女」が直面する経済と外交の試練
天気予報》「雨はいつ止む?」台北・新北で記録的降雨 今週末も北東モンスーンで雨続く見込み 気象局が「この日から晴れ」と発表
台湾民意基金会世論調査》韓国瑜の発言が賴清德を上回る支持率 「中華民国なくして台湾なし」51%が賛同
高市早苗新首相の最大の課題は「戦時統治」の試練 80年の平和を経た日本は備えがあるのか?
台湾民意基金会世論調査》賴清德総統の支持率35%、不支持53% 黄揚明氏「中間層が離反、2028年大統領選は勝算なし」
論評:半導体の山は動くのか 台湾の「護国神山」TSMCが米国移転危機 関税交渉の裏で揺れる産業界
日本初の女性首相×女性財務相誕生 市場は「高市相場」に沸騰、専門家の評価は分かれる
政治ドラマの幕開け 高市早苗新首相、人事の狙いは「封じ込め」か「橋渡し」か?
ヴァンス氏、死神の旅路を免れる? 米海兵隊の砲弾が高速道路上空で爆発、破片が副大統領の護衛車両を直撃
「高輪地区まつり with TAKANAWA GATEWAY 」が10月26日に過去最大規模で開催へ 70ブース・盆踊り・未来体験が一日展開
「牛たんの檸檬」海外初進出!台北に海外1号店オープン 日本の「厚切り牛たん文化」が台湾上陸
「ガラスの天井」を破った高市早苗氏 女権の旗手か、自民党の傀儡か 上野千鶴子が「期待しない」と語る理由
独占》米国、国民党関係者と「鄭麗文現象」をめぐり意見交換を開始 彼女は「国民党の蔡英文」か、それとも「台湾版トランプ」か
「台湾光復節」とは何か 「祖国への復帰」か「占領の始まり」か、揺れる主権の記憶
なぜ「台湾地位未定論」で「台湾光復」ではないのか 台大・張登及教授が語る、戦後東アジア秩序に残った「欠口」
李忠謙コラム:トランプがノーベル平和賞を逃して幸い ガザ停戦は幻想、ゼレンスキー再び屈辱
歴史的瞬間 日本初の女性首相・高市早苗氏が第104代首相に就任 自民・維新連立で新政権発足
一本の電話で政局が動いた 高市早苗×吉村洋文 「自維連立」誕生の舞台裏
舞台裏》高市早苗氏が初の女性首相就任、維新と連立で始動 林佳龍氏と極秘会談も、対台湾は「安倍路線」継承か?
「自公連立」ついに終焉 自民×維新が「閣外協力」で新時代へ 高市政権誕生の舞台裏
天気予報》「いつ晴れるの?」台湾で豪雨続く 台風24号(フンシェン)の外縁循環が北東季節風と合流、北台湾で豪雨続く 光復節まで不安定
「高市取引」で株価史上最高4万9千円突破 なぜ庶民の生活は豊かにならないのか?
なぜ鄭麗文氏は郝龍斌氏を破ったのか? 游盈隆氏が「世論調査」で読み解く国民党の「歴史的転換点」
一文でわかる「内巻地獄」 EVから太陽光まで過当競争が中国をのみ込む なぜ習近平氏は介入せざるを得ないのか
飛行機で空席に勝手に移動すると追加料金? 専門家が語る「知られざる安全上の理由」
訃報》アインシュタインの隣人、オッペンハイマーに認められた楊振寧氏 35歳で華人科学史を書き換えた理由
舞台裏》鄭麗文氏が当選、盧秀燕氏は複雑? 台湾・次期大統領は不透明のまま 国民党の「次の内紛」が始まる
「アルセーヌ・ルパンの再来か」ルーヴル美術館で“7分間の完全犯罪” ナポレオン皇后の宝飾が奪われる マクロン大統領「歴史への攻撃」と非難
陸文浩の見解:「海強操演」期間、中国軍が情報収集と海空演習を強化
トランプ氏、ゼレンスキー氏に「ドンバス全域割譲」を迫る 地図を投げ捨て「ウクライナは破滅する」発言も
香港空港でUAE貨物機が墜落、2人死亡!着陸の際「異常に偏差」、若い地上職員が殉職
台湾高速鉄道「静寂車両」炎上から見える台湾政治の裏側 高鉄トップ交代で浮上する「新潮流派の交通支配」
光復か、収復か、それとも占領か?政大・劉維開氏が語る「台湾はこうして光復された」
論評:「天選の女王」誕生か?
台湾・国民党の鄭麗文主席、習近平氏と会談意欲表明!両岸「反台湾独立」強調し、頼清徳の行動に「失礼」と批判