トランプ氏の強硬策が壁に直面 最新データが示す「中国製」依存、来週の交渉で習近平氏の一手に期待

2025-10-23 17:26
2025年10月13日、中国国家主席・習近平氏が北京で2025グローバルウィメンズサミットに出席。(AP通信)
2025年10月13日、中国国家主席・習近平氏が北京で2025グローバルウィメンズサミットに出席。(AP通信)
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米大統領トランプ氏が再燃させた通商戦の火勢が6カ月続いた結果、意外な米中貿易の実像が見え始めた。最大55%の懲罰関税にもかかわらず、中国の対米輸出は目立った底堅さを示している。ブルームバーグが最新データを引用して伝えたところでは、平均して日次約10億ドル(約1,500億円)相当の貨物が太平洋を渡り中国から米国へ輸送され、9月の輸出額は8月を上回ったという。堅牢に見えた関税の壁は、実際には穴だらけの漁網のように機能不全に陥っている。

この逆風下の流れは、「中国製造」が世界のサプライチェーンで依然として揺るぎない地位にあることを示し、近く行われる通商交渉で習近平氏に有利な手札を与える。米国の輸入業者が短期で中国依存を断ち切れない以上、トランプ氏の極端な圧力戦略は効果が薄れているとの見方が強まっている。

トランプ氏でも止められない中国製造は何か

ブルームバーグ・ニュースが中国税関総署データを詳細に分析したところ、年初から米中の貿易総額は17%減の3,170億ドル(約47兆5,500億円)まで落ち込んだ一方で、特定品目の輸出は逆風下でも増加した。これは、関税が企業の輸入行動を縛る力に限界があることを物語る。2025年第3四半期だけで1,000億ドル超(約15兆円)の中国製品が米国に到達し、中国の成長率を年目標に近づける一因となったほか、対米貿易黒字も670億ドル(約10兆500億円)に拡大した。

同紙のエコノミスト、Chang Shu 氏と David Qu 氏は報告書で「中国は供給網で強い地位を維持しており、短期的には米国の輸入業者に対して交渉上の優位を持つ」と指摘。他国が米国向けサプライヤーとして中国を即時に代替するのは難しく、「生産ラインの再構築には時間を要する」と警鐘を鳴らす。トランプ氏は来週、韓国での首脳会談で習近平氏と「良い合意」に達するとの見通しを口にする一方、決裂の可能性にも言及。米側は希土類、フェンタニル、大豆を三大争点に据えるが、ブルームバーグは中国の輸出競争力そのものが習氏の交渉カードになるとみている。

同紙はまた、米中という二大経済の結び付きが、中国が世界で主導する“看板製品”だけに限られない点も強調する。米製造業に不可欠な磁石や、医薬品に広く用いられる化学成分など基礎素材でも関係は深い。データでは、第3四半期の対米輸出上位10品目の多くが前年同期比で減少したものの、電子たばこは大幅増。電動自転車(E-bike)は米市場で需要が強く、年初〜第3四半期の累計で12億ドル(約1,800億円)、うち第3四半期は5億ドル超(約750億円)を記録し、前年同期をわずかに上回った。さらに、精製銅陰極板は直近3カ月でほぼゼロから2.7億ドル(約405億円)へ急増し、電線・ケーブルは87%増の4.05億ドル(約607億円)に達している。 (関連記事: トランプ政権の「秘密外交」が破綻 米中貿易交渉、感情的対立で出口見えず 関連記事をもっと読む

関税の壁に走る「無数の抜け道」

トランプ氏の関税“長城”にひびが入った一因は、輸入業者が高コストを回避する抜け道を見つけたことにある。ANZの邢兆鵬氏は、第三国での「最初の販売」時に低い価格で申告し、米国港湾到着後に価格を引き上げる手法を挙げる。これにより支払う関税を抑えられるほか、メキシコやベトナム経由の迂回(転送)貿易によって、企業が本来の税負担を回避している可能性もあるという。

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