トップ ニュース トランプ氏の強硬策が壁に直面 最新データが示す「中国製」依存、来週の交渉で習近平氏の一手に期待
トランプ氏の強硬策が壁に直面 最新データが示す「中国製」依存、来週の交渉で習近平氏の一手に期待 2025年10月13日、中国国家主席・習近平氏が北京で2025グローバルウィメンズサミットに出席。(AP通信)
米大統領トランプ氏が再燃させた通商戦の火勢が6カ月続いた結果、意外な米中貿易の実像が見え始めた。最大55%の懲罰関税にもかかわらず、中国の対米輸出は目立った底堅さを示している。 ブルームバーグ が最新データを引用して伝えたところでは、平均して日次約10億ドル(約1,500億円)相当の貨物が太平洋を渡り中国から米国へ輸送され、9月の輸出額は8月を上回ったという。堅牢に見えた関税の壁は、実際には穴だらけの漁網のように機能不全に陥っている。
この逆風下の流れは、「中国製造」が世界のサプライチェーンで依然として揺るぎない地位にあることを示し、近く行われる通商交渉で習近平氏に有利な手札を与える。米国の輸入業者が短期で中国依存を断ち切れない以上、トランプ氏の極端な圧力戦略は効果が薄れているとの見方が強まっている。
トランプ氏でも止められない中国製造は何か ブルームバーグ・ニュースが中国税関総署データを詳細に分析したところ、年初から米中の貿易総額は17%減の3,170億ドル(約47兆5,500億円)まで落ち込んだ一方で、特定品目の輸出は逆風下でも増加した。これは、関税が企業の輸入行動を縛る力に限界があることを物語る。2025年第3四半期だけで1,000億ドル超(約15兆円)の中国製品が米国に到達し、中国の成長率を年目標に近づける一因となったほか、対米貿易黒字も670億ドル(約10兆500億円)に拡大した。
同紙のエコノミスト、Chang Shu 氏と David Qu 氏は報告書で「中国は供給網で強い地位を維持しており、短期的には米国の輸入業者に対して交渉上の優位を持つ」と指摘。他国が米国向けサプライヤーとして中国を即時に代替するのは難しく、「生産ラインの再構築には時間を要する」と警鐘を鳴らす。トランプ氏は来週、韓国での首脳会談で習近平氏と「良い合意」に達するとの見通しを口にする一方、決裂の可能性にも言及。米側は希土類、フェンタニル、大豆を三大争点に据えるが、ブルームバーグは中国の輸出競争力そのものが習氏の交渉カードになるとみている。
同紙 はまた、米中という二大経済の結び付きが、中国が世界で主導する“看板製品”だけに限られない点も強調する。米製造業に不可欠な磁石や、医薬品に広く用いられる化学成分など基礎素材でも関係は深い。データでは、第3四半期の対米輸出上位10品目の多くが前年同期比で減少したものの、電子たばこは大幅増。電動自転車(E-bike)は米市場で需要が強く、年初〜第3四半期の累計で12億ドル(約1,800億円)、うち第3四半期は5億ドル超(約750億円)を記録し、前年同期をわずかに上回った。さらに、精製銅陰極板は直近3カ月でほぼゼロから2.7億ドル(約405億円)へ急増し、電線・ケーブルは87%増の4.05億ドル(約607億円)に達している。
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「ここには数多くの抜け道があり、米国税関には対応する人員が足りていない」と同氏は指摘する。
こうした状況下でも、第3四半期には中国企業が米国向けにスマートフォン、ノートPC、タブレット、PC部材を合わせて約80億ドル(約1.2兆円)相当を出荷した。前年同期の半分未満とはいえ、高関税を踏まえれば相応の規模だ。もう一つの戦場はECである。米政権が5月に小口荷物の免税を認める「デ・ミニミス(de minimis)ルール」を撤廃した後も、米消費者のSheinやTemuなど越境ECへの需要は衰えていない。
データでは、この穴が塞がれて以降も、同種の小口荷物がなお約54億ドル(約8,100億円)分、米国へ流入。現在は54%の関税が課されているにもかかわらずだ。加えてB2BのEC輸出は急膨張し、8月の約3,100万ドル(約46.5億円)から9月には2.01億ドル(約301億円)へと跳ね上がった。これは、中国のオンライン事業者が戦略を転換し、個々の米消費者に直接送るのではなく、一旦大量に米国内へ搬入し、そこで小口に分けて配送する手法へ移行している兆しとも読み取れる。
デカップリング進行中:ゲーム機とテレビの「大移転」 もっとも、税関統計の堅調さがTrump流通商の影響を打ち消すわけではない。領域によっては米中のデカップリングが確実に進んでいる。ブルームバーグによれば、家庭用ゲーム機の対米輸出はほぼ壊滅。任天堂やマイクロソフトなどが生産をベトナム等へ移し、中国からの出荷に伴う高関税を回避している。
米消費者の調達先もシフトし、前四半期の中国から米国への液晶テレビ(LCD)輸出は73%減。商業船舶では、米国が中国製船舶の米港寄港に手数料を課す方針を打ち出す以前から、すでに米中の切り離しが進んでいた。IMFは今月の報告で、中国の輸出が粘り強さを見せる一方、今年の米中貿易への損傷はトランプ氏の第1期時代より深刻であり、「2018〜19年の関税ショックと比べ、二国間のデカップリングはより早い段階で進行している」と記した。
総じて、米製造業の復活や重要産業の「オンショアリング」を掲げる政策は、世界の貿易地図を書き換えつつある。しかし、中国の輸出データが示す粘り強さは、グローバル化した現代において二大経済の複雑な結び付きを関税一枚で断ち切ることの難しさを物語る。こうした“現実の成績表”は、交渉のテーブルで習近平氏にとって有力なカードの一つとなり続けるだろう。
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