【新新聞】知られざる太子グループ カンボジアの銀行・空港・航空まで投資拡大、テマセク連携の報道も

2025-10-23 16:58
陳志氏は太子銀行の株式を99.56%保有。(写真/Prince Bank Plc.のFacebookページ)
陳志氏は太子銀行の株式を99.56%保有。(写真/Prince Bank Plc.のFacebookページ)
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カンボジアの電信詐欺組織とされる「太子グループ」は、先週の米国制裁発表を機に、その事業実態が次第に明らかになってきた。『新新聞』は先週、同グループが台北101にゲーム会社「天旭国際科技」を設立していると最初に伝えたが、台湾での展開はこれにとどまらない。台北・信義区に拠点を置くゲーム会社「夢幻互娛」も太子グループと関係があるとされ、同グループがかつて出資した「カンボジア航空」は台湾向けチャーター便の運航にも関わっている。

太子グループ(Prince Group)は米当局により起訴され、台湾の9社が制裁リストに挙げられた。メディア報道では、トップの陳志氏がこれまで少なくとも10回、台湾を訪れていたという。度重なる入国について、警政署長の張榮興氏は19日、「主に2022年以前で、その後は入国を確認していない」と説明した。

台湾は太子グループの資金洗浄地、パラオ進出の踏み台

この間、同グループ傘下の大牛科技は電信詐欺への関与で起訴されたが、会社資金は凍結されなかった。台湾側メンバーの張剛耀氏は、約9億元を「博居」など9社を経由して自身の元大銀行の個人口座に移したとされ、資金フローは金融監督機関や法務部の十分な注意を引かなかった模様だ。

同グループは台湾で「台湾太子不動産」を通じて資金の正当化を図る一方、台湾を拠点にパラオへの投資を進めたとみられる。先週、米英は太子グループに関連する146の実体・個人へ包括的制裁を発表。対象には台湾人3名が含まれ、彼らはパラオでペーパーカンパニー「Grand Legend」の設立を支援し、パラオ華僑連合会副主席の王國丹(Rose Wang)氏と連携して、ジェレベラス島(Ngerbelas Island)の最長99年の土地契約を取得、ホテルやカジノの経営を試みたとされる。

2023年6月4日,帛琉正副總統惠恕仁和席嫵杜與我國外交部政務次長田中光及其他官員一起為帛琉馬拉松鳴槍開跑(外交部提供)
太子グループはパラオでも投資を展開。(写真/外交部提供)

新南向政策に関連する経済・貿易の領域でも、こうした人物が紛れ込む事例は少なくない。『鏡週刊』によれば、今年1月、外交部長の林佳龍氏が友好国パラオの大統領・惠恕仁の就任式に出席した際、我が国の特使団の昼食会に同席した台湾商人の黄紀彰氏が、パラオの公有地投資詐欺に関与し、約9,800万円を集めたことが判明。外交部は黄氏を「積極的に招待していない」と説明している。

オンラインゲームからネット調査、人材募集まで

上述の企業以外にも、太子グループは台湾で複数の事業に関与している。『Cheers雑誌』主催の「2025 TALENT, in Taiwan(台湾人材永続行動連盟)」には「夢幻互娛」が参加。同社は求人サイト上で、複数年にわたり「1111幸福企業」の金賞・銀賞を受賞したと強調し、ネット/モバイルゲームの発行・運営を主業と位置づける。チームは10年以上の業界経験を持ち、親会社のDream Interactive Era Holding Ltd.は太子グループの関係企業にあたる。 (関連記事: 台湾「17LIVE」社外取締役に太子グループ関係者 シンガポールを資金洗浄の“踏み台”と批判、当局イメージに打撃 関連記事をもっと読む

Dream Interactive Era Holding Ltd.の公式説明では、個人投資家から資金を募り、オープン型またはクローズド型のファンドを組成。多数の小口資金を合算して具体的な投資に充て、投資先の事業運営による規模の経済を享受する仕組みを掲げる。

(取自臉書粉專DE GAMES 夢幻互娛)
夢幻互娛は求人サイト上で「1111幸福企業」の金賞・銀賞を連続受賞と強調。(写真/DE GAMES 夢幻互娛のFacebookページ)
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