陸文浩の視点:中国海軍の新病院船「シルクロード・アーク」号が初の遠洋任務へ 南太平洋・南米を巡る「ミッション・ハーモニー2025」始動

2025-10-09 17:05
中国海軍「シルクロード・アーク」号、海外で「ミッション・ハーモニー2025」任務を実施。(写真/新華社)
中国海軍「シルクロード・アーク」号、海外で「ミッション・ハーモニー2025」任務を実施。(写真/新華社)

世界の注目が中国人民解放軍海軍の「福建」号航空母艦と、南部戦区海軍の「遼寧」号航空母艦の動向に集まるなか、両艦は10月3〜4日に海南省・三亜港を出港し、台風21号(マットゥモ)の影響を避けるため南シナ海で航行を続けている。台風は4日、フィリピン北部から北西方向へ進み、南シナ海を経て海南・広東湛江方面へ向かっている。

その一方で、中国は海外人道医療任務「和諧使命-2025(ミッション・ハーモニー2025)」を開始。南部戦区海軍所属の病院船「シルクロード・アーク(絲綢方舟)」号が10月1日、南太平洋のフィジーに到着した。今回の派遣は、同艦が昨年の就役以来初めて実施する長期の海外人道医療任務であり、南太平洋および南米諸国の友好国を巡回する。来年には北部戦区所属の「吉祥方舟」号が任務を引き継ぐ予定で、中国海軍の遠洋医療ネットワーク体制が本格的に形成される見通しだ。

福建省泉州市の報道によれば、中国海軍の「シルクロード・アーク」号病院船(ペナント・ナンバー867)は8月28日、泉州港・石湖港区に入港し、「城艦永相依・共続海絲情(都市と艦艇の共建)」をテーマにした一連のイベントを1週間にわたって実施した。

続く9月5日、中国国防部の公式サイトは、「シルクロード・アーク」号が同日午前、泉州を出港し、「南太平洋」と「ラテンアメリカ」を巡る「ミッション・ハーモニー2025任務を遂行することを発表した。これは、同艦が2024年7月に正式就役して以来、初の海外任務となる。

今回の派遣の目的は、中国と関係国との友好協力を深め、国際社会により多くの公共安全サービスを提供することにある。中国政府は、「人類運命共同体」「海洋運命共同体」の理念を実践する取り組みとして、このミッションを位置付けている。

中国海軍が主導する海外人道医療支援任務「和諧使命(ミッション・ハーモニー)」は、2010年から始まり、これまでに10回実施されている。いずれも東部戦区海軍の病院船「平和方舟(ピース・アーク)」号が担当してきた。

​今回の「ミッション・ハーモニー2025」は第11次任務であり、初めて南部戦区海軍の「シルクロード・アーク」号が担当する。同艦はナウル、フィジー、トンガ、メキシコ、ジャマイカ、バルバドス、ブラジル、ペルー、チリ、パプアニューギニアなど10カ国以上を訪問する計画で、航海期間は220日間に及ぶ。これは、過去の「ミッション・ハーモニー」シリーズの中でも最長となる見込みだ。 (関連記事: 陸文浩の視点:国慶節「十一」の戦備 中国艦艇の増勢は米台の政治的連携への反応 関連記事をもっと読む

9月19日午前、同艦は最初の寄港地であるナウルに到着し、7日間の友好訪問を実施した。これは中国海軍艦艇によるナウル初訪問でもある。10月1日午前10時頃には、フィジーの案内船の先導を受けながら、スバ港にゆっくりと入港。ここでも7日間にわたる友好訪問と人道医療活動を展開する。報道によると、「シルクロード・アーク」号のフィジー訪問は今回が初めてであり、フィジー政府や軍の要人が艦内を視察し、健康診断や診療サービスを受ける予定となっている。また、両国海軍による海上合同捜索・救助演習も計画されており、相互の海上協力・連携能力の強化を目的としている。

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