陸文浩の視点:「福建号」空母三機同時発進、すでに電磁カタパルト任務を完了

福建号の甲板に並ぶJ-35、J-15、空警-600(写真/ウェイボーより)
福建号の甲板に並ぶJ-35、J-15、空警-600(写真/ウェイボーより)

9月22日、中国中央テレビは、中国海軍の最新空母「福建号」が主要艦載機による電磁カタパルト発艦と着艦の訓練を完了したと報じた。これにより、空母の引き渡しが間近に迫ったとの見方が広がっている。25日午後には国防部の張曉剛報道官も「多くの人々が待ち望むその日は近い」と言及した。しかし実際に公開された映像は、3月19日20時頃に行われた第7回海上試験の2日目に撮影されたものである。筆者は3月17日と25日の時点で、各艦載機の重量に応じて電磁カタパルトの推力を検証する試験が行われるだろうと予測していた。

今回の映像が精密に記録されていた背景にはいくつかの経緯がある。昨年の第3回海上試験時点で、すでにJ-15艦載機2機が電磁カタパルトで発艦していた可能性がある。さらに第4回試験の後半では、渤海で初の着艦訓練とカタパルト試験が実施されたとみられる。第5回試験では発艦した艦載機が帰港時には姿を消しており、甲板に接触痕が確認された。第6回試験では「各艦載機の発着任務」を遂行し、その後乾ドックで整備を受け、再び発射準備に入っていた。こうした経過を踏まえると、今回の映像はその流れの中で撮影されたものと読み取れる。

「福建号」は9月12日、東部戦区海軍の956E型駆逐艦「杭州」(136号)、052C型駆逐艦「済南」(152号)などとともに南シナ海へ進出した。14日には海南・陵水の南東で艦載ヘリが離着艦する様子が目撃されている。

15日夕方、中国・三亜海事局は琼航警149/25を発表し、16日午前6時から午後2時まで陵水南東の海域4718平方キロメートルを対象に軍事演習を実施すると告示した。その範囲には052D型駆逐艦2隻と054A型フリゲート1隻が展開しており、空母打撃群の通信・連携訓練が想定されていた可能性がある。

さらに琼航警150/25では、17日に同じ海域で1118平方キロメートルを対象に訓練を行う予定とされたが、その後告示は削除され、艦載機発着訓練は中止になった可能性が指摘されている。

19日、中国の時事メディアは、「福建号」が三亜南南東約96キロ、「山東号」が三亜東南約147キロの位置にあり、両空母の距離は約127キロだったと報じた。「山東号」が「福建号」の南西で訓練を行い、着艦試験を試みた可能性もある。

一方で、英国空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が19日にマニラを出発し、21日にシンガポールへ向かうと発表していた点を考慮すると、中国南部戦区海軍の「山東号」が「福建号」に接近することで牽制訓練を行った可能性も否定できない。

海南・清瀾海事局は20日夜から21日にかけて琼航警153/25を告示し、21日午前8時から22日正午まで陵水南東5965平方キロメートルでの演習を通知。さらに別の範囲3075平方キロメートルで22日午後の訓練も予定されていた。

筆者は20日時点で、22日正午から午後6時にかけて「電磁カタパルト」の実験が行われる可能性を疑問視していた。だが同日、国営新華社は9月3日の大閲兵で登場したJ-15T、J-35、KJ-600の3機種が、福建艦でのカタパルト発艦・着艦試験に成功したと報道。続いて中央テレビが関連映像を公開し、22日夜に試験が成功裏に終わったと伝えた。

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